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吸血塾2ブラッドサッカー  作者: クオン
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ケダモノになりたがる桐谷先輩の閑話 そして茶会の準備

吸血が終って動きの無いクレナイと弥生を眺めながら桐谷が話しかけた。

「なー、若生」

「はい」

「ケダモノって基本全裸だよな」

「……毛が生えてますけど」

「人間だって髪や腋毛や生えてるだろ」

「毛が生えてても全裸か、獣は」

「あれは露出狂とか言われねーよな」

「あれは露出してるんじゃなくて、ほとんどが衣服を与えられてないんです」

「そーなんだよ。そんで慣れてる奴はよ。すり寄ってきたり、媚びたり、じゃれたりするよな」

「まあ、ペットは特に」

「蓮夏にも好意を持って受け入れられるだろう」

「だから愛玩動物とも呼ばれるんでしょう」

「だから全裸で愛情表現してても露出狂じゃねーよな」

「愛玩動物を全裸表現するんじゃねえよ!」

苛立った若生がタメ口になる。

「だったら俺が全裸で愛情表現したって許されるんじゃねーか?」

「許されねえよ! 法律が許さねえよ!」

「法は問題ねー。ここは私有地だ。公共の場の常識はカンケーねー」

「てか、分かってんですか? 獣にまで自己評価落ちてるよ先輩! 女子が寄って来なくなるぞ!」

「そこだ! 俺んちで女子呼んで脱いだら二度と家に近寄ってこねーだろ? 蓮夏のマンションで脱いだりしたら出入り禁止だろ? しかし、ここならどうだ? お互い今は他所に行くことはできねー。今なら俺の全裸シーンを見せつけることが、見せ続けることが出来るんだぜぇー!」

「絶対やるな! んでもってテンション上げるな! 主として命ずる!」

「それだ! 若生! この屋敷唯一の眷属として命ずるんだ! この屋敷内をヌーディストエリアにするんだ! 全員全裸で日常生活を送れと命令するんだ! テメーにならそれが出来る! 俺たちの青春の1ページを全裸で埋め尽くすんだー!」

「ここは、本庄奈津様の家で絶対断られるに決まってるだろ!ってか対象が蓮夏から女子全員に拡大してるじゃねえか!?」

「でーじょーぶだ若生! おめーならクリアーできるってー、おい、待て、若生! わこおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーっ!」



「と、言うような会話だ」

昨夜、吸血が終わった後、桐谷と何を話していたのか?という蓮夏の問いに対する若生の回想である。

「あんのヤロー! やっぱ脳ミソ、ゾンビ化してやがったな!」

「むしろインキュバス化だろ」

「盛りまくってやがるな」

「4、5回噛んでもっと大量に血を抜いたほうが良かったかな?」

「ったく、んな調子じゃ、マジで夜中に襲ってきやがるなー」

「いや、それはない」

「なんで言い切れる?」

「奈津様が夜間、番してるから。昨夜、何気に外見たら、たすき掛けで薙刀持って歩いてた」

「マジかよ!? 婆ぁー」

「まあ、本当は桐谷先輩ではなくクレナイや姉さんを警戒してるんだろうけど」

『蓮夏せんぱーい!』

外の門で桐蔭寺の呼ぶ声がする。

「あー、やべ、こんな時間だ」

「ああ、行ってらっしゃい!」

蓮夏達が登校する。

3人のスレイブが登校するわけだが、通学時の安全が保障されているわけではない。

気休めだが、人間であり且つベン・マルリックの信徒であるハンナニーナとマルギナータがスクーターに乗って3人の通学を監視していた。

それでも何か事が起こった時の事後報告としか機能しないので連絡後は若生が動いて対処するしかない。

中央高校と本庄家が1㎞と離れていないことは幸いであった。

今の若生なら二、三度の跳躍でカバーできる距離だった。



「お早うございます。若生様」

剣道場の入り口で戒田貴美香が一礼して挨拶をする。

「『お早う』でいいよ、貴美香さん。丁度良かった。姉さんたちを少し見ておいてくれないか? 奈津様に挨拶したらすぐに戻るから」

「その心構えだけで良い。うぬが目を離すわけにはいくまいに」

奈津の後ろからの声掛けに貴美香があっとした顔をする。

「お早うございます」

若生は立ち上がって頭を下げた。

「お早う!」

「用心に越したことは無いけど、外回りから戻るくらいは猶予がある。ここまでくつろいでしまっている熊は本格的に動く前には何か予兆があると思いますから」

「ふん、聞いておるぞ。こやつ人並みの知恵が働くとか?」

若生の態度が改まっていたせいか夏の口調も穏やかだった。

「それでこちらの油断を誘っているのなら、今までにいくらでも襲ったり逃げたりする機会はあったはずですから」

「まあ、精々気を付けて見張ることじゃ」

「ああ、お伺いしようと思っていた用件はティーセットなど、お借りできないかと思いまして6~7人分」

「ティーセット? ペアものなら有ったがのう? 茶会でも開くつもりかえ?」

「はい、今夕食後にでも」

「そこな娘御、貴美香と申したな?」

「はい」

「夕食後、取りに来るが良い。それまでに取り揃えておこうぞ」

言いながら奈津は背を向け剣道場を出て行った。

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