表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラス全員異世界転移したのに俺だけ遅刻した〜腹黒王女からクラスメイトを取り戻せ!〜  作者: 大橋 仰
第4章 ハーレムにつられた男子たちの末路

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/69

こんなふざけた結末でいいのだろうか

 ケンイチの背後にある大岩に隠れていた委員長たちが姿を現した。


 それを見たカケルが——

「フッ、これでやっと、俺たちスポーツ科20人が全員揃ったな」

 カッコつけてそう言ったのだが……

 20人全員揃わなかったのは、カケルが遅刻したせいじゃなかったのか?


「なんだよ、お前らもいたのか…… ならちょうどいい。今まで世話になったな。ア…… アシタからも元気でな!」

 なんとかアバヨと言うのをこらえたケンイチであった。


 ヤレヤレといった顔で、舞が口を開く。

「おいケンイチ。お前、ホント、面白くないな。そんなことじゃ、真の勇者になんて、なれないぞ?」


「ウッセエんだよ、このバカ! 別に勇者は、おもしろコンテストで選ばれるわけじゃネエんだよ! 俺には聖剣があるんだ。これさえあれば、俺は無敵なんだよ!」



「ほう、では私にも勝てると言うのか?」

 ニヤリと笑ったコダチが尋ねる。


「ああ、そうだ。この聖剣があれば、お前にだって勝てるんだよ!」


「フッ、何を言うかと思えば。剣道では私から一度も一本を取ったことがないくせに」


「なあ、コダチ…… ホント、そういうこと言うの、やめてくれネエか? みんな信じるだろ? 練習じゃあ、俺だってお前から1本取ったことぐらいあるよな? お前はなんでそう、当たり前のように嘘をつくんだ? クソッ! 俺はお前のそういうとこがキライなんだよ!!!」


「おいカケル。アイツ、お前のことキライだって言ってるぞ?」


「……嘘つくなよ。俺もお前のそういうとこキライだよ」


「ちょっと、仲間割れしてどうするのよ!」

 委員長が口をはさむ。


「私、カケル君にはみんなと仲良くして欲しいの」

 ミサオもカケルに声をかける。


「そうですよ、カケル様」

 セイレーンも言葉を添える。



「チクショウ…… なんだよカケル!お前、なんかもう、すでにハーレム状態じゃネエか!」


「うおおおーーーん! 俺の胸に刻まれた聖紋のことも知らないくせに!」


「お、おい、なんで泣いてんだよ…… なんかよくわかんネエけど悪かったよ……」

 ケンイチは結構いいヤツだった。


 カケルは泣きながら、スキル『隠蔽(本当は姑息こそく)』を使って姿を消した。


「おい、カケル、いじけて姿消してんじゃネエよ! それにしても…… おまえ、変なスキル持ってんだな」



「カケルのことは放っておけ。おい、ケンイチ。それならどちらが真の勇者に相応しいか、その聖剣をかけて勝負しようじゃないか」

 コダチが自信に満ちた表情で言い放った。


「戦争を望む人が、勇者になんかなってはいけません。コダチ様、ここは思い切りやっちゃって下さい!」

 セイレーンもコダチを応援する。


 聖剣の力は恐ろしい。たぶんコダチでも敵わないだろう。セイレーンはそう思っていた。そう、あの秘策を耳にするまでは。


 二人の挑発的な言葉を聞いたケンイチがいきり立つ。

「ハン! いいだろう。後で泣いて謝っても許してやらネエからな! それじゃあ、一対一の真剣勝負で——」


「カンチョーーー!!!」

 ケンイチがカッコいい台詞を言い終わる前に、突然、カケルの雄叫びが周囲に響きわたった!


いてえええ! カケル、テメーなにを——」


きありぃぃぃ!!!」

 コダチの剣が宙を舞った。


「ぐあああ!!! いてえええーーー!!! テ、テメーら、汚ネエぞ!!! あああっっっ! おい、見ろよ! 俺の右腕の骨、折れてるじゃネエか! ほら、変な方向にプラーンってなってるよ!!!」


「フッ、私は個人戦より団体戦の方が好きなんだ」


「こういうのは団体戦って言わネエよ!!! 不意打ちって言うんだよ、この卑怯者!!!」


 それでもケンイチは諦めず、左手で聖剣を握り直した。しかし——


「い、いてえ、何すんだよ! お前ら、なんで遠くから石なんて投げてんだよ! 汚ネエぞ!」

 ケンイチ目掛けて石を投げているのは、遠投3人娘だ。


「あたしら、この前のキタノ砦の戦いで、全然活躍出来なかったんだよ!」

「このままじゃ、目立たないまま終わっちゃうんだよ!」

「あたしの名前はトテキじゃなくて戸瀬木トセキだよ!」


「知ってるよ!!! というか、お前の名前覚えてないの、舞だろ!? 俺に八つ当たりすんなよ!!! おい、それから委員長と舞! 」

 ケンイチが二人に視線を送る。


「お前らそこで、コソコソ次の攻撃の相談すんなよ! なんか連携技がどうとか聞こえてんだよ! 怖いからやめろよ!!!」


「チッ、ばれたか」


「クソっ! 舞、テメー、生意気に舌打ちしてんじゃネエよ! おい、それから水野と聖女さん! 今、『私たちもやってみましょうか』って言っただろ! ちゃんと聞こえたんだからな!アンタら、委員長たちの連携技に触発されただろ!? 別に無理して参加しなくていいんだよ!」


「「 残念…… 」」


「それから…… なあ、農山。お前、なんでそんなところで、怪しげな草を育ててんだ?」


「え? だってやることないし」


「やることないなら、じっとしてろよ! ある意味、お前が一番こえーよ!」



「カンチョーーー!!!」


いてえええ! カケル、テメーまだ後ろにいたのかよ! しつけーんだよ!!!」



 カケルの二度目のカンチョーにより、ついにケンイチの左手から聖剣が離れ、彼の足元へと転がり落ちた。

 その一瞬のすきを突いて、ケンイチの近くにいたアニーが地面に落ちた聖剣をサッと拾い上げ、そして駆け出した。


「カケル、これを持って逃げて!」

「ナイスだ、アニー!」


 カケルは透明化したまま、聖剣を受け取った。


「あっ、聖剣ドロボー! 返せよ、カケル! テメーはホント、手癖の悪いヤツだな! いっつも俺の弁当箱から唐揚げ盗みやがって! ああもう、唐揚げ一個やるから、聖剣返せよ!!!」


 カケルは自分の手にとった物も透明化することが出来る。

 もう、ケンイチの目では、聖剣を捉えることは出来ない。


「アニー、テメー余計なことを……」

 怒りの矛先をアニーに向けるケンイチ。


「待て、お前の相手はあたしだ」

 柔道部の剛田が、のっしのっしと、ケンイチへと近づく。


「お前がお望みの、一対一の勝負に応じてやろうじゃないか」


「ハア? 今更なに言ってんだよ! お前は状況判断が苦手なタイプなのか? 俺の右手、もうプラーンってなっちゃってるだろ?」


「正々堂々勝負だ!」


「おい、やめろよ! 人の話はちゃんと聞けよ!!!」


「おりゃあああ!!!」


 猪武者こと剛田が、豪快に一本背負いを決めた。


 あーあ、ケンイチのヤツ、左足までプラーンとなっちゃったよ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