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十年生、まずはI氏と私のホームルームが一緒かどうかという点ですが、結論から言うと違いました。というか学年が上がってもクラスが変わらなかったので、仕方がありません。夏休みの期間中、一切連絡を取らなかったこともあり、I氏とは少し疎遠の関係になっていましたが、別に仲が悪かったわけではなかったので、ただの仲のいいクラスメイトといったところから再スタートしました。しかしすぐに元の関係に、そしてさらに親密な関係へと発展していきました。下校は周りが余計に気持ちを汲み、二人きりになることが多くなりました。そして、英語、歴史の授業は隣同士で座るようになり、私が毛嫌いするランチタイムでも隣同士に座りました。そしてこの関係にさらに拍車をかけたのが修学旅行でした。前話したと思いますが日本の学校での三年間の修学旅行の中で一番記憶に残っているのが、十年生。まあ一番最近ということもあるでしょうが、I氏との関係性が発展したという意味でも記憶に残っているのだだと思います。

新潟まではバス移動。バスは二台、九、十年生の五クラスが三対二で別れる。仮に私のクラスが一組、彼女のクラスが五組だとすると、一と四が同じで二、三、五が同じバスというよくわからない分け方になったため、一緒ではありませんでした。まあしかし仮にバスの中が一緒だった場合、数時間隣同士に座っていたと思うので、話の話題を作るのに苦労したと思います。そういう意味では良かったかなと思います。スキーはスポーツです。知っての通りバランス力が皆無な私はスキーができない。前にスキー旅行での私の醜態を紹介しましたね。一方のI氏はスキー経験者です。クラスは上級、対して私はマンツーマンレッスンが最低でも必要なくらいの初級も初級。そもそもスポーツにおいて私はI氏に敵わないことを知っていたので、勇姿を見せようとも思いませんでした。スポーツで唯一かっこいいところ見せれるのはかじった程度の経験があるラグビーぐらいでしょうか。そういえば九年生の体育の授業ではタッチラグビーをたまにやっていたのですが、十年生になって突然なくなりましたね。つまり私の見せ場も十年生の時にはなかったわけです。

というわけで旅のメインであるスキーをしている間は言葉を交わすどころか会うこともありませんでした。機会は夜に。夕食を食べるまで、そして食べた後の消灯時間までは基本仲のいい人たちとつるんでいました。それこそディズニーや複合娯楽施設を一緒に楽しんでいた人たちです。その中にはもちろんI氏がいました。ただ話をするだけや修学旅行の定番といってもいいUNOなどを楽しんでいました。そういえばなぜかいつも集合場所は私の部屋でした。おそらく、よくつるむ仲のいい人のうち二人がその部屋に泊まっているから、そしてUNOを持ってきていたのが私だからという理由からだと思います。それに女子の部屋に男子が押し寄せるのは憚られますから。

二泊三日の修学旅行、おそらく二日目の夜のことだったと思います。その日も私の部屋で消灯時間まで遊んでいました。早寝早起きを生業とし、空気を読まない私は集団から離れ、歯を磨いたりと寝る準備をしていました。それを見たのか、自分たちも寝る準備をしなくちゃとどんどんと私の部屋を去って行きました。そんな中で最後まで私の部屋にとどまっていたのがI氏でした。私の部屋といっても別に二人きりではなく、同室の男子二人もいました。私は彼女のことは気にせず、布団に入り、消灯時間まで持参した小説を読んでいたと思います。するとI氏は“少し寝たい”と言って、私の布団に入ってきました。理由はよくわかりませんが、なぜか上下逆向きで。普段はおとなしい彼女が誰かに吹き込まれたのか、はたまた自分の意思なのか、何はともあれ積極的に見えました。まあ別に断る理由もないので布団に入るのを許しました。消灯時間までのほんの数分間の出来事だったと思います。私は冷静を装いつつ、小説を読んでいましたが、頭に入っていなかったと思います。もちろん最初は緊張でですが、すぐに一つ気がかりなことがあったからでした。いえ、もしかしたら他のことに頭を使っていないと、真横で寝ているI氏が気になってしまうからというのが本音かもしれません。ともかく、気分屋で寝たい時に寝る私とは違い、真面目なI氏が学校で寝たことはありませんでした。彼女は寝る間も惜しんで勉強するほど努力家だったので、私のような早寝をする人ではないと思います。そんな彼女がいくら親しいとはいえ、私の布団で寝ている。そして周りには男子がいる。明らかに何か理由があると思った。そこで私は一つの仮説を立てました。

彼女も私同様人付き合いが苦手です。彼女はその性格上、好きな人と嫌いな人がはっきりと分かれていたと思います。そして学校内では彼女が苦手とするクラスメートがたくさんいたと思います。もちろん本音をむやみに漏らさない日本人らしく嫌いな相手にも我慢して接していたようですが、その分後で私によく愚痴をこぼしていました。そんな中で彼女の修学旅行中の同室のクラスメイトの中に彼女の嫌いな人がいればどうだろう。些細なことでストレスを感じる繊細な彼女であれば、その人と同じ部屋で寝ることは、私には想像できないほど辛かったのかもしれません。なんせ寝る時さえ気が休まらないでしょうから。ろくに寝つけなくてもおかしくないと思いました。私はその仮説を彼女に話さなかったのでこれが真実だったかどうかはわかりません。しかし、彼女が私の布団で寝たと言うことは、私は彼女にとって心を寄せられる存在であることに違いないと思いました。その後は特に何か二人きりで何かをするわけではありませんでしたが、彼女は一緒に入れるときは私の側にずっといたと思います。こうして私もあの屈辱を受けたはずのスキー旅行を楽しく終えることができました。

念のためですが最後の”私の布団で寝た”は決して卑猥な意味はありません。”私の側で緊張を解いた”という解釈でお願いします。ちゃんと彼女はその後消灯時間が迫ると帰っていきました。

それにしてもこんな面白みに欠ける恋話を長々と語ってしまい、申し訳ありません。後二、三回で終わる思うのでもうしばし辛抱ください。

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