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フルメタル  作者: 湖灯
パリは燃えているか
80/700

時計の謎

「ちょっと、そこのお二人さん」

 占い師の前を通り過ぎようとした2人の男が足を止めた。

 トーニの占い台の下には金属探知機が隠してある。

「死相が出ておるぞ。もしも金属の塊のような物をお持ちなら、今直ぐ捨てなさい」

「ちっ、馬鹿馬鹿しい」

 2人の男はトーニの忠告を聞かずに、足早に駆けて行く。

『こちらトーニ。ハバロフ、お客さん2人お通ししたぜ』

 ノートルダム大聖堂の入ろうとする2人。

 その前でビール瓶を使ったハンドリングをしていたハバロフの瓶が投げられ、倒れる2人、近くでカメラを持って写真を撮っていたミヤンがその2人を抱きかかえて運ぶ。

 シャドーボクシングをしながらジョギングするブラームが、怪しい4人組を発見した。

「ちょっといいかい? いつもシャドーボクシングばかりじゃ飽きてしまうんで、お手合わせ願いたいのだが」

 いきなり拳銃を抜こうとする4人を相手に、得意のハイキックとパンチをお見舞いして、あっさりと片付け近くに居た警官に引き渡した。

 全力で走る7人組の男。

 ジェイソンとボッシュのオートバイが、その7人を追い抜きざまに前を塞ぎ、銃を抜こうとした4人を殴り倒す。

 しかし残りの3人は銃を抜かずに、オートバイの隙間を駆け抜けて行き、もう直ぐノートルダム大聖堂というところまで走って行った。

 その目の前に現れたのは、ハーレーダビッドソンに乗る革ジャンにサングラスの男。

 そう、金髪の髪の大男、フランソワ。

 立ち止まり、銃を構えようとする3人に向かって、フロントフォークに備え付けた皮のケースから悠々とショットガンを抜き、そして走りながら撃つ。

 だが、ズドンと言う音はしなくてバシャと言う乾いた音。

 そして幾つものBB弾が高速で飛び出す。

 いわゆる改造エアガン。

 撃たれた男が、痛さで蹲る。

 2人が倒れたが、3人目が発砲した。

 弾はフランソワの革ジャンをかすめ、袖が破れる。

 だが、それに動じることなく3人目に狙いをつけて倒した。

「ちょいとお兄さんたち、サービスするからフルーツジュースを飲んで行ってくれ」

 改造したフレンチバスに取り付けてある金属探知機が、怪しい2人組を捉え、モンタナが呼び寄せた。

 2人は素直にカウンター越しに、差し出されるジュースを受け取るために手を伸ばし、モンタナがその腕を掴み、一気に2人纏めてバスの中に引き込む。

 あとは、銃を所持している事を確認し、ボコボコにした2人を縛り上げて終わり。

 何故か俺の所にだけ、敵は寄ってこなかった。

 その代り、ミューレがまた来た。

「いやー、LÉMATさん、意外にスマートですな、恐れ入りました。我々警察が検挙した人数を含めて、これで丁度20人ですから、あと1時間ほど何もなければこれで安心でしょうな」

『結局、俺たちの出番は無しかよ』

 無線で入って来たのは、ベルの声。

 しかし、あまりにもアッサリし過ぎている。

 不安を感じていた時に、レイラ救出部隊のエマから無線が入った。

『レイラが居ない。アジトは空っぽよ!』

「アジトが空っぽってどういうことだ? ちゃんと腕時計のGPSで確認していたんじゃなかったのか?!」

『ちゃんと腕時計のGPSで確認はして入ったわ。でも、それが……』

「それが?」

『アジトの中には行ってみると、その腕時計が椅子に置いてあるだけなの』

「椅子に? テーブルじゃなくて? 椅子の何処?!」

『椅子のクッションの下よ』

 クッションの下と言うことは、隠したと言う事だろう。

 レイラの身に何か危険があったのか、それともそれが近づいて来ていたのかどちらかだろう。

 レイラが時計を隠したからには、屹度何かのメッセージが残されているはずだと思った。

「エマ。時計の状態を教えて」

『時計の状態……えーっと、止まっているわ』

「壊されているの?」

 もしも壊されているとすれば、それはきっと時計の秘密がバレたということ。

『いいえ、壊されてはいないわ。リューズが引っ張られて止めてあるの』

「時間とかは、どうなっている?」

『えっと、時計の針は8時で止められていて、曜日はMだから月曜日、日にちは24日になっているわ』

 今日は13日の金曜日だから、明らかに何らかのメッセージが隠されている。

 時間の8時は何だろう?

 時刻を示すのか、それとも違う意味か……。

 しかし時刻として考えた場合、朝の8時か夜の8時を示すことになる。

 夜の8時と考えるなら、まだ充分考える暇はあるから、ここは違う方を考えてみることにしてみた。

 アナログ時計で出来ることは1から12までの数字を伝える事と、方角。

 通常は進行方向に対しての方角を指すが、この場合は北を0時とした方角だと考えるべきだと思う。

 そうすると8時が示す方角は南西。

 南西の方角を見ると、ビルが幾つも見える。

 Mは、頭文字にMの付くビルやホテルを指すのではないか……そして24は、階数。

 直ぐにリズに連絡をした。

 ノートルダム大聖堂付近の南西にMの頭文字の付くホテルがないか。

 直ぐにリズから回答があった。

『南東にあってノートルダム大聖堂の見える頭文字にMの付くホテルは5つよ』

「じゃあ、その中で24階に特別室があるのは?」

『えっと、ちょっと待って――それならモーリーホテルが最上階の24階に特別室があるわ』

「それだ! 屹度レイラは、そこに居る!」

 丁度その時、俺たちの無線を聞きつけたハンスが駆けつけて来てくれた。

「ハンス。どうして?」

「ナトー、行ってやれ。ここは俺が見る!」

「でも……」

「折角、リビアで助けた命だ。みすみす敵に奪われたくはないだろう」

「ありがとう! じゃあ……」

 そのとき急に空の向こうからブーンと言う変な音が聞こえた。

 見上げてみると、南西の方角から無数の小さな黒い塊が飛んで来ていた。

「あれは何!?」

挿絵(By みてみん)

レミントンM870 ショットガン

映画「コマンドー」「ターミネーター」「ダイハード」「ランボー」など

正義の味方が持つ最強兵器の代表格。

当然、シュワちゃんさんに憧れるフランソワは、この銃のエアガンを持って参戦しました(^^)

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