第五十七話 宇宙の力
教室には全生徒がいるがそれでも前にいた高校の一クラスより少ない人数だ。
「・・改めてみるとやっぱり少ないよな。」
「いまさらか?めちゃめちゃ少ないぞ。」
全員が将来を有望されている精鋭だ。
三道を志し、将来の仕事にしようとしている子供達が全員目指していると考えると気が引き締まる。
「失礼します。」
チャイムはまだなっていないが毛利先生が入ってくる。
「今から保護者の方々が入室してきます。失礼の無いようにお願いします。」
毛利先生が外に向かって一礼するとぞろぞろと保護者の方々が入ってくる。
三道省合同会議で見た面々だ。伊達様、山形上杉様、それに・・・真田様もいる。
(・・ああ、真田か。)
同じ苗字である後輩の真田は武道省長官の娘だったのか。
何の気なく接していたがこうして事実を突きつけられると
少し接し方を変えなければならないと感じてしまう。
「綱秀は誰が来ているんだ?」
近くにいた綱秀に小声で尋ねると顔を向けずにとある人を指さす。
そこにいたのは大柄で顔に傷がついている男性。
スーツからはち切れんばかりの筋肉を携えており、
纏う雰囲気は猛者を超え一騎当千と言っていいだろう。
有名な神社の神主と聞いていたので神力を扱う優しそうな人だと勝手に思っていたが
あの人相手なら五頭龍様も逃げ出すのは納得だ。
「・・今、親父にゴズを預けてる。授業参観で学校の雰囲気に慣れてから俺に託すんだと。」
「ってことは・・・五頭龍様は綱秀の式神になるのか?」
「そこまで強い契約はしない。鎌倉を守る神様を使役するなんて色々と手続きが大変だからな。
だが親父は将来神主を継げば使役を許可するなんて言いやがる。
俺はそんなことしたくないってのに・・・・。」
綱秀に期待を込めているからこその発言だろう。
鎌倉の地を守る龍を式神として使役した神主であればその地にいる人達は安心して暮らせる。
肝心なのは本人にその気があるのかどうかだが・・・親父さんの想いは通じていないようだ。
「お前んちの家族は?」
「親父と兄貴が来るけど・・・・。」
綱秀に尋ねられたタイミングで親父達が現れるがその中にひときわ目立つ存在がいる。
アロハシャツにジーパン、頭にはハットをかぶり
サングラスをかけて杖をついて歩く白いひげを蓄えた年配の男性。
返送しているのかもしれないがどこからどう見ても皇その人だ。
「・・・・・・・・。」
その姿を見た生徒達はざわめきだす。
俺を含め、この中の数人は皇が来ることは知っていたが何も知らされていない人達の反応は妥当だろう。
「なあ、あれって・・・・・。」
「・・多分純恋を見に来たんじゃないか?」
「いや、それは分かるんだが・・・なあ。」
肝が据わっている綱秀さえも唖然としている。身分を考えればもう少し厳かな恰好で来てほしかった。
ざわついている教室を沈めるかのようにチャイムが鳴り、それと同時に扉が開かれる。
「はい、静かにしろ~。」
兼兄がプリントを手に持ち教壇に立つ。
故郷から遠く離れているはずなのに俺の家族の大半がこの教室に集まり、
兄が教師として立っているのは不思議であり何だか新鮮であった。
「さて、授業を始めよう。
教壇に見慣れない人とご家族に囲まれながらの授業に少し落ち着かないのは分かるが、
面白い話をするつもりだからちゃんと聞いてくれよな~。」
謙太郎さんが号令をかけ、深々と挨拶をすると兼兄は黒板に何やら書き始めた。
「・・・はい、国學館東京校授業参観名物、三道省特別授業の講師を務めます上杉兼定です。
普段は神道省祈祷課に勤めていますが・・・
今日は神道の他の魔道も含めての授業をしていきたいと思います。」
黒板には自己紹介の名前と授業内容と思われる”属性について”という一文が書かれていた。
書き終えた後、兼兄は持っていたプリントを最前列の生徒に手渡す。
回ってきたプリントには魔道の四大属性と神道の五行を現す図が写されていた。
「さて、今回行うのは属性について。
