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Trick or Treat 中編


 清夏達は大量のお菓子を持って孤児院を訪問していた。

 孤児院の戸を叩くと、簡単に仮装した子どもたちが溢れ出る。

 

「「「Trick or Treat!!お菓子をくれないとイタズラするぞ!!」」」

「HappyHalloween!ちゃんと並ばないとお菓子はあげないぞ」

「「ならぶ〜!!」」

 

 声を揃えてみんな清夏の前に一列に並ぶ。清夏は一人一個ずつお菓子を渡していく。

 子どもたちは嬉しそうに、大事そうにお菓子を両手で持ち、ありがとうと元気よく清夏にお礼を告げる。

 

「喜んでくれてよかったな」

「あぁ。さて、帰るぞ。パーティーに招待されているからな、仮眠を取らないとしんどい」

「そうだな〜。ちゃんと土産も買っておいたし、さっさと帰るか〜」

 

 今夜はアデライン家に招待されている。ハロウィンパーティーを開くので良かったら来て欲しいということだ。このパーティーでは皆何かしら仮装をする。

 

「なぁ〜、清夏はどんな仮装する?」

「狐耳でも出して仮面を被るさ。そういうはやてはどうするんだ?」

「俺?俺は〜、そーだなぁー……包帯でも巻くさ」

「適当だな……」

 

 雑談しながら城に一旦戻ると、昼食を取り夜に備えて仮眠を取った。

 

 

 

 

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 

 

 夜。

 馬車に揺られながら、窓の外を眺める。

 

 どこもかしこもハロウィン一色だ。

 夜は大抵暗いのだが、今夜は明るい。皆、家の前にはジャック・オー・ランタンが置かれ、街を彩っている。

 

「仮面邪魔だな〜、俺あんまり目元隠したくないんだよ」

「口許はいいのに?」

「それはほら、こっちでは違うけど、俺の着物は口許隠してるじゃん。目元は別に隠してないし、隠せないし、慣れねぇんだもん」

「ふーん」

「もちっと興味もてよ!お前から聞いてきたんだろうが!」

「だってどうでもいいんだもん」

 

 ツンっと顔を颯から背ける。

 

「到着しました」

 

 御者が屋敷に着いたことを告げる。

 馬車から出ると、浮世離れした屋敷が目に入った。異様に明るい。ランタンが沢山置いてあるからと言って、これ程明るくはならない。

 よく見ると火の玉のようなものがふわふわと浮いて光を発していた。

 門をくぐると、執事が現れ招待状を確認する。

 

 中庭と玄関ホールが解放され、どちらにも人が溢れかえっていた。

 仮面があるのであまり身分を気にせず社交しているようだ。

 

 その人ごみの中から清夏の元に一人の男性が歩いてくる。きっとアデライン公爵であろう。清夏や颯は黒髪なので、顔を隠していてもすぐに正体がバレる。

 

「ようこそいらっしゃいました。今宵はこの幻想的な景色を楽しんでいってください」

「こちらこそお招きありがとうございます。すごく幻想的で面白い演出ですね」

「これらは私と娘が交代で魔法を行使し、維持しております。皆様が楽しめるような工夫を毎年考えているのですよ」

「凄いですね。公爵家全員の努力があってこの光景が成り立っているのですね」

「ありがとうございます。パーティーの最中にちょっとしたゲームをご用意しておりますのでどうぞお楽しみくださいませ」

「ありがとうございます。では遠慮なく楽しまさせていただきます」

 

 公爵との挨拶が済み、まずは男性陣が固まっている場所へ行く。

 その様子をチラチラと女性陣が盗み見る。

 

「お洒落ですわ」

「仮面も趣味がよろしいですけれど、服がなんと言っても」

「私、少し見えましたの。ハロウィンに合わせて、ボタンがコウモリの形になっていましたわ」

「色もとてもいいですわ。スーツベストはパンプキンの色、上着とズボンは一見黒く見えますけれど、光を浴びると紫に見えるところがもう!」

「ええ!センスの塊ですわね」

「あういう方が、他にもいらっしゃれば」

「「「ね〜」」」

 

 着ているものをよく見ている事だ。

 

「品評会みたいだな」

「言うな言うな。はぁ、相変わらずの地獄耳だな。あと、いちいち会話の内容を知らせなくていい」

「え〜、聞きたいかと思って。親切心だよ親切心」

「いらんわ」

 

 颯が要らないことを清夏に教えていると、何かが招待客たちに配られ始める。

 すると玄関ホール辺りから声が飛んできた。

 

『皆様!楽しんでおられますでしょうか。では今回の余興ゲーム内容を発表致します!まずは今使用人たちが配っているものをご覧下さい!』

 

 どうやらゲームを始めるようだ。招待客たちは、使用人から一人一枚何かを受け取る。

 

「カード?裏になにか描いてある」

 

 絵はジャック・オー・ランタン、コウモリ、ロウソク、仮面、魔女、お菓子の六種類ある。

 

『そのとおりです!そのカードに描かれている絵はこの会場の中にあります!ですが、あるのは全部で六枚!同じ絵の方々は一箇所に集まってください』

 

 皆、声に従って同じカード同士が集まる。

 颯と清夏は別のグループになった。

 

『では、執事について行ってください。執事が言った範囲が、カードに描かれた絵があるエリアです!一番に見つけた方、全部で六名の方が次のゲームへ進むことができます!』

 

「では、皆様はこちらでございます」

 

 執事に案内され、それぞれのグループはばらばらになった。

 清夏のグループは玄関ホールだった。

 

「玄関ホールの何処かに皆様の持っていらっしゃるカードと同じカードが隠されております。見つけた方は、待機している私めにお声がけ下さい」

 

 説明が終わると皆いっせいにホール中を探し回る。隠せそうな花瓶の下、手すりの裏などなど。

 

「……」

 

 清夏はあまり興味もなく、ただの暇つぶしとして自分も探すことにした。

 


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