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短編

メリーゴーランドに帽子をのせて

作者: 高原 律月

 真夜中のシャンデリアが喧騒に酔った街を照らした。グラスに注がれるシャンパンの泡がゆらゆらと空に融けていく。


 その向こうにいる彼女は笑っていた。


 艶やかに波打つ金色の髪から覗いた真っ赤な口紅が薄暗い部屋に浮かぶ。

 彼女はタバコの灰を床に落とし、首すじのアザを撫でながら言った。


「つまらなさそうね?」


 尋ねるような口調の後ろで不機嫌そうなライオンが牙を立てて僕の喉元を熱くさせている。


「いや、そんなことないさ」


 彼女は挑発的な笑いを零した。タバコの煙がシャンデリアの明かりにくっ付いては離れて消える。


「なにが気に入らないのよ?」

「分かってるというのなら、わざわざ口にすることもないだろう?」


 この世に運命があるのなら、きっとそんなものは軽薄で、明日になればこの街の光になっていくのだろう。


「そういう態度なら今日は帰るわ」

「おあいそさま、また明日」

「そうね、さようなら」

「さようなら」


 不意に立ち上がった彼女はピンヒールでコンクリートの床を叩き、振り上げて叩きつけられる手のひらを僕は無抵抗に受け入れる。


「いつもそうやって!!」

「だったら会わなきゃいいだろ」

「バカね、アナタ」


 別れ際の彼女はとても酷く泣いていた。


「今日もやったな、お前ら」

「知るかよ」


 スマホから彼女にメッセージを送りつけ、グラスを満たすシャンパンを一息にあおると、ギラギラした光は幾分か和らいだ。


「わりぃ、今日はもう帰るわ」


 少しだけ褪せてしまったつば広帽子を目深に被り、店の裏口から外に出て賑わう夜の街を見る。

 なんだか、雨が降っていたような気がした。


「夜に舞うのは蛾に決まってる。誰だよ、夜の蝶なんてキレイゴトを抜かしたヤツは」


 半分になった月に文句を吐いて、まばらになった雑踏の中を歩く。


 どこかでサイレンが響いてる。


 ああ、またか……僕はこの街のいつもに安心しながら家に帰ると眠りについた。


 翌日、彼女は僕の前から姿を消した。

 どこでかけ違えてしまったのか、なんで僕は泣いてしまうのか、考えては全部が遠くへと褪せていく。

 誰かの匂いのする髪の毛も首すじに付けてたアザも僕と同じ銘柄のタバコも、きっと時間と共に変わっていくのだろう。


 見ていた夢は船に乗り、見えない月の向こうに行ってしまったのだから――。

ハジメマシテ な コンニチハ!

高原律月です!


連載が行き詰まったので短編でストレス発散しました(笑)


もう色々とやりたい放題なヤツです((´∀`*))ヶラヶラ

オールで読み進めたイメージに全てお任せします。

キーワードは4つくらい盛り込まれてますが、たぶん想像もしてないワードで出来上がっております(笑)


夏らしさを考えながら作ったつもりです。

一時間くらいでバーッて作ったので改良はするつもりですが、たまにはこういうのをやるとホントにストレス発散になりますね!


それでは、また次回〜 ノシ


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