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クラス全員異世界転移したのに俺だけ遅刻した〜腹黒王女からクラスメイトを取り戻せ!〜  作者: 大橋 仰
第4章 ハーレムにつられた男子たちの末路

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日本に帰る前日の話 前編

 ドラゴンの背にくくりつけた飛行船に乗り、5日ほどかけて王宮にたどりついたカケルたち。


 王宮攻略の策を巡らせていたカケルたちであったが、王宮に到着したところ……


 王宮はすでに兵士と市民で組織された新政府軍——少なくとも彼らはそう言っていた——により占拠されていた。


 新政府軍は王弟ジユージン公爵を新しい王と認めたため、ここに王宮の無血開城が成立したのであった。



 王弟は新政府軍の兵士たちに案内され、王宮内の牢獄へと向かった。


 そこには、国王と王女の変わり果てた姿があった。


 特に王女などは、カケルをはじめとして、多くの男性勇者を魅了してきたあの美貌がさっぱりと消え去り、頬はこけ、目の下には黒々としたクマができ、髪には白いものまで見え隠れしていた。



 新政府軍により王宮が占拠されたのは3日前だという。


 王宮にわずかに残っていた近衛兵が降伏の条件として、国王と王女の助命を求めた。


 議論紛糾の末、新政府軍はこの要求を受け入れたとのこと。


 しかし、両者の身柄は牢へと移されることになった。


 牢を守る兵士の中には、投降した旧近衛兵もいるようだ。


 国王も王女も疲弊した様子ではあるが、暴行を加えられた形跡はない。

 彼らが最後の忠義を示し、新政府軍の兵から二人を守っているのだろう。


「近衛兵たちよ…… 皆の働きに感謝する」

 と、王弟ジユージン公爵が発言した直後——


 新政府軍の兵士たちの顔に動揺がはしった。

「まさか、王女たちを許すのか?」

 そんな小さなつぶやきも聞こえた。


「しかし…… この両名を牢から出すわけにはいかない」

 王弟は苦しい決断を下した。


 新政府軍の兵士たちは、安堵の表情を浮かべた。


「二人を殺すことはない。どうかそれでこらえて欲しい」

 王弟の言葉を聞き、旧近衛兵たちは涙を流して敬礼を捧げた。




 王宮内ではいろいろなことが起こっていたようだが、とにかく王女は生きていおり、その身柄も確保されていた。

 これで委員長のスキル『説教』を使い、『召喚』スキルを有する王女に命じてカケルたちを日本に送還させることが可能となった。



 ♢♢♢♢♢



 カケルたちが王宮に到着してから、3日経った。

 カケルも、少しずつ元気を取り戻しつつある。


 王宮内のゴタゴタがやっと収まったため、カケルたちスポーツ科の生徒20人も、王宮内の牢へと向かうことが許された。


 そこで王女の変わり果てた姿を見たカケルたち。


 ここに来るまで、『王女をぶっ飛ばしてやる』と息巻いていた剛田が、

「……もういい」

 と、ひと言つぶやききびすを返した。


 カケルたちも剛田の背を追った。



 ♢♢♢♢♢



 牢獄から王宮内にある勇者のために用意された部屋に戻るカケルたち。


 部屋に戻る途中の廊下で、カケルはある人物と出会った。その人物とは——


「あ、あなたは! お師匠様ではありませんか!!!」

 そう、カケルの目の前に現れたのは、委員長を救うべく北の離宮に向かう途中で立ち寄った、あの小さな村で出会った神官、ブユーデンだった。

 カケルの胸に『エロいこと禁止』の聖紋を刻んでくれた、ありがたいお方だ。


「……お前の師匠になった覚えはないが?」


「ははあー。おっしゃる通りでございます」


「相変わらず、調子のいい男だ」


「ねえ、このおじいさん、えらい人なの?」

 舞がカケルに問いかけると……


「バカ! お前、もっとこの方を敬え! このお方はだな、以前、教王国で最高の…… えっと、なんでしたっけ?」


「お前こそ、私のことをぜんぜん敬ってないだろう?」

「めめめ、滅相もありません!」


 ブユーデンの話によると、新政府軍から、じいこと、ウルサンドル・クルセーゾフ卿に、スキルを封じる聖紋を刻んで欲しいと依頼を受けたそうだ。


「お前たちがここに来る前に、ヤツの胸に『スキル使用禁止』の聖紋を刻んだ。ヤツはもう二度と、スキル『国威こくい』を使うことは出来ない」


 ブユーデンは続けて——

「お前も…… いや、勇者の皆様も、ヤツには酷い目に遭わされたことでしょう。ヤツは今、王宮内の牢獄の中で、最も奥深いところに閉じ込められております。ヤツの顔をご覧になりますか?」


 ブユーデンの発言を受け、カケルが級友たちの顔を見渡すと……


 皆一様に、首を振った。


「ご配慮ありがとうございます。でも…… みんな、見なくてもいいようです」

 みんなを代表してカケルが答えた。


「左様ですか…… あなた方は、心優しき真の勇者ですね」

 そう言って、ブユーデンは優しく微笑んだ。


 牢獄の話を聞いて、王女の変わり果てた姿を思い出したのだろうか。

 カケルの級友たちは、少し暗い気分になってしまったようだ。


 場の空気を察したブユーデンが、

「少し場の雰囲気を変えましょうか」

 と言って、少し何かを考える素ぶりを見せた。そして——



「おい! コゼニスキー! コゼニスキーはいるか!」

 ブユーデンが大きな声を上げたところ——


「ハイハイ、なんでございましょうか、お師匠様。このコゼニスキーめ、お師匠様がお呼びとあらば、いつでも駆けつけ…… あっ! あなたはカケル様ではありませんか! それに委員長様、舞様も。いやぁ、お久しぶりですね!」


 調子のいいことを言いながら走ってきたお姉さんは、ボロモーケの街で出会った神官コゼニスキーであった。

 聖道具の横流しをしていたことがセイレーンにバレて、エラく怒られていたっけ。

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