三道を極めている君たちなら誰でも知っているような知識だが
これが非常に奥深く日ノ本ならず全世界でずっと研究されている題目だ。
ここでは日ノ本の研究機関が新たに導き出した説を紹介しようと思っている。」
兼兄は再びチョークを手に持ち黒板に綺麗な四角形を何も使わずに書き上げた。
「じゃあ・・・北条綱秀君。魔術の四大元素を答えてくれ。」
綱秀指名され立ち上がり答える。
「火、水、土、風です。」
「正解だ。ここにいる生徒さん達には簡単な問題だったな。」
魔道の基礎の基礎。こんなものは常識問題だ。
「お次は混同魔術。とはいってもこれは種類が多い。
徳川千夏さん、一つ上げてもらって答えてもらってもいいかな?」
「はい、水と風と土で雷の魔術ができます。」
「よろしい。水と風で出来た雲に土で摩擦を与えると
雷が出来ると言う魔術式からできた魔術でありこれはかなり古くから存在している。
もし魔道の特級を取りたければまだ研究の余地が残されている
混同魔術を狙ってみるのが一番だろう。」
組み合わせ次第では様々な効果が放つことが出来る混同魔術。
最近ではなんと人工物を操れる魔術も開発され
兼兄の言う通り新たな魔術の開発が条件となる特級に上がるための近道となるだろう。
「後は一つの魔術を極めた先にある魔術。
この中で言えば上杉謙太郎君と二条純恋さんが扱う究極魔術と呼ばれる魔術がある。
この魔術の面白い点は使用者によって効果がわずかに違ってくるところだ。
純恋さんの様に太陽のように光り輝く炎を放ったり、
謙太郎君の様に青い炎を放ったりなど個性的な魔術。
だがご存じの通り、これは全ての人が使えるわけでは無くその人の才能が全てを左右する。
魔術を極められる技能、それを放てる魔術量。
究極魔術を使える時点で魔術の特級の道は既に開かれおり
魔術省での地位も確保されていると言っていいだろう。」
謙太郎さんは既に特級。
純恋は上級だがそれは本人が認定試験を頑なに受けないからであり
特級でも上位の力を有しているだろう。
究極魔術は日ノ本でも使用者が少なく研究対象として
確保するためにも特級を与えていると言われており、
大人に振り回せるのが嫌いな純恋が受けない理由はよくわかる。
「色々言ったがこれが魔術の大まかな属性だ。多少例外はあるがこれに共通するのは分かるか?龍穂。」
あげられた三つの関係を黒板に描いた兼兄は俺に尋ねてくる。
今までならわからなかっただろうが仙蔵さんとの戦闘で
魔術の根源について教わったので見当はつく。
「太陽が起こす地球上の現象だと・・・思います。」
「正解だ。ここ最近開発された混同魔術や謙太郎君の青い炎は置いておくが、
魔力は太陽から放たれ人間の中に入る。
そして人間はその太陽が地球上に与えた現象を魔術として放つことを生み出したんだ。
魔術=太陽。まずはこれを覚えておいてほしい。」
兼兄は黒板に大きく書き出し開いているスペースに移動する。
「では次、今度は神道だ。純恋ちゃん、神術の属性を言ってくれ。」
「火、水、土、木、金や。」
「流石だな。さて、ここで質問だ。魔道と神道、なぜ属性の数が違うと思う?」
魔術と神術は別々に教わってきたので二つの違いなんて考えたことも無かった。
「意外とわからないんだよなぁ、これ。じゃあ・・・藤野君、答えてくれ。」
皆が悩んでいる中、藤野さんの答えを振る兼兄。
「・・神道は神の力を借ります。人と神であれば使う属性も違うのかと。」
「ん~、おしい!と言うか説明不足だな。
入りとしてはそれで合っている。じゃあなぜ、人間と神様で使う力が違うのか。」
そう言うと”人間→神”と言う文字を黒板に書く。
「それは人間の信仰によって神様は力を得ているからだ。
藤野君の言い分だと神様が既に存在していてその力を人間が借りていると解釈できるが
神様は人間の思い、引いては信仰となって人間界に存在できるというわけだ。
