舞・炸・裂! 後編
「これまでの話を聞いたところ、鶴木心立は洗脳されてないみたいなんだけど…… なあ舞、アイツは洗脳されてたと思うか?」
カケルは舞に、疑問をぶつけてみた。
「知らない」
淡白な答えが返ってきた……
「……ふぅ、質問を変えよう。鶴木だけ、他のヤツらと何か違うなと感じた——」
「わかんない」
「……おい、人の話は最後まで聞きましょうって、小学生のとき先生から——」
「あっ、それから、アタシとミサちゃんが街に行くって言ったら、農山さんと蹴人も、戦場じゃなくて街に行たいって言ったんだ」
農山さんとは委員長と同じく薙刀部に所属する女子のこと。
蹴人とはサッカー部に所属するイケメンで、かつ性格がすこぶる良い男子のことだ。
「だから、アタシたち4人は街へ、他の女子5人は北へ向けて旅立ったってわけ。ああ、それから。委員長はアタシたちよりずっと前に、ひとりで北の離宮ってとこへ…… あああっっっ! 委員長、なんでここにいるの!」
「……今更かよ」
「……今更ですか?」
「……今更なの?」
「……えっと、私も参加していいですか? では不肖、私コゼニスキーもツッコませていただきます! コホン、今さ——」
「委員長は北の離宮にいるんじゃないの!」
「ちょっと、舞様! 私にもツッコませて下さいよ! それから、人の話は最後まで聞きましょうよ!」
「おねえさん、面白いね。ひょっとして、おねえさんもバカなの?」
「……なんかもういいです。すみません、話の腰を折っちゃって。どうぞ話を続けて下さい」
ちょっと涙目のコゼニスキーは放っておいて、と。
委員長が舞に向かって口を開いた。
「私、高嶺さんに警戒されてるのかと思って、今まで黙って話を聞くだけにしてたんだけど……」
「え? なんでアタシが警戒すんの?」
「王女たちが、私の悪い噂を流してたから……」
「あああっっっ!!! そうだった! おい、カケル! お前、気をつけないと、委員長に洗脳されるぞ!」
「……おいバカ、とりあえずお茶でも飲んでちょっと落ち着け」
言われるがまま、ずずず、とお茶を飲んでほっこりする舞。
舞が落ち着いたのを確認した委員長が、これまでの経緯を説明した。
「ふーん、そうだったんだ。なんかゴメンね、疑っちゃって。よく考えたら、委員長がアタシたちに悪いことするわけないのにね」
舞の言葉を聞いた委員長が、少し恥ずかしそうに微笑んだ。
それを見たセイレーンが——
「うおおおーーーん! ええ話ですーーー!!!」
と、号泣した。
そしてカケルも——
「うおおおーーーん! 委員長、良かったなあーーー!!!」
と、やっぱり号泣した。
それからコゼニスキーも——
「うおおおーーーん! お茶飲んだら熱くて、舌、ヤケドしっちゃったーーー!!!」
……紛らわしいよ。関係ないことで涙流すなよ。お前が単にネコ舌なだけだよ。
「ちぇっ、なんだよ。おねえさん、おいしいとこ持って行っちゃって」
舞はコゼニスキーに、ちょっと嫉妬しているようだ。
「まあまあ、コゼニスキーさんのお笑いスキルの高さについては置いておくとして…… それで、高嶺さん、あなたは私たちに協力してくれるの?」
委員長の問いに対して舞は——
「ねえ、次はミサちゃんを助けに行こうよ! ミサちゃんは近くの村にいるんだ。それに、ミサちゃんはしっかりしてるから、いろいろ知ってると思うからさあ。というか、ミサちゃんのトコに行かないんなら、アタシ、飛翔スキル使わないからな」
カケルの説明通り、舞はお子ちゃまだった。
「そうね。水野さんはしっかりしてるし、いろいろな情報も知ってると思うから、いいと思うんだけど。二人はどうかしら?」
カケルとセイレーンは号泣したまま、コクリコクリと頷いた。
……まだ泣いてたのか。
「じゃあ、決まりね」
「おう! アタシがみんなをミサちゃんのトコまで運んでやるよ!」
王女の部屋からくすねてきた地図によると、水野操はここから更に南の地にいるようだ。
こうして、カケル、セイレーン、委員長、舞の4人は、これから更に南を目指すことになった。
そのとき、コゼニスキーは湯飲み茶碗に向かって、フーフーと息を吹きかけていた。
どんだけネコ舌なんだか……




