うらしゃか
「お疲れ様でーす」
「あいおつかれさん」
「ななな、見てみ見てみ今日の収益」
「うおすげ」
「記録更新いけるんちゃうか〜これ」
「ここ最近下振れだったのに珍しいすね」
「あれ、知らん?」
「はい?」
「ボーナスデイ言うやつよ今日」
「1日限定で確率爆上げとか賞金上乗せとか、
お客様に感謝〜てやるオーナー直々のイベント」
「へーあのドケチがそんなんやってんすか」
「まあ宣伝文句がそんなんなだけで
実際は何の設定も変えてへん詐欺のお祭りやで」
「やべー」
「どっち側にとっての”ボーナス”かなんて
言うてへんからな!」
「この店いつも犯罪ラインのスレスレどころか
ちょっと超えてますよね」
「いや〜照れるわ〜」
「これが褒めになるんだ…」
「てかほんとに知らんかったん?
新人教育には入っとったと思うけど」
「や、心当たりは無いっすね」
「ありゃま」
「キミの教育担当誰やったっけ?」
「えー誰だったっけ…
確かこの前急に来なくなった…」
「あぁ分かった、あん人な」
「はい…てか何でですか」
「上に言いつけてそいつの評価落としたろ思て」
「怖ぁ」
「これがここの処世術〜」
「でもそいつこの前悪さしてもう消されてるわ、
意味無かったな」
「だから来なくなったんだ…」
「てか思えばキミももう新人やないよな〜
ここ来て何ヶ月経った?」
「何ヶ月ってかもう一年すね」
「えっ嘘早ない?」
「俺も最近気付いてびっくりしました」
「よね?」
「全然実感無いっす」
「分かる〜…まあキミってば
最初からすっごい馴染んでたもん、
何教えてもすぐ覚えるわ良く働くわで」
「拾ってきたばっかん時なんてもう
こんなんやったんけどな〜
こんなちいこくてかわいかった」
「略してち◯かわ」
「略さないで下さい」
「今ではすっかり鎧さんや…」
「ハマってるんですか?」
「にしてもすごいっすね収益」
「やな、ここ数年でも中々見ない伸び…
こりゃ記録更新あるで〜」
「すげー」
「ほいじゃポチッとな」
「何すかそれ」
「テンサゲボタン」
「本当に何ですか?」
「確率…賞金…お客がプラスになるもの全て…
下げられるものを一気に最低値まで下げる、
それがテンサゲボタンや」
「カスでギャルなボタンだ」
「とにかくこっからは俺らにとっての激アツ!
ぶっ飛ばして過去最高記録更新や!!」
「はえー」
「ほらほら休んでないでキミも戻るんよ」
「えっ休憩は…」
「何言うてん!」
「あないな詐欺ボタン押してもうたんやから
起こるトラブルも倍やで〜」
「スタッフにもテンサゲのボタンじゃないすか」
「だ〜いじょうぶ!こんぐらいまで夜が深まると
全てを搾り取られ金も語彙すらも無くし
ただのちい◯わに成り果てた奴しかおらへんよ」
「そんな奴らをちい◯わに例えないで下さい」
「おっ早速騒ぎが聞こえてきたで」
「ほら護身用持って護身用」
「やべ、俺弾切らしたんだった」
「補充せぇや〜」
「ほな、ちょっくら記録更新狙いますか」
「待ってなちい◯わっ!!ヤーーッ!!!」
「気合入らねぇ〜」