だから人間が神様の力を一方的に借りているわけでは無く人間が信仰するから神が存在でき、
その借りを返すため神は人間に協力してくれるんだ。」
先程の文字に下の方に神から人間に半円の矢印を伸ばす。
「これをよく示しているのが金。
金とは地中にある鉱石の事を示しているが対象の属性を打ち倒す作用である相克では
木を斧や鋸で切り倒すと書かれている。
斧や鋸は人間が鉱石を熱し、加工しなければ作れない。
五行が自然の理として書かれておらず、
人の営みがあってこそ五行として作用できることを示しているんだ。」
神だけでは人に干渉できない。
これは日ノ本各地で神社や寺院が立てられていることが証明しているだろう。
強い力を持つ神様はそれなりの神力を持つ人間か神が選んだ者しか見ることが出来ない。
五頭龍様が奥さんを探すため誰にも見つからず江ノ島中を回れたのが良い証拠だ。
だからこそその神を奉る社を立て、神の姿を模した像を作ることで信仰を集めたんだ。
「まとめるぞ。魔道=太陽の力。
神道=人間の営みを司る神が信仰を受けた力。これが各属性の大まかな定説だ。
”今まで”の・・な。」
黒板にチョークを突き立て今まで書いた図や文を
否定する様に大きなバツを書く兼兄。
「新しいプリントを配ります。
今までの話しをしっかり頭に入れたまま聞いてくれよ~。」
張り切りながら黒板消しで今までの情報を消していく。
そして再度図を書き始めるがそれは四大元素と五行を説明するには少しおかしな図形だった。
「まずは神道から行こうか。
先程神は人間の信仰によって力を発揮できると言ったがそれはいったいなぜなのか。
そもそも神様と言う存在は一体何なのか。気になったことはないか?」
神道の根源のような質問を俺達に投げかける。
「まずは前者について話そうか。龍穂、青さんを出してくれないか?」
なぜ力を発揮できるかの詳細は神様本人に聞いた方が早い。
意思疎通ができ、信頼がおける神様である青さんを選んだのだろう。
俺が頼む前に青さんが飛び出してきて俺の隣に立つ。
高官の方々に見守られているが、今回はいつもの幼い姿だった。
「突然呼び出して申し訳ない。
今までの話しを聞いていただけたと思いますが、説明していただけますか?」
「よかろう。神と言う存在は人とは違う別次元に存在しておる。
そして信仰、神力と言うのは人間がいる世界に呼び出すための力であり
強さによって使用する量が増える。
ちなみに式神使役は契約した者の神力の供給するという契約だ。
そのおかげでいつでも任意の時に人間の世界へ行ける。
そして式神として札などに封印するのは自由気ままな神の動きを制限し、
いつでも呼び出せるための技法じゃ。」
事細かに青さんが説明してくれる。
式神使役がどんな意味を持つか考えたことが無かったがどれだけ重要な契約なのか理解できた。
「ありがとうございます。神様は別次元にいるからこそ通常人間に干渉できない。
だからこそ信仰は大事であり信者たちに集めさせているんだ。
だが、なぜ別次元にいるのか?そもそも神と言うのはどんな存在なのだろうか?」
そう言うと兼兄は勢いよく黒板に何かを書きだす。
「では最初にどんな存在なのか。
これを紐解いていくのに当たって日ノ本神話を見ていこう。
日ノ本神話に出てくる神様は二種類に分けられる。天津神と国津神だ。
国津神と言うのは高天原と言う神様が住んでいる地にいる。
またはそこから下りてきた神様を差す総称。
国津神は葦原中国。これは俺達が住んでいる地を差す言葉であり、
現代に現れた神様を差す言葉だ。
これらは当時日ノ本を治めた大和王権が信仰していた神様と
大和王権が攻め込み平定した神様を分ける言葉だと言う説があるが
ここでは”その地に元々いた神”と”人間の信仰によって生まれた神”と解釈をさせてもらう。」
兼兄の言っていることに頭がついていかない。
元々いた神と人間の信仰によって生まれた神・・・?どういうことだ?
「ここから難しくなってくるがついて来いよ~?
