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ESL

さて、先日述べたように授業は英語で行われますが、中国語が飛び交うこの環境化で私自身にちょっとした変化をもたらしました。それが進化なのかはたまた退化なのかはっきり言えませんが、進化という面で言えば第二、第三言語を習得したことだと思う。私はこの学校に小学三年生から三年間在籍していました。最初の一年は英語の勉強に特化したESLというまあ言うなれば英語特訓コースで授業を受けていました。ESLはEnglish as Second Languageの略なので、直接的な意味合いから言えば欧米系以外全員が対象となりますが、実際は英語が全くできない英語初心者の人たちが受けるコースなので、外国籍を習得している中国人は在籍していませんでした。私の学年で在籍していたのは韓国人と日本人だけでした。

授業はただ一つ、英語の基礎文法。日本でいう国語、つまり英語の本を読んで読解力を身につける授業や、理科、社会はこのESLnにいる間は受けていません。他のクラスメイトがそれらを受けている間はずっとESLのクラスにいました。逆にESLではない人たちと一緒に受けていた授業は算数、体育、美術、音楽、そして中国語でした。私はこのESLのクラスで英語の基礎を学びました。I, you, heなどの人称代名詞に始まり、複数形にするときの”s”や”es"の付け方、andやbutのような接続詞、現在形、現在進行形、過去形、未来形といったいつ起こったかを表す技法、肯定文を疑問文や否定文に変える方法などなどです。もちろん今まで習ったこともないことに加えてそれを英語で教わったのです。悪戦苦闘しました。非常に苦しかったのを覚えています。投稿初日から数日間はよく早退したものです。体育、美術、音楽は週二程度なので、同じ時をクラスの人たちと共有することはあまり多くありませんでした。代わりにESLの人たちと仲良くなりました。と言ってもそのほとんどは日本人です。英語の特別レッスンを受けているとはいえ、休み時間などはほとんどESL組と一緒にいる私は英語が上達するのかと今書いていて疑問に思いました。

しかしその上達ぶりは以外にもすぐに現れたのでした。今まではクラスの子が私にただ話しかけているのか、質問をしているのかさえわかりませんでしたが、ゆっくり片言で言ってもらえれば何を言っているか理解できるようになっていました。そしてESLの中には韓国人もいました。彼らとも覚えたての英語を駆使しながら会話が成立するようになり、ようやく自分の英語力で他人と意思疎通ができたことを喜びました。

そしてこのESL組との付き合いはまだあります。中国語のクラスでも一緒のことが多かったのです。中には英語だけできなくて中国語ができる子もいましたが、私と同じようにどちらもできない子もいました。彼らに欧米系の子たちを加えて中国語の授業を受けました。授業は基本中国語でしたが、英語での説明が入ります。何より欧米系の人たちと会話する機会があったため、ますます私の英語力に磨きがかかったのは明らかでした。中国語も授業で習ったことが徐々に生かされ、中国人のクラスメイト同士が話していることをなんとなく理解できるようになったりしました。さらに中国語は英語より聴く頻度が多い、なんせそこは中国なのですから。学校の中だけでなく、道を聞きたい時、何か買いたい時など中国語を話さなければいけない時が多々ありました。その結果中国語は英語以上に上達し、英語で何か言われてわからない時に中国語で言われて理解すると言ったことができるようになりました。

こう言った経験から私は断言できます。言語を習得する上で重要なことはその言葉を使って人と会話をすることだと。ただ参考書やドリルで勉強するだけじゃダメです。それを実践でいかせてこそ習得できたと声を大にしているのだと思います。教科書通りの言葉を覚えても相手は教科書で習う硬い言葉は使わないかもしれません。友達同士ならなおさらです。そう言った臨機応変の対応力も人と会話することで身につけることができるのです。その後四年生からはESLを抜け、みんなと同様の授業を受けられるようになりました。それは前からやっていた音楽や美術、算数、中国語に加えて英語、理科、社会でした。

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