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6:真実は怒涛の中に?

「だっ!!誰が王子じゃぁ~。ってか、何してくれてんの?寝込みを襲うなんて男して恥ずかしくないわけっ?」


「だって起きてたでしょ?」


「だってじゃなぁぁいっ!!相手の許可なくキスするのは強姦と一緒でしょうがぁ!そっ、それに私のファースト・・・」


「えっ?もしかして初めてっっ??!!」


「うんなわけないじゃない。馬鹿にしないでよっっ。」


 はぁ、はぁ。息をきらせながら捲くし立てるように押し問答をした。最後の質問の後、蓮慈はものすんごくニマニマした顔で私を見てる。

 バレたか?私が初めてなのっ。

 どうにか話題をそらせるために思いつく限りを話し始めた。それこそマシンガンのように。


「だいたい。私がこんなとこで休憩してるのだって、アンタが悪いんだからね。暑いのに外でだなんて。まぁ、ここは気に入ってるからいいけど。それより、こんなこと言うの嫌だけど、楓ちゃんが蓮慈の情報を流せって言うのよ。そんなこと言われたって私は蓮慈のこと何にもしらないのよ。みんなと同じくらいのとこしか・・・、ってか蓮慈のことなんて一緒に働いてるほかの人の方がよっぽど知ってるんじゃない?なのになんで私に聞くのよ。あんたといろいろあったやつ、ほら、あのトラック事件とか、トイレ事件とか。あれが変な風に噂になってるのが多分原因だろうけど。それ以外の蓮慈なんて、私知らないんだから。だから、あんたが直接楓ちゃんに言ってやってよ。

 そうよ。蓮慈、アンタが楓ちゃんと話合いしてよ。多分休憩室にいるだろうから。そうして。ところで何でここにいるの?」


 そうだ。なんで蓮慈がここにいるんだろう。汗っかきの男子には外で、太陽で、真夏日で。とっても休憩にもってこいの環境じゃないと思うんだけど。


「俺もここでよく休憩してんの。」


 ニマニマ顔は私のマシンガントーク中に消え、嫌味にニヤリと笑いながら芝の上に腰を下ろした。


「で、さっきの話だけど。結論から言って、俺は、その楓ちゃんとやらとはすでに話した。好きな子がいますって。たしか・・・夏休み入ってすぐかな?」


 そっっか。蓮慈好きな子いるんだ。じゃぁ、しょうがないね。と思いながらもいつの間にか立ち上がって捲くし立てていた自分も蓮慈の横に座り直す。チクチクと胸が痛むのはさっきの言葉をきいてから。

 好きな子がいるのか。バイト初めてすでに何週間か過ぎてるのに、まだ諦めてないなんて。楓ちゃんも意外と一途かぁ?・


「でも、狙った獲物は必ず落とす。らしいから、まだ裏ではみんなに何でも聞いてるみたいだけどな。」


 ・・・ハンターだったのね。


 ふ~ん、って曖昧に相槌うちながら胸のチクチクが気になってしょうがない。


「それから、変な風に広まってるって言う噂だけど、あれは俺も知ってる。真意を聞いてきた奴もいたけど、俺否定しなかったし。だから余計すごい広まり方してんだなぁ、きっと。」


 ふ~ん、ってえぇええぇえ?なんですとぉ~~


「なんで否定しないのよっ、まったっく違うじゃん。私なんて、蓮慈さんには手だしませんから。とか言われて、彼女扱いされたんだから。」


「嫌なの?」


 間髪いれずに返された言葉にどう答えていいかもわからず、視線だけはあさっての方向へ向ける。


「嫌なの・・・って、だって、好きな子いるんでしょ?」


 ついさっき知った新事実。そして、その新事実によって解ってしまった自分の気持ち。

 2人で空を見上げてた。


 蓮慈はニマニマと天使とも悪魔とも呼べるような笑顔で。

 一方私は、無表情。頭がショートしている。顔面に虫が止まったのも気づかなかった。


「痛っっ。」


 蓮慈におでこを叩かれて現実世界へ舞い戻れたらしい。


 「悪りぃ。虫が止まったもんだから、つい」


 つい。で女の顔叩くんじゃないわい。まったく、はぁ~。


「そんで、頭の整理はついたのかな?ノンちゃん。」


「まだ。て言うかおさらいしてもいいかなぁ。」


 そりゃいい考えだ。と言わんばかりの頷きに、ひとつ深呼吸すると口を開いた。


「私と蓮慈のたくさんの珍事件を広めたのは蓮慈だったのね?」


「いや、正しくは否定しなかったら、広まっただけのこと。」


「トラックの事件は、偶然なのね?」


「それは正解。マジ驚いたよ。荷台の中で何してたとか言うのは勝手に広まってたんだぜ?まぁ、否定はしなかったけど。」


「私の家に着替えがあったり入り浸ってるって噂は?」


「一回行ったことあるしな、それも特に否定しなかった。」


「トイレでイチャイチャしてるとかっていう話は?」


「たまたま俺達が言い合いしてるのを見たって奴がいてさ、何してた、何してた?ってうるさいから、想像におまかせしますって言っただけ。」


「つまり、肯定も否定もせずってわけね?」


「そうなるな。」


「・・・つまりは・・・つまりは・・・

あんたが一番の原因なんじゃないっっっ。」


真横にいる蓮慈に向かってでかい声張り上げた。当の蓮慈は涼しい顔してそうかなぁ・・・なんて笑ってる。


「なんで否定しなかったのよ。ってかどれも半分以上はまったく違うじゃない。」


「だって俺、ノンちゃん好きだもん。こうしとけば他の奴が寄り付かないっしょ?」

 おぅ。なんて爆弾発言。だもん、とかしょ?とか言われても。


「だもん、って何よ。まるで当たり前みたいに言ってるけど、私そんなこと一度も聞いたことないんだから。


「今言ったじゃん。」


「今じゃおそぉぉ~~い。もっと早かったらこんなに悩まなくてすんだのに。」


 しまった。つい熱が入りすぎて余計なことまで言っちゃったよ。聞き逃さなかった蓮慈の目が怪しく光る。


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