青さん、龍と言うのは川の化身だと言われていますが
龍がいたから川が出来たのか、川があるから龍が出来たのかどちらでしょうか?」
元はと言えば青さんは方角を守る神獣であり水ではなく木の力を得意とするので
この質問を投げかけるのは間違っているが青さんは長く生きてきた神様だ。
その分かなりの知識を蓄えており、きっと答えられるのだろう。
「後者じゃな。人間がこの地に住み着く前から川は存在していたが、
人間が住み着き川の近くで生活し始め信仰を受けてから生まれた神じゃ。」
「ありがとうございます。
強い信仰は物を神へと変えることが出来る。これが信仰であり神力の神の力だ。
まだピンと来ていないかもしれないが、
君たちが日頃所持している物が今の話しを裏付けている。」
俺はブレザーの内ポケットに入れている生徒手帳を取り出す。
「そう、付喪神だ。
大切にされてきた物、人の強い思いを受けた物が神へと姿を変える。
これは日ノ本と言う国の性質も関係あるんだが今は置いとくとして、
人々の信仰が神を生み、国津神として日ノ本を守ってきたという事は分かるだろう。
じゃあ天津神、別天津神など色々種類が分けられるが
代表的なのは伊邪那美、伊邪那岐、天照などがあげられるが
人間が生まれる前、この日ノ本を生み出したと言われる神様だ。
この方々は一体何者なのか。
気になる所だが・・・ここで一旦、魔道の方に目を向けようか。」
一番いい所だが、脈絡もなく魔道に話を切り替える。
「京極涼音さん。あなたの得意な魔術はなんだい?」
そしていきなり涼音の得意魔術を聞き出した。
それは一体今までの話しと関係あるのだろうか?
「・・氷魔術です。」
「氷魔術ね。混同魔術で言えば風と水。
風で冷やした水分が固まり、氷として相手にぶつける魔術だけど・・・
涼音ちゃんは混同魔術を使っているのかな?」
・・・・?
今自分で氷魔術について説明したはずだが一体何を言っているんだ?
「・・・・・いえ。氷魔術として使用しています。」
「ありがとう。さあ!一体どういうことなのだろうか!
温かい日差しを送ってくれている太陽の作用に氷を作るなんて含まれない!
でもなんで・・四大元素に含まれない氷魔術が存在するだろうか?」
先程書いた図形をチョークで叩きながらこちらを見てくる兼兄。
そこには大きな四角形の中に小さな四角形が書かれていた。
「水の温度を下げると固形になる。それを氷と呼ぶがそれは自然界に存在する。
でも、それは太陽の作用では生まれてはいない。
じゃあ何の力によって生まれているのか。
これはだな・・・”宇宙”の力によって生まれているんだ。」
う・・・ちゅう?いきなりぶっ飛んだ話になってきた。
「なぜそう言えるのか。
地球には自転によって太陽光を受ける時間や距離によって温度が異なる四季と呼ばれる
四つに分けられた期間がある。
氷は太陽の力が弱い時期に作られる。
という事は太陽以外の力、地球が漂っている宇宙の力が強まった時期に作られるんだ。」
中の小さい四角形の角に氷と書きこむ。
それは外の四角形、四大元素を示す図の火がある位置に書かれ、
火と対照的な力だと示していた。
「他にいくつかあると言われているが人間が宇宙に進出してまだ数十年しかたっておらず
宇宙に関しての知識はあまりにも少ない。
それに宇宙の力の属性は火の属性の相反する力である氷属性しか判明していないので
研究の余地は多くあるが今まで謎だった氷の魔術の存在への定説として覚えておいてくれ。」
残りの三つの角には?が書き込まれた。
あまりにも情報が少なく、あくまで定説の範疇を超えることが無いのだろう。
「さて、神道の話しに戻すぞ。
天津神と呼ばれる神様は一体何者なのか。
日ノ本の地形を作り上げた、または地球が存在している前からいたと
言われている神様なのだから少なくとも人間が生まれる前には存在しているのだろう。」
天津神・・・どんな存在なのか考えもつかない。
地球が生まれる前・・・・まさか。
「最近の研究では・・・神様は宇宙人だという説が出てきているんだ。」
後で見ている皇は天津神である天照の子孫。
