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フルメタル  作者: 湖灯
ウクライナに忍び寄る黒い影

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コードネームは「ニケ」⑦

「なにが起こっているのですか?火事?」

「反政府軍の攻撃に、外国の番犬共が血祭りさ……ところで、アンタ誰?」

 男の目が、顔から胸に移り、そしてミニスカートの腰から太ももを舐めるように移動して行く。

「ほらツポレフの奴が言っていた」

「ああ、あの馬鹿でボインの事務員の姉ちゃんか」

「ツポレフの奴、この姉ちゃんのケツを触ってご満悦だったぜ」

「触らせてくれるのか?」

「どういうこたあねえらしいぜ」

「……」

「あれっ、ラポーチキンは?」

 2人がコソコソと私の話をしているうちに、もう1人の男を倒して仰向けに寝かせておいた。

「お友達なら、ここで寝ていますよ」

「ええっ!?」

 寝ているラポーチキンを見て、2人が驚く。

 驚くのも当たり前。

 今まで一緒に戦況を見てはしゃいでいた仲間が、急に寝てしまうなんて普通ではあり得ない。

「おいおいマジか?」

「そんなわけ、無いでしょう」

 前屈みになって、寝ている男を覗き込んだ男のミゾオチにパンチを叩き込み、そのまま1回転してもう1人の男の側頭部に後ろ回し蹴り入れて薙ぎ倒す。

 ミゾオチにパンチを食らった男はケツを高く上げたまま膝を着き、顔を地面に擦り付けて苦しんでいたが、私はその後ろ襟を掴み上げて耳元で囁く。

「中に何人居る?声を出せないのなら指で答えろ。そうしたら楽にしてやる」と。

 男は口から泡を吹きながら、指を1本出した。

「ドアをノックする時の回数は?」

 今度は指を4本出した。

「間違いないな。もしも違っていたら、私が中に入っている間に私の仲間がお前を殺す」

 男は首を縦に振ったので、そのまま延髄に肘を落とし楽にさせてやった。

「さすがだな、こりゃあもうターニャも敵わねえ」

 ロープを持ってヤザが駆けつける。

 ターニャとは、勿論サオリの事。

「後は頼む」

 3人の処理をヤザに頼み、小屋に向かいドアを4回ノックすると、ゆっくりとドアが内側に開く。

 暗い部屋の隙間から、あの爬虫類の様な目が光る。

「お前は、運送屋の……どうして此処が分かった」

「外の人に聞いたら、ツポレフさんはここだと教えてくれて」

「忘れ物を取りに来ました」

「忘れ物?俺のか?」

「そう。お前が持ち去ったものを取りに来た!」

 そう言ってドアに思いっきり体当たりして、部屋の中に飛び込んだ。

 思った以上に中が暗かったのは、電気の代わりにランプが灯りに使っているからだった。

 飛び込んだ拍子に、そのランプが揺れて2人の影が交錯する。

 直ぐにツポレフは持っていた拳銃を私に向けようとしたので、腕を絡めて捻り落とす。

 捻られたために拳銃は落としてしまったが、奴は逆に私の手首を握り逆関節に捻ろうとする。

 コマンドサンボの関節マイスターだ。

 狭い部屋の中、机を蹴ってバク転をして捻られる前に関節を正しい向きに直すと、今度はまた逆に腕を捻ろうとして来たので今度は前転して返す。

 このまま奴の強い握力で手首を握らたままだと、こっちの体力が消耗するばかりか、狭い部屋の中でもし倒されることがあったなら関節技のアリ地獄にハマり逃げ道はない。

 何度も手首を返して解こうと試みるが、その都度奴も同じように手首を返してくるために解く事が出来ない。

 もう一度やり直しと言う様に、また奴が関節を捻りに来る。

 今度は机から離れた位置で、しかも背中側は壁に近くバク転をするには難しい位置。

 しかし、このままだと捻られた体制のまま壁に押し付けられてしまいThe End。

 即座にバク転で交わそうとしたが、回転の頂点で奴の指が私の手を持ち替えようとするのが分かった。

 なるほど、そう言うつもりか。

 このまま回転を続ければ、逆に持ち替えられた手は、私自身の回転で勝手に逆関節に捻じられる。

 爬虫類のくせに、悪知恵は良く働くようだ。

 だが、悪知恵もそこまで。

 私は回転の途中で脚を伸ばして壁を蹴り、すぐさま逆の回転に切り替える。

 持ち替えようとして握りを緩めた奴の手から、私の手が解放された。

「事務員にしては凄い反射神経だな。お前、何者だ」

 壁を蹴った衝撃でランプが激しく揺れ、止まっているにもかかわらず2人の影が何度も交錯する。

「ニケ……サモトラケのニケだ」

 私の言葉にツポレフの顔が見る間に酷く歪んでゆく。

 無理もない、奴には倉庫を訪れた時に私を殺すチャンスは有ったわけだが、クダラナイお喋りと欲望的な行いで自らそのチャンスを潰してしまったのだから。

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