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考えの柔軟性

ここまで読んでくださった皆さんならお気づきかもしれませんが、私は日々の物事に対し、ふと疑問を持ち、その問題を自分流に解決しています。それが正しいか正しくないのかは論点ではありません。要は私が満足すればいいのです。

大学に入ってからというもの私はやたらと理屈を並べるようになりました。何かあるたびに自分の納得する理由を見つけようとしています。結果として決断力、行動力が鈍っています。果たしてそれはいいことなのでしょうか。論理と感情は相反するもの。感情だけに身をまかせて失敗することがあります。そうならないために理性というものが働きます。この二つをいい具合に使い分けることがこの社会を生き抜く術だと思っています。しかし大学に入ってからの私は論理が感情を大きく上回っているような気がします。慎重、冷静といえば聞こえはいいですが、もともと内気な性格だった私は余計に非積極的になったと思っています。自分に変化が生じたかもしれない決断をたくさん辞退してきました。何だか勿体無い気もしますが、その時は行動しないが吉、変化するのは怖いと結論付けたのでした。

少し話が逸れましたね。改めまして、大学に入ってからというものものの見方というものが変わってきたと思うのです。ただ単純にこれはこうなんだと知識として“得る”のではなく、理屈、つまり理由を考えて、その物事を“理解”するようになった気がします。私の言いたいことがなんとなくわかっていただけたでしょうか。こうなった理由はおそらく環境のせい、いやおかげというべきでしょうか。大学生になってからはやたらと論文を書くようになりました。論文というのを少し皮肉っぽく説明するとは自分の論点を挙げて、信用のおける資料から自分の論点に都合のいい根拠を持ってきて、相手を説得するのが目的です。論文の目的はあくまで説得、事実を紹介することではないのです。人を説得するためにはまず自分たちがその論点を熟知し、そしてこの考えが正しいのだと思い込む必要があるのです。

ここが問題です。人々は自分の考えに正当性を求めるあまり、他の意見を受け入れなくなるのです。頭が硬い、融通が効かないとはまさにこのことですね。子供のうちは物事の道理というものがわからず数々の失敗を経験し、そこから自分の常識というのを構築していくものです。もちろん失敗する前に先生や親など、大人たちがその行動を制止してくれます。こうやって大人になっていくのでしょう。なんだか偉そうなことを言っていますが、私自身まだまだ未熟者だと認識しています。ただやはり歳をとるにつれて失敗談というのは減ってきています。

そんな吸収力、柔軟性に優れた子供とは違い、大人たちはすでにたくさんの経験を積み、そこから自分好みの思想、価値観、主義をすでに難攻不落の城塞のように作り上げてしまっている。これが彼らの自分らしさなのでしょう。こうなってしまってはそう簡単に自分の考えを変えようとはしなくなります。自分の考えが反論されれば、怒るか、無視する。決して自分の考えを疑おうとはしません。そうして他を拒絶し、変化を拒み続けた結果、時代の波に飲まれた人はたくさんいるでしょう。

常識や価値観というものは社会が構築するものです。そこに絶対的な正当性は存在しません。時代が変われば、環境が変われば簡単に覆ってしまう脆いものです。自分の信ずる考えには必ず反論の余地があるということを認知するべきかと思います。そして何より自分の心情を他人に、特に純粋無垢な子供に押し付けないでいただきたい。もしその子供が幼いうちからあなたの思想に染まりきり、他を拒絶するようになってしまうのは、彼らの“自由”を奪うことに等しいと私は思います。

気を悪くしないでください。私は別にみなさんに言っているわけではありません。自分自身に言い聞かせているのです。今のままでは私はきっと自分の価値観に絶対性を見出し、自分の考え方が正しいのだと慢心し、酔いしれるでしょう。私はそんな偉そうで、傲慢な態度を取る自分は嫌なのです。そんな自分にならないためには常に他人の視点というものを聞き入れなければいけないはずなのです。しかしなにぶん人と滅多に会話をしない私、人と会話することが恥ずかしいと言うよりは面倒と感じてしまう私は果たしてどうなってしまうのでしょうか。

ご無沙汰しおります。自慢ではないですが最近は毎日執筆活動に明け暮れています。いつも大体しばらく書き続けると飽きてしまうのに、今年は全く衰えを知らず、もうすでに300ページも書いてしまいました。ちなみに『異人』はあれで110ページですので、もう三倍近く書いていることになります。おそらくですが『鍵穴の人間』以上の長編になると思います。

さて、来週からは失敗談について。買い物での出来事を三つ紹介します。自虐もほどほどにしたいと思うのですが、なにぶん学んだことが多くて…というわけでお付き合いください。

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