神の力を引いており、この発言は下手をすれば皇への侮辱と捉えらるかもしれない。
「これならどこから現れたかわからない天津神の説明はつく。
だが別次元と呼ばれる神の世界については説明が付かないから説を域を超えないが・・・
おもしろいだろ?」
もはや面白いとは思えないほどぶっ飛んだ説だった。
「この説を後押しするもう一つの要素として国生みがある。
伊邪那美と伊邪那岐は神として産まれ、高天原の神々に命じられ油の様に浮かんでいた
日ノ本の島を天沼矛でかき混ぜると日ノ本の島々が出来上がったという逸話だ。
これは宇宙からやってきた神が伊邪那岐と伊邪那美へ侵略を命じて
日ノ本を統一した様子だと言われている。
そして・・・神道にも隠された属性があると言われているんだ。」
そう言うともう一つの図形をチョークで差す。
「先程言った火、水、土は魔道にもある。木・・も混同魔術だが存在はするな。
だがこの金は少し歪だ。
鉱石の力を持つ神様なんて限られるし、そもそもの話し
土の魔術を極めた者が鉱石を扱えるようになったという話はありどうしても土と被ってしまう。
では、なぜわざわざ金と言う属性を入れたのか。それは・・・・・・。」
兼兄が図形に角に文字を入れていくが本来金が入る所に別に文字を書いていた。
「金と言う文字は本来は”禁”と呼ばれていた。
この禁とは何を示すのか、文字通り開けてはならない使ってはならない禁断の属性。
宇宙の神の力を示す属性であるかもしれないと研究者の中にそんなことを言っている人がいる。
先程のも言ったが神とは人の信仰があってこそ現世において力を発揮することが出来る。
だからどうしても自分たちに関する力の名を残しておかなければ
いずれ人から忘れ去られてしまいいつしか神として認識されなくなる。
なので自分たちに繋がる属性を名前を隠して後世に残したと言われている。」
「・・一つ質問いいんですか?」
ここで謙太郎さんが手を挙げる。
「なんでしょう?」
「その禁と呼ばれる属性・・・一体どんな力を使えるのでしょうか?」
「良い質問だ。こちらの属性に関してはまだ研究途中だが例えばこんな神術を使えるようになる。」
そう言うと兼兄は影に沈んでいき、いなくなってしまう。
これは・・仙蔵さんや今朝の加治さん、雫さんや楓も使っていた術だ。
どこに行ったかみんなが周りを探していると閉じられていた教室の扉が開かれる。
「これは”影渡り”。太陽の陽を隠し、出来た影の中を移動する神術だ。
全ての影を移動できるわけじゃないが移動や回避など汎用性が高い。」
腕時計を見た兼兄が授業をまとめるために黒板に書きだしていく。
「もっと話したいがまとめよう。これが新たな説。
魔道には太陽の力と宇宙の力がある。そしてそれは神道も同じ。
陰陽の陽があれば陰があり、また陰があれば陽があると言う全ての力には
プラスとマイナスの力があると言う説はとは違い元々陰、宇宙の力があったところに
太陽と言う陽の力が奇跡的なバランスで均等になりこの地球の神や人間を支えている。
・・な~んて面白い説があります。
色々語ったが魔道神道はにはさらなる可能性があり見たことの無い属性が出てくるかもしれない。
もし、今の話しが気になったのであればぜひ魔道省か神道省に就職して研究に参加してみてほしい。
ご清聴ありがとうございました。」
兼兄が深々と頭を下げると同時にチャイムが鳴る。
面白い話だったが少し現実味が無いような話だった。
(宇宙・・・か。)
この世界にはまだまだ謎が多い。
それこそ俺の命を狙う賀茂忠行にも言える事だろう。
(否定すること自体が・・間違いだな。)
もし本当に宇宙から神様が来たというのなら他にも強力な神が遠い彼方にもいるはず。
そんな神の力を借りれたら
皆を守りつつ、賀茂忠行との戦いを優位に運べるなぁ・・・と
現実逃避をしつつ窓を通して空を眺めていた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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