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吸血塾2ブラッドサッカー  作者: クオン
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警察の現場検証に協力する十海七緒

十海七緒は若生からメールを受信してすぐに警察に連絡を入れた。

「うちの緋波若生がコンビナートで3体、仕留めたそうよ。パーツで4個回収の必要があるようなのだけれど、現場に銀針持参で伺いましょうか?」

七緒がダイヤルしたのは110ではなく刑事課直通だったので、すぐに折り返しのコールが来る。

やはりこの時間になると仲井も帰宅していたようだ。

悪いことをしたなと思いつつも仕方がないと割り切ってもらわなくては。

吸血鬼は基本夜行性なのだから。

結局、七緒はコンビナートに出向かうことになった。

若生の後始末ということよりも、まだ獣化タイプのグールを七緒は見たことが無かったため医学的な見地からの興味と好奇心の方が勝っていたのだ。

自家用車フィットで海際に向かう初期の段階で七緒は尾行に気づいていた。

「パトカーで堂々と追いかければいいのに」

ついてくるのはグレーのセダンの覆面車両だった。

尾行と言うより追随なのだろう。

等距離で追いかけてくる。

七緒はコンビナート前「常東石油」の正門で車を停める。

既に1台のパトロールカーが待機していた。

七緒はパトロールカーの中の警察官に話しかけた。

「仲井刑事に連絡してくれないかしら。先に銀針で処置した方が良いのなら、今から中に随伴して欲しいのだけれど」

警官は連絡を取っているようだが、話は通じているか怪しいものだった。

という以前に仲井に直接連絡が取れているのかも不明だった。

結局10分後に仲井と合流してから門内に入る。

検問所の警備員に説明を聞こうとしている仲井の手を引いた。

「こっちだわ」

小さく仲井に言った。

七緒には前回の経験と若生のメール、そして何より既に門扉の外まで臭っていた獣の焼けた臭いで大体の位置を把握していた。

「警備員はあそこに居てもらう方がいわ」

「二人来い」

仲井も七緒に異議は挟まなかった。

建設途中で放置された石油タンク、そのサークルの外壁に立って七緒は下を見下ろした。

臭いはするが建築途中の鉄骨が邪魔でよく位置が分からない。



七緒は別の位置に血の臭いを嗅ぎ取ってサークルの外周を歩いていく。

地面数箇所に少なくはない血痕、まだ暗い今は黒く光っているそれを見つけて七緒はその位置から近いサークルの外周を再び覘いた。

直下に近い位置に三体を見止める。

「私だけで下りるわ。いいわね?」

「ああ」

短く答える仲井はすでに吸血鬼が体の一部分でも危険であることを知っているため素直だった。

(マルリックの啓発のせいかしらね?)

素直な警察の態度にそう思いながら七緒は数メートル下に飛び下りる。

その振動で首のない身体が反応する。

2体は全身が焼け爛れていた。

火傷など言う生易しいものではなく、動く焼死体と言っていい有様だ。

若生がこんな火の使い方をするだろうか?

いや、リタ・ギレオンティーノの能力か?

同士討ちでもしたのだろうか?

七緒は既に銀の針を4本用意して口にくわえていた。

一本を指で摘み腰を落とす。

一挙動で焼け爛れたグールの首のあった位置に飛び上がり銀針を突き入れ、離れざまにもう一体の背後から脊髄の上部に二本目を打ち込み、一旦距離をとった。

七緒は別の一体を麻痺させるべく、対象を見分する。

「これが獣化タイプ・・・」

体表が剛毛で覆われた獣は七緒の声には反応しない。

おそらく体表から感じる振動、そして直接の接触で反射的に動くのだろう。

両足首から上の肉が妙な形で飛び出している。

若生のヘアビュートで肉を削がれて動きを止められたのだろうと七緒には想像できた。

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