8:怒りの捜索
あぁ、さっきまでの甘い時間はなんだったんだろう。
確か、すごいドキドキして女の子してて、恋する乙女だったのに。
半分気分は上の空。慣れてしまっているレジ打ちはこんな私にもどうやらできるらしく、手は機械的に動いている。
あの後。
ラブラブムード全開だった私たちは自分達が今どんな状況にいるかまったく忘れてしまっていた。
そう、今は超多忙な夏休み期間の昼間。しかも休日。つまりは、お店は超込み合っている。
休憩から戻らない私たちに、何かあったんじゃないかと不安になった店長は必死に探していたらしい。前の事もあるから、裏に停まっていたトラックの荷台も隅から隅まで探したって。最後の最後に駐車場を探したけどいなくって、がっくりしてたとこに、蓮慈の長い足が建物の影から見えていて、もしかして倒れてるんじゃ・・・。と走り寄ると・・・。
「ほんっと、バッカじゃないの??」
営業時間が終わった私たちは今店長の前に立たされている。
走り寄った先には抱き合って眠る私たち。
蓮慈の足を見つけた店長の手には119番をプッシュし、後は通話ボタンを押すだけになっていた携帯電話が握られていた。必死に探していた私たちを見つけた安堵感と怒りから押してしまったボタンに気づかずに私たちに向かって叫んだ。
「このばかたれどもがぁぁぁ~~!。」