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外伝 獅子の家に継がれる使命
公爵家当主視点
――「……見つけた」の意味
世界には、決して公にされない記録がある。
王城の地下、幾重にも結界を重ねた文庫に眠る古文書。
人族が絶滅したとされる以前、まだ世界が均衡を保っていた時代の記録だ。
――人族は、世界の“調律者”である。
魔力を生み出さず、
魔力に適応せず、
それでも世界から弾かれない唯一の種。
彼らは“中心”だった。
だからこそ、消された。
獣人が世界の覇権を握ったとき、
人族は「不要」になったのではない。
危険になったのだ。
その事実を知る者は、今やほんの一握り。
王家ですら、半分は忘れている。
だが、公爵家だけは違った。
代々、獅子の血を継ぐ当主には、
即位の儀と共に一つの“役目”が引き継がれる。
――もし、人族が再び現れたなら。
その命を、
王よりも、世界よりも先に、確保せよ。
殺すためではない。
守るためでもない。
選ばせるために。
人族は、世界を傾ける。
救いにも、破滅にもなる。
だからこそ、
「育てよ。だが縛るな。
守れ。だが真実は与えるな」
それが、公爵家に課せられた矛盾した使命だった。




