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クラス全員異世界転移したのに俺だけ遅刻した〜腹黒王女からクラスメイトを取り戻せ!〜  作者: 大橋 仰
第3章 決戦のとき、来たり来なかったり!

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キタノ砦には幼なじみが 後編

「あのバカ…… コダチは待てって言ってんだろ! げっ、俺目掛けて突進して来やがる! せ、先生! セイレーン先生!お願いします!!!」


 突進してくる剛田の姿に怖れをなし、用心棒役の聖女サマの後ろに隠れるカケル。

 ちょっとカッコわるい。


「……仕方ありません」

 そう言うと、聖女サマはスキル『水成すいせい』を発動させ、軽く剛田を吹き飛ばした…… つもりだったが。


 剛田は、10mほど後ろに吹っ飛ばされた……


「ご、ごめんなさい! これでも威力を抑えたのですが……」

『セイレーンさんを怒らせてはいけない』と、周囲にいるすべての者が心に刻んだようだ。


「まったく…… 待てと言っているのに。今、恐ろしくヤバげな攻撃をしたあなたは、確か半年ほど前、王宮でお会いした聖女殿ですね」

 淡々と言葉を述べるコダチ。


「はい……」

 そう言いながら、聖女サマは吹っ飛ばした剛田のもとへ駆けて行った。


 そんな聖女サマを見つめるカケルが——


「やっぱり、セイレーンさんは優しいな。なんかもう、セイレーンさんを見てるだけで、幸せな気分になるよ。嗚呼ああ、セイレーンさん最高!」


 そう言ったカケルに向けて、コダチがひと言。


「…………キモチワル」


「テメエ! フザケンナよ!いくら幼なじみだからって、言っても良いことと悪いことがあるんだからな!」


 そうなのだ。実はカケルとコダチは幼なじみなのだ。


「私の黒歴史をほじくり返すのはやめてくれないか。まったく…… カケルはいつも女性をイヤラシイ目で見て…… 本当に困ったものだ」


「今の俺の発言の、どこにイヤラシイ要素があるんだよ! はっきり言っておくが、俺はお前を性的な対象として見たことなんて、あんまりないんだからな!」


「ちょっとはあるんだね…… なんてことはこの際、忘れようか。やあ、みんな久しぶりだね」

 爽やか蹴人が笑顔で挨拶するが……


「久しぶりに会ったのに、なんだかあまり歓迎されていないみたいだね」


 そんな蹴人の発言を受け、みんなを代表するようにコダチが口を開いた。


「王宮から情報が届いているんだ。極悪非道の変態カケルが、ここに来るかも知れないってね」


「なんだよ。俺が来るのわかってたのか。ああ、だからさっき、セイレーンさんが声を上げたにもかかわらず、俺が近くにいると思ったんだな」


「カケルはプライベートスキル『潜伏』が使えるんだろ? 突然現れるとしたらカケルだろうと思ってな」

 本当は『潜伏』じゃなくて、『姑息こそく』なんだけどな。


「でもお前さっき、『この気配はカケルだな』とか言わなかったか? お前、俺の気配がわかるのかよ?」


「ちょっと、カッコつけたかっただけだ」


「とても自然に言葉が出てきたように思えたが?」


「実はこの台詞、1週間前から考えてたんだ。どうだ、凄腕剣士みたいだっただろ?」

 おわかりだろう。

 コダチはちょっと天然なのだ。


 そんな二人のやり取りを微笑みながら眺めていた蹴人が、再び口を開く。

「まったく、カケルはいつも楽しそうで羨ましいよ。じゃあ改めて、みんな久しぶり、元気だったかい?」


 今度は、聖女サマの肩につかまりながらこちらに戻って来た剛田が、蹴人の言葉に応える。

「まさか蹴人もカケルと一緒だったとはな……」


「愛様、大丈夫ですか」

 剛田のフルネームは、剛田愛という。

 剛田の隣で肩を貸している聖女サマが心配そうな顔をして、そうつぶやいた。



「……剛田と呼んでくれないか。名前で呼ばれるのは…… 恥ずかしいんだ」

「わかりました。では剛田様、改めまして、申し訳ありませんでした」


「いや…… アンタ、あれでも手加減してくれてたんだろ? 感謝するよ。それから、今後アンタを怒らすようなことはしないと、アタシはすべての神様に誓うよ」

 よっぽど怖かったんだろうな……


「僕たちはケンカしに来た訳じゃないんだ——」

 と、蹴人が話を続ける。

「——カケルのことはちょっとした誤解だよ。僕はカケルと一緒に、みんなの顔を見に来ただけなんだ。ああ、剛田さんも戻って来たみたいだね。剛田さん、大丈夫?」


「あ、ああ。も、問題ない…… かしら」

 剛田は蹴人の前だと乙女に変身するのだ。


「剛田様、本当に申し訳ありませんでした。お詫びと言ってはなんですが、皆様との再会を祝って、お茶にでもしませんか? 兵士の皆さんもいかがです?」

 ニッコリ笑顔のセイレーン。


「しかし……」

 兵士たちは困惑している。そんな兵士たちに向かってコダチが声をかける。


「まあ、いいじゃないか。どうせカケルたちの取り調べをするつもりなんだろ? じゃあ、お茶を飲みながら話をしたって、別に軍規に違反するわけでもないだろうに」


「では……」

 コダチにそう言われては、兵士たちもこれ以上、反論できないようだ。


 兵士は全部で10人いる。


 蹴人が担いでいたリュックから、コップを取り出して——


「コップは8人分しか持ってきてないんで、申し訳ありませんが、兵士のみなさんは、ちょっと待ってて下さいね」

 蹴人も笑顔で兵士たちに告げた。


「あの…… コダチ様。本当に飲んでよろしいのですか?」

 兵士の一人が、心配そうに声を上げる。


「ああ、そういうことなら、僕たちが先に飲みますよ。それならいいでしょ?」

 どこまでも爽やかな蹴人だった。


 セイレーンは聖道具で暖かくしたお茶を、器用にコップへと移し替えていた。

「マドロースの街で見つけたお茶の粉末を使っています。あっ、これはここに来る途中に立ち寄った街で買った、シタゴコロ饅頭です。別に深い意味はありませんよ?」

 ……明らかに怪しいよ。なんでそんな饅頭買ったんだよ。



「お茶を飲むのは久しぶりだ」

 そう言うと、コダチは蹴人がコップに口をつけるのを待たずに、自分のコップを手に取り、ぐびりとお茶を喉に流し込んだ。そして——


「ぷはー、上手い!」

 風呂上がりにビールを飲んだおっさんのような声を上げた。


「そう言ってもらえると嬉しいよ」

 そう言うと、蹴人も自分のコップに口をつけた。


「剛田さんも、よかったらどうぞ」

 蹴人がそう言うと、


「じ、じゃあ、いただこう…… かな」

 と、頬を染めながら剛田もお茶を口にした。


 二人の様子を見ていた遠投3人娘も、警戒しながらもお茶を口にふくんだ。


 さあ、ではお待ちかねの質問タイムだ!

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