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吸血塾2ブラッドサッカー  作者: クオン
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現地見分とグリーフィング

若生は本庄家の奈津に予め連絡を入れてから結界を解いてもらった門をくぐり、剣道場の風馬を訪ねる。

道場には風馬の他に、エディー、弥生、クレナイ、そして奈津が鎮座していた。

蓮夏達高校生組はまだ帰宅していない。

「今日の夜、共にリタの棲家に襲撃をかけたい。場所は鈴ヶ丘町槙野9マーベラスホスピタル槙野荘。参加は可能だろうか?」

「むろん、某に断る理由はあらず、と言いたしが、警察も加わるのでしょうな?」

「マルリックさんを襲撃に加えるなら、必然的にそうなるかな」

「問題は襲撃後の身の振り方でござろうな、お互いに」

「俺は出頭するつもりだけど・・・」

「襲撃直後は悪手でござる。警察では蓮夏殿や桐谷殿の崇血者の特定がされるまで拘束が続くでござろう。その後の合流に支障が出るは必至。更には蓮夏殿の身元がバレることは容易にこの場が特定されることも。クレナイの秘匿は最重要にござる」

「そうだね。そこは慎重にならないと」

「なに、案ずることあらず、獣化眷属一体を敢えて取り逃がして追いかけるふりをして警察など撒いてしまえばよろしかろ」

「それはどうかな。あの場では殲滅が最優先になるんじゃないかな」

「事後に『逃げるモノを追いかけた』と、うそぶくもよろしかろ。とにかく蓮夏殿の秘匿はクレナイの秘匿と同義でござる」

敢えて強調する風馬の譲れない一線であろう。

「その間のスレイブたちの対応と、警察に尋問された時の口合わせも必要になるかな」

「無事戻ってからになされよ」

「元リタの、と言うより、ロード・フィルの仲間で篠原健司という吸血鬼がいる。風馬さんのこと紹介してもいいかな?」

「その御仁、信用できるのでござるか?」

「獣化眷属の撃退に協力してもらった経緯から信用はできると思う。しかもスレイブを向こうから顔見せしてきたし、この件が落ち着いたら共にコミュニティーを作る案もあるし」

「その者に本庄の家を秘匿するならば」

「分かった。予防線はまだ維持する必要があるということだね」

風馬は黙って頷いた。

「お気遣いかたじけない」

本庄奈津が風馬に頭を下げる。

「私はクレナイの監視、弥生さんとスレイブの保護ということでよろしいか?」

と、エディーが確認してくる。

「むしろ負担が大きいと思いますが、できる限り短時間でことを納めるつもりですので」

「ところで、リタにはこちらの位置を把握されているのですよね。風馬さんに聞いた話では彼も若生も一直線上に距離を詰めて突撃ですよね?」

「タイミングと移動開始場所の選択のこと?」

「例えば篠原には近い幹線道路を大きく移動してもらって、20時前後にその槙野荘の最短距離からやや離れてから、七緒先生と合流ということではいかがでしょう」

「なんでマルリックじゃ・・・ああ、あの人携帯使えなかったね」

「ええ、それに若生との接触はこれまで何度も見られているのでしょうが、風馬殿と篠原の接触は今回初めてです。合流する処を[見られる]と逃亡される恐れがあります。警戒もされるでしょう」

「それは確かに」

「想像以上に厄介だね」

「篠原氏の件は七緒殿にお任せすべきではあるまいか」

「先生とは連絡先交換してると思うけど」

結局、先鋒は若生と風馬で担うことになった。

それにあたって決行の位置決めは風馬に任せた。

槙野荘が望める地形、すなわち近隣の山腹から天足の術で距離を一気に詰める単純な作戦である。


若生と風馬は阿須木山という市内を見渡せる墓苑・果樹園・雑木林を含めた山地から鈴ヶ丘槙野9マーベラスホスピタル槙野荘を眺めていた。

鈴ヶ丘というだけにやや高い岡地の中腹に目標物件はあった。

そこから対面して4kmほど離れた山間から見渡していた。

「こうしてみると結構遠いね」

「離れず近寄らず丁度良いかもしれませぬ。見えまするか? 窓に格子のようなものがござる」

「介護施設だから強化されてるのかも。まあ、屋根を突き破って侵入するから関係ないさ」

「それよりも、あの下方に見ゆる車2台、警察ではあるまいか?」

「ここからじゃ車の中の人、何処を見てるか判らないな」

「他にも散会して布陣しておれば良いのでござるが」

「ところで、俺と風馬さんとではどちらが先にあそこに到着できるかな?」

「今回、某このヒムササビにて一気に間を詰めるでござる」

風馬は肩から脇にかけて覆っている毛皮を見せる。

「ムササビのように滑空するわけ?」

「いかにも」

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