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かみかみかみ  作者: ナウ
7/10

狐の巫女の修行

朝起きてゲームして朝飯食ってゲームして昼飯食ってゲームして晩飯食ってゲームして風呂に入ってゲームして寝る。

そんな事が日常になると土日祝日の感覚も今日が何曜日なのかも感覚も無くなってくる。

そういえば神社に行ったのはどのぐらい前か。

カレンダーを見るともう一週間近く経つ。

2、3日ぐらいの感じだったのがもう1週間経つ。

子供の頃には1週間はとても長く感じたものだが今ではあっという間に過ぎ去る。


部屋の窓から外を見るととても晴れている。

快晴だ。


「……」


ゲームを一旦中断した俺は着替える。

家に籠ってゲームばかりしていたため運動不足だ。

たまには外に出る。

…というより神社が少々気になった。

運を取り戻せるかも知れない話を狸神の少女から聞いた。

期待を持てる反面、それを聞くには半妖の狐巫女と話さねばならない。

正直余り話したくない相手だ。

俺は狐巫女が非常に苦手だ。

何か凄く厳しい感じや雰囲気が今の俺にはかなりキツい。


「……」


とりあえず着替え終わり俺は家を出た。

晴れ渡る空。

眩しい光が俺を射す。

それで俺はトボトボと道を歩く。

駅ではなく、まずは神社に向かう。

狸神がまたいるかも知れない。


暫く歩いて神社に到着した。

相変わらずの鳥居。

外から中を見ても寂れている狭い神社にしか見えない。

それが一歩中に入ると別の顔を見せる。

不思議なものだ。


「今日もいるかな?」


狸神の少女。

到底神には見えないが狸から人間の少女に変化できる力を持つので神…なのだろう。

妖怪でも変化は出来そうだが神と名乗っているのだから神様と思っておこう。

それで俺は鳥居をくぐり中に入った。


「……」


特に不思議な感じはしない。

狐巫女やここに祀られている神様がいる時はまったく違う。

そういえばこのあいだ神にはランクがあると言っていた。

狸神のランクはどのくらいなのか?。

見た限り大して上には感じない。

放浪の神みたいな事もだいぶ前に言っていた気がする。

あと狐巫女に関しては神ではなく巫女さんだが神域の巫女と言われているようだ。

つまり神に近い存在なのだろうが、狸神よりも偉い感じに受ける。

一体その辺りどうなっているのか。


俺は境内を見渡した。

入って暫くすると狸が現れる…筈だ。

そうして暫く待つこと約5分ぐらい。

社の裏からガサゴソと音がする。

そして少し待って狸が裏の茂みから現れた。

いつもの事だ。


ずんぐり狸はこちらに気づきトコトコと短い足で歩いて社の表まで歩いてくる。

ドロン‼︎

変化し狸は少女の姿に変わった。


「やあ、悩める青年、久しぶりだね」


「ああ」


「今日はどうしたの?」


「ええ…と、狐の巫女さんいるかなー…て」


「あー、運を取り戻す話ね」


「そう」


「ふむふむ」


「でもいないんじゃ仕方がないな」


「ん?、いるよ?」


「え?」


俺の視界に何かいつもとは違うモノが映った。


「え?」


見ると社が変化している。

いつもは小さな社。

それが無くなって本殿と言えるぐらいの大きな建物に変わっている。


「これは?」


何か以前に見た事がある。

その時は驚いて建物を詳しく見る余裕がなかったが、改めて見るととても大きな建物だ。


「これってまさか…」


「あ、出てきた」


少女の言葉に見ると建物から狐の巫女さんが出てきた。


「あ…あの…」


俺は緊張した。

狸神は話しやすいがやはり狐の巫女さんは威圧感が凄くて駄目だ。

巫女さんはこちらを見て言った。


「来ましたか」


「はい」


「運の話ですね?」


「はい」


「無くした運を元に戻す事は出来ませんが、強くする事は出来ます」


「運を強くする?、そんな事が?」


「生半可では出来ませんよ、当然の事ですが」


「どうすればいいんです?」


「まずは歩きなさい」


「は?」


「目標を見つけて毎日長距離を歩きなさい、クタクタになる距離を」


「それって…それに何の意味があるんです?」


「意味ですか?、そうですね、今のアナタに必要なのは体を使って疲れ

る事です」


「だからそれが運を強くする事に何の関係があるんです?」


「理屈ではなく『やる』か『やらない』かですよ?」


冷ややかな目で俺を見る狐の巫女さん。

まったく訳が分からない。

それ以前に歩くの得意ではないんだけど。


それだけ言うと巫女さんは本殿に入っていった。

そして一瞬で目の前が変わり本殿は元の小さな社に変わった。


「凄いな」


これは前に見た光景だ。

しかし改めて見ると凄い事だ。


「…歩けって?」


「そ、オキツちゃんがそう言うのならそうなんだろうね」


「理由は分かる?」


「全然」


「そうか」


よく分からないがとりあえず俺は狸神に「それじゃ」と伝えて神社から出た。

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