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見つけたのは、運命ではなかった

成長するにつれ、

彼は何度も首を傾げた。


なぜ自分は守られるのか。

なぜ自分は閉じられるのか。

なぜ自分は、少しだけ距離を置かれるのか。


そのたびに、私は答えなかった。


答えれば、選択は奪われる。


彼が世界をどう見るか。

世界をどう変えるか。


それは、

人族自身が決めることだ。


そして――最後。


彼が自分の意志で立ち、


この世界を見渡したあの瞬間。


私は、ようやく思った。


ああ。


見つけたのは、

“人族”ではなかった。


見つけてしまったのは――

一人の、意志ある存在だったのだと。


これでいい。


この世界がどうなろうと、

彼が選んだなら、それが答えだ。


それが、公爵家の役目の終わり。


そして――

物語の、本当の始まりだった。




ここまで物語を見届けてくださり、本当にありがとうございます。


本編は、最後まで主人公の視点だけで描きました。

彼が見たもの、感じたこと、分からなかったこと。その範囲を一歩も出ないように、と決めていました。


きっと読んでいる間、

「どうして?」と思った場面がいくつもあったと思います。


どうして名前をすぐに与えなかったのか。

どうして外に出すことを渋ったのか。

どうして時に、距離を取るような態度だったのか。


その答えを、本編では書きませんでした。


なぜなら、この物語はあくまで「彼の人生」だからです。

守られていることを知らないまま、守られていた。

選ばれていることを知らないまま、選ばれていた。

その無自覚さこそが、彼の強さだと思ったからです。


外伝は、その裏側でした。


本編では語られなかった選択。

声に出されなかった決意。

そして、「……見つけた」というたった一言の重さ。


もしこの外伝を読んで、

もう一度最初の章を開きたくなっていただけたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。


この物語に悪役はいません。

いるのは、立場の違いと、守りたいものの違いだけです。


そして最後まで変わらなかったのは、

一人の子どもが「ここが好きだ」と思えたこと。


それだけで、この物語は成立しています。


ページを閉じたあと、

少しでも温度が残っていたなら。


それが、私の書きたかったものです。


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。


またどこかで、

彼らに会っていただけますように。

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