御礼参り
「ままー」
「ぱぱー」
「まま…」
おいで
「まま?」
おいで
「ぱぱ!」
おいで
おいで
おいで
おいで
『ママもパパも此処にゃおらんよ』
「!」
「まま、ぱぱ」
『あぁ駄目駄目』
『ほら』
おいで
おい
で
お
い
で
『あないな化けもんが
キミのママとパパな訳無いやろ』
『ほら、下がっとき』
『ふぅ』
どろ
どろどろ
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
ぴちゃ
『ったく』
『気持ち悪いったらないわ』
「……」
『嬢ちゃん、何処から来たん』
「…」
「おうち」
『迷子か…』
『まぁこの時期、おおかた神社やろなぁ』
「?」
『えぇと…』
『正月の初詣やろ?
”はつもうで”、分かる?』
「たぶん」
『やんな』
『んじゃ嬢ちゃん、送ったるさかい』
『お兄ちゃんの手ぇ握りや』
『ほれ』
「…」
『…どした?』
「…」
「…おじさん」
『誰がおじさんや』
『ボケる暇あるんやったら置いてくぞ?
ええんか?』
「……」
『ん、良い子』
『ついでに封印するさかい目ぇ瞑っとき』
『おめめないない、や』
『お兄ちゃん離れていかんから安心し』
「ん!」
『よぉし』
『ほな』
『行くで』
ちりん
『はい到着』
「…」
「!」
「おまつり」
『せやで、お正月のお祭り』
『今年もえらい混み様やな』
「おまつり…」
「……」
「…いた!」
「まま、ぱぱ!」
『やっぱりか〜良かったな』
「うん!」
『ほら、速くママとパパんとこ行ったりな』
『転ばんようにな』
「…ん」
『…』
「…」
「…」
『どしたん』
『行かへんの?』
「…」
「おにいちゃ」
『ん?』
「おにいちゃも」
「いっしょ」
『…あー』
『ごめんな』
『お兄ちゃんはそっち行かれへんねん』
「?」
『そやなぁ、なんちゅうか…』
『お兄ちゃん神様やから』
『まだそっち行けへんねん』
『俺に会いたい〜言う人が
そこにぎょうさん並んでるやろ』
『まだ御参りされなあかん』
『せやから』
『嬢ちゃんだけで行きや』
「……」
「や」
『そんな顔して駄々捏ねても駄目やで』
「や!」
『ほらほらもう可愛い顔が台無しや』
『そんな拗ねるなて』
「やぁー!」
『えぇ〜俺もやなんけど…』
『ったく…しゃあないな』
『ほんなら嬢ちゃん』
『大人んなっても俺の事覚えてたら、
一緒にお祭り行ったる』
『ええか?大人んなっても、や』
「や」
『はぁ〜イヤイヤ期かいこんにゃろ』
『そもそも俺と話せてる事自体
ありがた〜い事なんやぞ?!
その上約束やで約束!贅沢やで嬢ちゃん!』
「…」
「いーよ」
『納得したか?』
「うん」
『本当か…?まぁもうええわ』
『ほな、今日のところはバイバイやな』
「…ん」
『気ぃ付けるんやで、人多いからな』
「ん!」
「ば」
「ばばい」
『ん、ばいばい』
…なーんて事もあったな』
『なぁ?じょ〜ちゃん?』
「…っ」
「わ」
「忘れて下さい…」
『忘れられる訳あらへんやろ〜!
あんな期待の大型新人』
『大人んなったら〜言うたけど』
『まさか巫女んなって戻ってくるなんてな』
「子供の時の約束でしょう?!
てか巫女と言ってもバイトですし!」
『関係あらへん、巫女は巫女、
なったからには俺の部下やで』
「ひぇ…」
「あのほ、ほんとに、
あの時は神様だと知らなかったと言うか
なんの配慮も無かったと言うか…」
「とにかく申し訳ありませんでした
どうかお許しを…」
『は?』
「え?」
『何で謝っとんねん』
「だ、だって怒ってるんじゃ」
『そりゃそうやけど』
『全然ちゃうよ』
『嬢ちゃん覚えれてるんやろ、約束のこと』
『忘れてないんやろ?』
「?は、はい」
『ふふ』
『怒るなんてとんでもないわ』
『嬉しい、それが』
『俺のこと大きなっても覚えてられる子、
中々居らへんから』
「へぁ…」
『なんやまぬけな顔しよって』
「だ、だってもうブチギレてんのかと…」
『そんな訳あらへんって〜』
『ほな、今度のお祭りは一緒いったるよ』
『嬢ちゃんとの約束やさかい!』




