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フルメタル  作者: 湖灯
ウクライナに忍び寄る黒い影

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ハンスとホテルで①

 私たちは同じホテルに宿泊していたので、結局ハンスの部屋で一緒に寝た。

 決して広いとは言えないシャワールームに一緒に入り、そこで愛し合い、ベッドに入ってからも2回……。

 行為が終わる度にハンスに眠るように言われたけれど、そのたびに私が甘えて誘うと、はじめは困った顔をしながらも直ぐに優しく抱いてくれ、最後の行為が終わったときにはカーテン越しに登って来る赤い太陽の日差しをハンスの逞しい肩を枕にして一緒に眺めていた。

「朝焼けが奇麗だな」

「うん……ねえ、朝焼けと夕焼けの、どっちが好き?」

「夕焼けさ」

「何故?」

「昔から言うじゃないか“夕焼けは晴れ、朝焼けは雨”って」

「なにそれ?」

「つまり、夕焼けが出た次の日は晴れて、朝焼けが出たその日は雨が降るって事」

「ふぅ~ん。ハンスも信じるの?」

「まあ、親父やお袋がよく言っていたからな。それによく当たる」

「確かに夕焼けは偏西風の関係で、太陽が沈む西の空がズーっと晴れていると言う事だから晴れる確率は高くなるだろうけれど、朝焼けが雨と言うのは何の根拠もない」

「そうなのか?」

「そうさ。だって東の空がズーっと晴れていると言うだけのことだもの。朝焼けで分かるのは、これまでの天気が良かったと言う事実だけ」

「これまで天気が良かったのなら、これから崩れる可能性の方が高いのでは?」

「さあ……これまでと同じように好天が続くとも考えられる。この例えは、人間らしいと思うよ」

「人間らしい?」

「そう。朝早くから晴れた空を見て、つい不安になる」

「なるほど、朝一番に晴れ渡った空を見て素晴らしいと感じれば、今度は逆にこの晴れた空はもう終わってしまうのではないかと不安になると言う訳か」

「真面目に生きれば生きるほど、いつも目の前には不安ばかり」

「だけど明日には常に希望を持ちたい」

「違うよハンス。夕焼けは晴れる確率が高いから、明日には必ず希望があるのさ」

「じゃあ、夕焼けが出なかったときの希望は?」

「雨が降るという希望」

「雨は希望にはならないだろう」

 ハンスが顔を上げて青い瞳で私を覗き込む。

「雨は希望の源だよ」

「希望の源?」

「雨は大地を潤し木々や草花を育て、川を流れ海に沢山のミネラルを運ぶ。更に大地に浸透した水は地下水となり、古来井戸水として私たちの生活を支えた」

「ナトーは雨が好きか?」

 ハンスの指が、私の唇に触れる。

「好きではないが、嫌いでもない。でも命を育むためには必要な要素だろっ?」

“必要な要素……”

 ナトーはそう言うと俺の体に乗って来て、キッスをしながら下りて行く。

 最初は唇、そして舌を這わせるように首筋を通り胸に降り、俺がしたように乳首を何度か吸い、更に下に向かいシーツの中に潜る。

「寝ないで大丈夫なのか?」

「ハンスは?」

「俺は飛行機の中で寝られる」

「ならいいじゃないか」

「俺が心配しているのは、おまっ……」

 思わずシーツの中に隠れたナトーの頭を掴む。

 まるで初めから、そうされるためにシーツの中に潜ったように、ナトーは俺の手に掴まれたままの頭を前後に動かす。

「ちょっと……待て!」

 俺がナトーを引きはがす様に声を掛けると、ナトーはシーツの中に隠れていた妖艶な眼差しを俺に向けて微笑むと、まるで蛇の様にするすると俺の体を伝い顔まで上がって来た。

「イッてもいいんだぞ」

「生意気言うな!」

 俺は体を回転させて、ナトーの上に乗る。

「形勢逆転だな」

「フッ、柔道なら、なっ……はぁっ!」

 俺はナトーに意地悪をして、返事をしている最中のナトーの中へ突っ込んだ。

「軽くイッたのか?」

「おっ、驚いただけだっ!」

「ほう、驚いただけね。だったらこれはどうだ!?」

 両手に掴んだ細い腰をぐっと引き、そこに打ち付けるように腰を落とすと、ナトーが“はぁっ!”と一際高い声を漏らした。

「イク時は言えよ」

「そっちこそ、いい気になってペースを上げていると墓穴を掘るぞ」

「上になっている者が試合をコントロールできる。悪いが今回ばかりはナトー、お前の負けだ」

「負けないっ!!」

 それまでベッドに押し付けられるように埋まっていたナトーが体を逸らせ、俺の打ち付けるリズムに対抗して自分でも下から突き上げて来る。

 腰を浮かされる羽目になった俺は、まるでへっぴり腰で腕立て伏せをする新米隊員の様になってしまい、伏せた顔の目の前にはエビ反って更に強調されたナトーの2つの胸。

 反っているものだから日頃と重力の関係が逆になり、豊かなバストの放物線がナトーの顎まで達してプルプルと波を打ち俺をいざなう。

 誘われるまま俺はそのピンク色の乳首に口を付ける。

 顔の傍だからキッスと勘違いしたナトーが、ホンの少し物欲しそうな顔をして唇を尖らせる。

 俺は口を付けていた豊かな胸を手で押し上げ、ナトーの口にも届くようにすると、その綺麗な瞳は驚いたように見開かれ自分の乳首と俺の顔を交互に見ていた。

「舐められるだろう」

「どっちを?」

「両方」

 そう言って、頂にある頂点の印をその口に近づけると、彼女の舌が伸びてきて頂点を這いながら俺に舌に絡んで来た。

 お互いが夢中になり、お互い同士を強くホールドして一つになる。

「一緒よっ!」

「ああっ!イクぞ!」

「来て来て!!」

「!!」

「!!!」

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