修学旅行 その2
ではこの学校時代で覚えている思い出をざっと紹介しよう思います。まずは学生なら誰しも楽しみの修学旅行。八年生の時に行った場所は山梨県の清里高原です。正直そこに行ったという記憶しかないので、特別楽しいことはしなかったのかもしれません。九年生と十年生はどちらも同じ場所で新潟でスキー旅行でした。流石に全員が全員滑れるわけではないので、熟練度に合わせてレベル分けされていました。当然、スポーツを不得意とし、なおかつバランス力が皆無な私はスキーはこれまでやったことがなかったので初心者のグループに入りました。一つ言い忘れていましたが、そこではスキーとスノーボードのどちらかを選べました。私は特に理由もなく、スノーボードを選びました。周りも当然スノボーに初挑戦のものばかりでした。
インストラクターの方が一つ一つ丁寧に教えてくれました。まずはスノボーの乗り方、そして転んだ時の受け身の取り方、スノボーに足を固定する手順など。みんな徐々にではありましたが、上達していきました。私も足を固定する手順と受け身の取り方は上手くなったと思いますが、やはり根本のスノボーに乗る動作がいくら練習しても上達しませんでした。平らな雪の上でもバランスを崩してしまうのだからスロープの上なんてもってのほか。結局二泊三日の一日目はボードにろくに乗ることもできずに終わりました。ロッジに戻った頃には久しぶりに全身を筋肉痛で覆われました。普段運動もせず、家にいる者にとってはこれぐらい当たり前。これに加え私は人一倍少食なので、体力は人より少ないと思います。それゆえ体力切れになるのが異様に早く、受け身と手順を教わっただけで息切れを起こす始末でした。おそらく六年生の時のラグビーをやっていた頃が一番健康体だったかもしれません。
二日目で私を含め、初心者全員がリフトに乗ってちょっと高いスロープから降る練習を行いました。ろくにスノボーに乗れない私はやめようかと迷いましたが、もう少しやってみようと思って、リフトに乗りました。この時初めて知ったのですが、スロープへ向かう途中のリフトにも私にとっては乗り越えられない壁がありました。それがリフトの降り方。片足をすでにボードに固定したまま乗り込み、降りる時、両足をボードに乗せてまっすぐ滑るということが私はできませんでした。なぜならボードに乗って一秒とかからず転倒してしまうから。係員がリフトを止めて私を抱き起こしました。スロープを降りるときも私は周りの人の二倍か三倍近く時間がかかった気がします。なぜなら毎回十メートルほど滑ったら転倒するのですから。
インストラクターは私がようやく下まで降りてきたのを確認すると、再び練習だと行ってリフトへ向かいました。今回もリフトから降りるのに失敗し、スロープを降るのも一番遅かったです。それをあと二回くらい繰り返したところで私の心はついに折れてしまいました。ボードに乗るのに時間がかかるだろうとはじめから予想していたので、人より上達が遅いことに関してはそれほど惨めな思いはしませんでした。一番の原因はリフトを降りるたびに毎回係員が私のためにリフトを止めざるおえないことでした。当然私の後ろにはクラスメイトや普通に旅行に来ている家族連れまでいます。明らかに他の人に迷惑をかけている、そう思ったら諦めざるを得なかったです。久しぶりに自分の運動神経を憎みました。頭ではわかっているのに体がついてこないことに苛立ちました。結局私はその日は一足早くロッジに戻りました。最終日は午前中だけ軽く滑るというスケジュールでしたが、私は帰りの時間まで外に出ることはありませんでした。