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クラス全員異世界転移したのに俺だけ遅刻した〜腹黒王女からクラスメイトを取り戻せ!〜  作者: 大橋 仰
ハイジャンパー 高嶺舞(タカミネ マイ) 編

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本当にやるんですか?

 只今の時間は午後10時。

 カケル、セイレーン、委員長、コゼニスキーの一行は、舞の家の前に到着した。

 家の場所はコゼニスキーが知っていたので案内してもらったのだ。

 舞はこの街では有名人なんだとか。


「警備の人が一人もいないんだけど…… ちょっとセキュリティ甘くないか?」

 カケルがつぶやいた。


「えっと、舞様がお持ちのスキルのおかげで、あの方には何人なんびとたりとも近づけないから心配はいらないのです。それはそうと…… ねえ、本当にやるんですか?」

 不安そうな表情のコゼニスキー。


「嫌なら別に、止めても良いんですよ?」

 笑顔で応えるセイレーン。

 その笑顔の裏側に何があるのだろう?


「い、いえ、やらせていただきます。心からやらせていただきます!」

 コゼニスキーは笑顔の裏にある何かを、敏感に感じ取ったようだ。



 念のため、カケルたち4人は、『隠蔽(本当は姑息こそく)』スキルを使い、舞の家の中に潜入した。


 女性3人が舞の寝室に入る。

 カケルは寝室の前で待機している。

『エロいこと禁止聖紋』の発動を怖れての配置だ。


 舞はぐっすり眠っていた。カケルの情報通りだった。

 カケルが語った情報は以下の通り。


 舞はお子ちゃまだから、午後10時には寝る。

 舞は一度寝ると、めったなことでは起きない。

 舞は寝相が悪いので、朝起きるとお尻丸出しであることが多い。

 だからカケルは舞の寝室に入ることが出来ないのだ。


 そして最後にカケルが話した舞の情報は——


 舞は手がデカい。


「アハハハーーー!!! お、お腹が痛い…… ワハハハハ!!!」

 コゼニスキーが爆笑しながら、舞の指に指輪をはめようとしている。


 この指輪は、委員長が北の離宮で装着させられていた『スキル封じの指輪』である。

 この指輪を舞に装着させ、プライベートスキル『芸人』を封じようと考えたのだ。


 だが、やはり舞の指が太すぎて、指輪ははまらないようだ。


 舞から距離をとって——舞のスキル発動範囲は1mだと、舞本人が言っていた——様子を見ていた委員長が口を開く。


「仕方ないわね。でもまあ、ここまでは想定内よ。じゃあ、事前の計画通り、次の作戦行動に移りましょう。ということで、コゼニスキーさん、お願いします」


 コゼニスキーが、『やっぱりやるんですか?』という顔をしている。

 委員長はとびきりの笑顔で頷いた。



 さて、カケルたちがこれから作戦を始める前に、ひとつ説明を加えさせて欲しい。


 実はここに来る前、セイレーンの発案により、一つ試したことがあったのだ。


 名づけて『お手手つないで数珠じゅずつなぎ』作戦。

 セイレーンのネーミングセンスについては割愛することにして……


 カケルが左手で委員長と手をつなぎ、右手でセイレーンと手をつなぐ。更にセイレーンが右手でコゼニスキーと手をつないだ状態で、街の中を走ってみたところ——


 道行く人が、カケルたちの存在に気づかないのだ。



 では、話を戻そう。


 意を決した様子のコゼニスキーが、爆笑しながら舞を抱え上げた。


 さあ、カケルたちが考えた作戦、

 寝ている舞様をさらって、温泉につけちゃいましょう作戦の開始だ!

 もちろん、作戦名を考えたのはセイレーンだ!


「アハハハーーー!!! お、お腹が痛い…… ワハハハハ!!!」

 コゼニスキーの笑い声が部屋中に響き渡る。


「さあ、コゼニスキーさん、行きますよ!」

 コゼニスキーを急かして、舞の寝室から駆け出すセイレーン。



 今回の作戦は、コゼニスキーになんとか片手で舞を担いでもらい、みんなでカケルと手をつないで郊外にある温泉まで走って逃げる、そして舞を温泉に入れるというものであった。

 この作戦を聞いたコゼニスキーの顔が引きつっていたことは言うまでもない。


 爆笑しながら舞を右腕で抱えているコゼニスキーの左手をセイレーンが握ったとき、この完璧であると思われた作戦に、一つのほころびが生じた。それは——


「ウケケケケ!!! な、なぜ私まで…… ウキャキャキャキャ!!!」


 セイレーンも、舞のスキルの効果範囲、半径1mの中に入っていたのだ……


「早く! 早瀬君、手をつないで走って!」

 委員長の言葉を受け、委員長とセイレーンの手を握って走り出したカケル。


「アッハッハッハッハーーー!!! ヤ、ヤバイ、俺も舞のスキルの影響を受けてる…… ワッハッハッハッハーーー!!!」


 どうやら、カケルもスキルの効果範囲内に入っているようだ……



 この夜、ボロモーケの街では、どこからともなく聞こえてくる不気味な笑い声が街の至る所で響き渡り、大騒ぎになったそうだ。

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