新七話 人間
入学式が終わった後、特に行くあても無くどこに行こうかと考えていると、クロノに話しかけられた。
「よっ!帰ろうぜ、バーン」
「クロノ、他に帰る相手いないのか?」
「別に良いだろ?入学式で話しかけるの結構勇気いるんだぜ」
「それは一理あるけど…」
「んじゃ、帰るぞ」
クロノとバーンは歩き出した。
「家に帰るのもありだが、どこかに寄ろうぜ。今朝の続きも話したいし」
「りょーかい」
首都とだけあって、市場にはたくさんの出店があった。
そのうちのいくつかの店で買い物をし、ベンチに座って食べ始めた。
「ここらへんに住んでないだろ?お前」
「なんで?」
「そりゃあ、ここらへんに住むにはちと、ハードルが高いからだよ。」
「そんなに難しいの?」
「あぁ、そりゃあもう。なにせ貴族やら金持ちが多いからな」
「国で一番栄えているわけか」
「治安だけは良いがあまり話さないか方が良い。恩着せがましい連中ばかりだから」
「分かった。まぁ、とりあえず話してくれるか?人間について」
口に入れていたものを飲み込み真剣な表情になり話し始める。
「今から何年前か、歴史は苦手だから正確には把握して無いけど、とにかくすごく昔の話だ。この世にはいろーんな種族がいた。今でもたくさんいるけど、昔はもっとたくさんの種族がいたらしいが大戦で滅ろんだらしい」
「それで、どうして、人間が生き残ったのさ」
「人間が生き残った理由…それは分からないが、戦後に見つかった誰かの日記にはこう書かれてた。人間という種族は最弱で最強の種族と…」
言っていることが何もわからない。
「結局、何にも分からないってこと?」
「まぁ、要するに特殊な種族ってことだ。数は少ないがどの時代にも確実にいた」
「なんかすごそうなことだけは分かったよ」
人間は何が出来るか分からないけど、何でも出来る可能性はあるってことでとりあえずは良いかな?大戦も生き抜いてるし
ふと、横をみるとクロノがこちらを見てた。
「どうした?」
「帰ろうぜバーン」
「そうだなー、まぁ帰るか」
ベンチから立ち上がると、並んで歩き出す。
そのまま俺とクロノは寮へ帰る。
「「え?」」
「いや、まさかお前もここ?」
「あぁ…そうだけど?」
「なんだよ。んじゃー部屋案内しろ。もっと友情深めようぜ」
「悪いけど今日はもう疲れたから、ゆっくりさせてくれ」
「分かった。んじゃな」
「あぁ…」
どこまでついてくんだよ。まさか隣ってこと無いよな。
「隣部屋かよ」
「おっふ。んじゃな」
「あぁ」
ドアを開け荷物を置きベッドへダイブする。
家具やらは寮が用意してくれたのでとても助かる。
1日目にしてはいろんなことがあったな。
「バーン!」
勢いよくドアを開けられ、ボードゲームを持った男が入って来た。クロノだ。
「なんだよ!驚かせやがって」
「やるぞ!これ」
そう言って見せてきたのは、自分の人生をゲームとして遊ぶことが出来るボードゲームだった。
「やり方分かんないぞ」
「大丈夫、俺が教えてやるから」
中身一式を出すと並べる。
「そんじゃやるぞ」
「はぁ…一回だけだぞ」
夜中までその戦いは続いた。