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クラス全員異世界転移したのに俺だけ遅刻した〜腹黒王女からクラスメイトを取り戻せ!〜  作者: 大橋 仰
ハイジャンパー 高嶺舞(タカミネ マイ) 編

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舞・炸・裂! 前編

 温泉で大騒ぎをしたカケルたち。


 おかんむりのご様子の管理人に、聖紋のことやスキルのことを説明したところ——


 心から憐れな視線を送られた代わりに、温泉施設内にある休憩所を使わせてくれた。

 それに、舞の着替えも用意してもらえることになった。


 カケル、セイレーン、委員長、コゼニスキーの4人は、管理人の男が用意してくれたお茶を飲んでほっこりしながら、舞の着替えが終わるのを休憩所で待っていた。


 着替えを終えて休憩所に戻って来た舞。

 温かいお茶を飲みながら、カケルたちに食ってかかった。


「なんだよ! アタシを勝手にこんなトコに連れて来て! アタシにはこの街の荷物を運ぶという大切な仕事が…… あれ? 荷物を運ぶ仕事って、そんなに大事なの?」


 舞の洗脳が解けているのか?

 やはりこの温泉には、精神干渉系スキルの影響を解除する効能があったようだ。


「なんでアタシ、宅配センターの主任の仕事に誇りを持ってたんだろう?」


「お前、帝国の連中に洗脳されてたんだよ」

 舞の問いにカケルが答えた。


「アタシさあ、自分の力で流通を発展させて、この街を繁栄させてやるって思ってたんだよね」

 しみじみとつぶやく舞。


「お前一体何者だよ? 地方の名士かよ? 市会議員にでもなるのかよ?」

 カケルがツッコんだ。そして——


「なあ舞。お前、洗脳されてたのに、なんで戦場に行かなかったんだ?」


「うーん…… よくわからないけど、やっぱり戦争するのって、なんかそれだけは出来ないって思ったんだよね……」


「まあ! あなたは素晴らしい心をお持ちなのですね!」

 隣で聞いていたセイレーンが、賞賛の声を上げた。


「いや、たぶん違うと思いますよ? 俺、コイツとおんなじ部活だったからわかるんですけど、コイツはごく普通の心をお持ちだと思います」


 それを聞いた委員長が補足する。

「たぶん、日本で育った私たちにとって、人間同士で戦争をするのっていうのは、どんなにスキルで洗脳されても、受け入れられないことなのかも知れないわね」


「あなたがたは、とても素晴らしい国の人なんですね!」

 再び賞賛の声を上げるセイレーン。


「あれ? でもカケルは他の国の人じゃなかったっけ?」

 と言った舞に対しカケルが、


「嘘つくんじゃネエよ! 俺は群馬県民の父と栃木県民の母から生まれた、正真正銘の日本人だよ!」

 と、反論するが……


「え? 北関東って外国じゃないの?」

「なあ舞、それボケてるのか? それともバカなのか? とりあえず北関東の人に謝れよ」


「スンモハン」

「……鹿児島の人にも謝れ」

 どうやら舞は、鹿児島が北関東にあると思っているようだ。


「あの、カケル様。このままでは話が進まないのですが………」


「そ、そうですね。じゃあ、舞、みんな戦争を嫌がってたのに、なんで男子の多くは、前線に行ったんだ?」


「さあ?」


「……ふぅ、質問を変えよう。じゃあ、なんで舞は、他の女子と一緒に北へ行かなかったんだ? 確か5人の女子は魔族領と接する北の国境に行ったんだろ?」


「ミサちゃんが、行っちゃダメって言ったから」


「は?」


「我が家の教育方針は、『ミサオちゃんの言うことは、ちゃんと聞きましょう』なんだ」

 操ちゃんとは、水泳部に所属する水野ミズノミサオのことで、舞と操は幼なじみなのだ。



「お前の保護者は、お前の教育を放棄したのか? まあ、気持ちはわかるけど……」


 話が長くなるのでまとめると、舞たちは3ヶ月ぐらい王宮で暮らしながら訓練をしていた。

 そこではスキルの使い方や、この世界のことを学んだ。

 次の2ヶ月で森などに行き、実践訓練をした。


 そして——


「今から1ヶ月前、いよいよ西に行くことになったけど、なんか女子と男子が喧嘩になったんだ」


「理由は?」

 カケルの質問が続く。


「よくわかんない」


「ちょっとぐらい、思い出そうと努力しろよ……」


「うーん…… そうだねえ…… むむむ……」


「……やっぱりいいや。お前はよく頑張ったよ、うんうん。それじゃあ、なんで水野さんは、戦場に行くなって舞に言ったんだ?」


「アタシは戦いに向いてないからって。ほら、アタシがいるとプライベートスキルのせいで、周りのみんなが爆笑しちゃうからさ。ホントはさあ、剣道部の鶴木ツルギ心立コダチたちが北に行くって言ったから、アタシも一緒に行こうと思ったんだ。でもミサちゃんが、北にも行っちゃダメって言ったんだよ。だからミサちゃんはアタシと一緒にここまでついて来てくれたんだ。でも今、ミサちゃんは、ここからちょっと離れた場所にいるんだけどね」


「ふーん、そうなのか。でも、そんなのよく、王女が許したな」


「ん? 鶴木が言ってくれたんだよ。『戦いたくない者を無理やり戦場に連れて行くな』ってね。あのさあ、鶴木ってメチャクチャ強いんだよ。鶴木が持ってる『剣豪』ってスキル、あれは相当ヤバイね。だからさあ、そりゃあ、鶴木がそう言ったら、帝国の連中はおとなしく従うしかないのさ」

 剣道部の鶴木心立の名前は、委員長の話の中でも出てきた。

 最後まで委員長の味方になってくれたという。

 鶴木心立は洗脳されていないのだろうか?

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