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クラス全員異世界転移したのに俺だけ遅刻した〜腹黒王女からクラスメイトを取り戻せ!〜  作者: 大橋 仰
第2章 クラスメイトを救い出せ! 委員長 真締聖羅(マジメ セイラ) 編

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場を和ませようと思って……

 委員長こと真締マジメ聖羅セイラは話を続ける。

 話題は、敵——国王や王女、宰相のじいさんたち帝国のヤツら——と、味方——クラスメイトたち——が持つ、スキルの話へと移っていた。



「国王にはスキルがなかったわ。王女のスキルは『召喚』だった。たぶん王女が私たちをこの世界に召還したんでしょうね。それから黒いローブ? で良いのかしら、魔法使いみたいな格好をしたお爺さんのスキルは『国威こくい』だったと思う。時間がなくて、説明まで見ることは出来なかったんだけど、変わった名前だったからよく覚えてるわ」


「セイレーンさん、『国威こくい』って、どんなスキルなんですか?」

 カケルがセイレーンに尋ねるが……


「申し訳ありません。スキルには一般的なものとそうでないものがありまして…… 『国威こくい』というスキルは聞いたことがありません……」

 心から申し訳なさそうにつぶやくセイレーン。


「い、いえ、とんでもない! 俺の方こそ、なんでもセイレーンさんにばっかり頼っちゃって、なんだか申し訳ないです! きっとそのうち、どこからか情報が入って来ますよ! ええ、きっとそうなりますとも!」


「……必死だね、早瀬君。あなたを見てると、なんだか涙が出そうよ」


「悪かったな! どうせ俺は女子にモテた経験なんてないよ! ああ、もう、早く次の話に移ってくれよ!」


 ふふふ、と笑いながら委員長は、次の話に移るため口を開く。

「謁見の間にいた残りの家臣の中で、スキル持ちは6人いたわ。『回復』が一人に…… それから『微速』が3人『軽速』が2人だったかしら」


「『微速』と『軽速』って、どっちが速いんだ?」

「知らないわ」


「あれ? 『小吉』と『末吉』はどっちが縁起いいんだっけ?」

「どうでもいいわ」


「『中盛り』のご飯少なめと、『並盛り』だと——」

「うるさいわ。黙って」


「なんだよ…… 場を和ませようと思って頑張ったのに……」

「カケル様、ドンマイです!」


「セイレーンさん…… ありがとうございます!」

「いえ、私は当然のことを言ったまでです!」


「いえいえ。セイレーンさんの励ましのおかげで——」


 カケルの話をさえぎり、委員長が口をはさんだ。

「……長くなりそうだから、以下、省略。次の話に行くよ」

 …………委員長に『以下、省略』の台詞を取られた……


 次に、委員長はクラスメイト全員のスキルを教えてくれた。

 謁見の間で全員のスキルが表示されたとき、みんなのスキルを確認したそうだ。

 流石、委員長。やっぱり仲間思いの頼れるリーダーだ。



 委員長の話を聞いたカケルは——


「ほとんどのヤツが持ってるスキルは、部活に関係するみたいだな。剣道部の鶴木ツルギ心立コダチのスキル『剣豪』なんて、いかにもって感じだし。あれ? でも委員長は薙刀なぎなた部じゃなかったけ? 薙刀って試合中に相手を『説教』するのか?」

 むむむっ? と変な声を出しながら、カケルが委員長に尋ねた。


「私は生徒会にも所属してたから、たぶんそっちがスキルに影響したと思うの。自分で言うのもなんだけど、ウチの高校の生徒会って、ちょっとエラそうな態度の人が多いでしょ? そういう人はみんな、他人にお説教するのが大好きなのよ。先生にでもなった気分なんでしょうね」


「え? 委員長って、生徒会にも入ってたの?」


「…………ウチの学校は、学級委員が自動的に生徒会役員になることになってるんですけど」

 少しムッとした表情の委員長。


「思い出した…… みんな生徒会役員になるの嫌がったんで、仕方なく委員長がやってくれたんだった。その節は誠にお世話になりました」

 ペコリと頭を下げるカケル。


「まったく、調子いいんだから。それから、みんな私のこと『委員長』って呼んでるけど、本当はただの学級委員なんだからね」

 委員長がそう言うと——


「委員長様は良い人なんですね!」

 満面の笑みを浮かべたセイレーンが声を上げた。


「ちょ、ちょっとなんですか急に。べ、別に私はそんな……」

 委員長は照れ屋さんなのだ。



 さて、今度は委員長がカケルへの質問を始めるようだ。


「早瀬君のスキルは『潜伏』なのよね?」

 本当は姑息こそくだけどな。


「『潜伏(本当は姑息こそく)』はプライベートスキルなんだ。一般的なスキルの方は『疾風』って言って、速度が3倍になるトンデモスキルなんだぜ。そう言えば、委員長のプライベートスキルは何なんだ?」


「プライベートスキル? なにそれ、 聞いたことないんだけど?」

 驚いた表情の委員長。


「カケル様! プライベートスキルを無理やり聞き出そうとするのはマナー違反ですよ!」

 セイレーンから、待ったがかかった。


「えっ? そうなんですか? ごめん委員長、俺この世界に来たばっかりなもんで知らなくて——」


「違うの! 秘密にしたいんじゃなくて、本当に知らないの!」

 委員長はプライベートスキルを持っていないのだろうか?


「本当よ! 信じて!」

 真剣な表情の委員長。


「信じるよ。委員長は嘘をつくようなヤツじゃないからな」

 真面目な表情で応えるカケル。


「……ありがとう」

 委員長は再び頬を染めた。

 やっぱり委員長は照れ屋さんだ。

 いや、ひょっとするとツンデレなのか?



「あの…… 詳しいことは私も知らないのですが——」

 と、前置きをしたうえで、セイレーンが口を開いた。

「——この世界で、プライベートスキルを持っている人はほとんどいません。一般的なスキルを持っている人自体が少ないのですから。もちろん私もプライベートスキルは持っていませんよ。だから委員長様が持っていなくても、別に不思議ではないと思います。委員長様とは今日お会いしたばかりですけど、私も委員長様が嘘をつくような方だとは思えません。ですからきっと、委員長様はプライベートスキルを持っておられないと思います」


「ありがとう、セイレーンさん」

 委員長は、今日何度目になるかわからないが、またお礼の言葉を口にした。

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