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フルメタル  作者: 湖灯
ウクライナに忍び寄る黒い影

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酒宴②

「なんの話をしていたんだ?」

「ナトー隊長の、オッパ……」

 答えかけたカールの口を、両隣りに居たモンタナとフランソワが慌てて塞いだ。

「オッパ?」

「あー、ハングル語で“お兄さん”の事ね。でも私に兄は居なと思うぞ」

「いや、居たらどんなお兄さんなんだろうなって思って」

「どんなお兄さんだと思う??」

 エマが異常に興味を示し皆に聞く。

「まあ、ナトーの兄さんだから、先ず背は高いだろうな」

「それに強い」

「射撃も上手い」

「しかもクール」

「頭も良い」

「まてよ、そんな奴、どこかに居たような……」

「「「「「ハンス隊長!!!!!」」」」」

「おいおい、トーニときたらハンス隊長を“奴”呼ばわりしたぜ」

「アホ!言葉のアヤだ!」

「でも、確かにお似合いね」

「やめろエマ。揶揄からかうな。だいいちハンス少佐はドイツ人だ」

「あら、ナトちゃんだってドイツ人かもよ。とにかく生まれて間もなく両親と別れたのだから、どこの国で生まれたのなんか分からないじゃない。それにハンスって意外にナトちゃんには優しいし」

「そうかぁ?俺達から見ると、逆に隊長はナトーには特別厳しいように見えるけど。なあ」

「ああ。確かに厳しい。入隊試験で俺とブラームに戦わせるとか」

「模擬市街戦だって超S級の最難関だったんだぜ」

「でも、MAZDAに乗せたぜ」

「おーーーーー!!!」

「MAZDAって?」

「エマは知らねえだろうが、ハンス隊長の車は女人禁制なんだぜ」

「あー、それ知っている。パリ郊外の廃棄物処理場をアジトにした悪者達に車を壊された時ハンスの車が来たから飛び乗ったら怒られたわ」

「勇気あるなぁ。で、隊長は何と言って怒った?」

「この車に乗って良いのはナトーだけだ!降りろ!!って」

(※グリムリーパーシリーズ『コードネームはダークエンジェル』第27話【The man who came late①(遅れて来た男)】参照)

「おーーーーー!!!!!」

 皆が私を見て驚く。

 確かにハンスは私に対して特別に厳しくて、そして特別に優しい。

 けれども兄妹ではない事だけは分る。

 エマだって同じ。

 大好きだし、優しいけれど、姉妹じゃない。

 でもヤザは義父だけど父親で、死んだハイファも義母で過ごした記憶はあまりないが私にとってかけがえのない母だった。

 考え事をしているとき、急に胸の辺りが、くすぐったくてピクンと跳ねた。

 何だろうと思って俯くと、そこには顎の傍まで押し上げられた自分の胸。

“な、なに??”

 よく見るとサラダボールを掴むように広げられたゴツイ男の手によって、胸が持ち上げられている。

 当然、皆の目は持ち上がった胸に釘付けで、まるで時間が止まったよう。

 胸を持ち上げている手から、伸びた腕を辿ると、そこにあったのは酔っぱらったカールの顔。

 酔いが回って目が座っている。

「おっ、おまえ、なにをする!」

 鷲のようなカールの手から逃れるために、椅子から飛ぶように立った。

 急に動いたため、何かに引っ掛かって服のボタンが千切れたような気がした。

 皆の視線が私の胸に集まる。

“もしや……”

 恐る恐る下を見ると見事に服のボタンが千切れていて、カールから押し上げるように揉み上げられた胸がブラから零れそうになっていた。

「ワオッ♡!」

 エマがそれを見て、声を上げた。

「嫌っ!!」

 慌てて手で前を隠したが、勢いが良すぎたはずみで左側がブラから飛び出してしまったが、それは腕の中なので誰にも見えはしない。

「ちょっと着替えて来る!」

 別に嫌な気もしなければ、好い気もしない。

 お乳を揉んだカールだって完全に酔っていて、悪気も嫌らしい気持ちもなかったことは分っている。

 言って見れば、彼は気になっていたモノに“つい”手が出ただけ。

 沢山の若い男たちの中で、唯一の女子と言う存在は私が思うよりも、実は彼らにとって重大な問題なのだ。

 まだ21歳で、男もハンス1人しか知らないから良かったものの、あと数年後にセックスに慣れてしまうと問題はさらに大きくなる。

 熟した果実が好い香りを発するように、熟した女も周囲にそれが分る様に無意識にサインを出す。

 そのチョッとした仕草や体そのものが、男たちの本能を刺激する。

 病気や体質など特別な問題がない限り、彼ら男性は交尾をするために存在し、女性は出産するために存在する。

 もう隠しきれない“女性”を、自分でも感じている。

 このままここに居れば、いつかはコレが仲間の命取りになる日が来る。

 ハンスが言う通り、EMATに行くのが最良の道なのは分っているが、今まで数えきれないほど多くの人たちを傷つけてきた私が今更戦場を離れることを神様が許すとは思えない。

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