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かみかみかみ  作者: ナウ
10/10

あれから半年

あれから俺は言われた通り歩いた。

それで何か変わるならと。

そして…



「半年ぶりか…」


この半年色々あった。

それまで家に籠ってゲームばかりしていた俺だったが何か気力のようなものが徐々に起こってきてバイトを始めた。

掛け持ちだが中々に時給の良いバイトが見つかり今は勉強をしながらそれらのバイトをしている。

何の勉強かって?、大学に行くためのだ。

歩く事で血の巡りが良くなったのかどうかは知らないが体調はすこぶる良い。

それが頭にも影響しているのかどうかは分からないが以前よりも勉強が捗り色々頭に入るようになった。

何よりマイナス思考が消えてにグチグチ考えなくなった事が大きい。


「本当に久しぶりだな」


半年ぶりの神社。

最後に来た時には確か猫の神がいて得体の知れない妖怪みたいなのが現れた。

それから何か色々と忙しくなったりして来れなくなってしまっていた。


「さて…」


神社は相変わらずだ。

狭い神社は誰もいないし寂れている。

しかし俺は知っている、鳥居をくぐり入れば変わると。

それで俺は神社に入った。


「……」


狸神はいるだろうか?。

狐の巫女さんは?。

蛇や猫の神様は?。

そう思いながら境内を見渡す。

すると祠の奥からモゾモゾと動くものが…。

間違いなく狸だ。

しかし今日はすぐに俺に気づいてトコトコと寄ってきた。


ドロン!


狸は変化し少女の姿に変わる。


「おー久しぶりだね、悩める青年」

「ああ、本当に久しぶりだね」

「随分と運が上がってきたみたいだね」

「お陰様でね」


うんうんと狸神は頷いて1人納得している。


「狐の巫女さんは?」


「今日はいないよ」


「そうか、そう言えばここに最後に来た時に猫の神様がいたっけ」


「あー 妖界と繋がった時ね、うんうん、その時の事は聞いたよ」


「何かおっかなかったけど」


「だろうね、本来人間が遭遇しちゃダメなものだしね」


「それにしても、本当にご利益ってあるんだね、驚いた」


「まぁ、単なる助言だし、本来の神様の力じゃなくて君の努力だけどね」


「そうなんだ?、だけどそのきっかけはこの神社だしね」


「ほうほう、やっぱり君変わったね、何だか明るくなった」


「かな?」


「まぁ、神様の御利益はそうそう得られないけど信じる事を忘れずにお祈りにくれば得られるかもね」


「そうそう得られないの?」


「そうだよ?、あれが欲しいこれが欲しいなんて祈願されても神様はそうそう願いは聞いてあげないからね」


「そんなものか、君も願いは厳選する方?」


「というか元々私は小動物を見守る神であって人間の願いを聞く神じゃないからね」


「そうなんだ」


「そうそう、あ、そういえば君が近々来るからとオキツちゃんから伝言があったんだ」


「え?、何て?」


狐の巫女さんから俺宛のメッセージ、それだけで背筋がピンと伸びる。


「恐れずに進みなさい、信じる心があれば運はひらけてきます…ってさ」


「そ…そうか」


俺は何となく理解できた気がした。


「今日は話せて良かったよ、徐々に運が上がってきた事を言いたくてさ」


「だろうねぇ、ま、頑張っておくれよ」


「ああ、それじゃ今日は帰るよ」


「ほいさ、なら元気でね」


「ん?、ああ…じゃ」


そう言って俺は神社を出た。



これが俺の奇妙な体験だ。

その後、順風満帆とは行かないまでも志望大学に受かりバイトで学費を稼ぎながら友達も恋人もできた。

やがて卒業し大手とはいかないが中小企業に就職して大学時代からの恋人と結婚し子供も生まれた。

あの神社の件以来、確かに運が上がったのだ。

ただあれ以来神社に行っても狸神には会えなくなった。

狸神だけでなく狐の巫女さんにも他の神様にも会えなくなった。

神社の変化も他の変な事も諸々無くなったのだ。

狸神が最後に言った「元気でね」っという言葉は今でも耳に残っている。


あの時の体験は何だったのだろうかと思う。

最近は毎日歩くという事は無くなったが休日には歩くように心がけている。

神社もたまにだが手を合わしにいっている。

もう狸神達に会うことはなくなったが今でも見守ってくれていると信じている。

そう言えばまだ5歳の娘がこの間嫁と一緒にあの神社の前を通ったとかでこんな事を言っていた。


「お昼に神社さんの前を通ったらねぇ、中に狸さんがいたんだよー」


娘の話を聞いて俺は何か嬉しくなった。

これで終わりです

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