数学の時間
九年生からは九、十、十一、十二年生とホームルームが一緒になります。少子高齢化が進んでいるせいでしょうか。それともただ単にこの学校に在籍している生徒数が少ないからでしょうか。ともかく上級生になればなるほど生徒数は少なくなるので、この学校ではホームルームは四学年合同ということでした。その四学年を均等に分けて四クラスに分けるので、一クラスに同じ学年の子は五人から六人。特に九年生はその四学年の中で人数が少ないほうだったため、一クラス三人から四人ほどしかいませんでした。ちなみに当時の十二年生は全クラス合わせて五人でした。
というわけでホームルームは八年生の時のクラスメイトたちと結構バラバラになりましたが特別会う機会が減ったわけではありません。というのも八年生の時とは違い、英語、理科、社会は一学年合同で行われましたので。前にも行ったと思いますが、八年生の時はホームルームで全ての授業が分かれていました。当時の八年生は二クラス、仮に一組と二組としましょう。一組と二組が交わるのは体育と音楽、美術、そして日本語の授業の時だけで、英語、数学、理科、社会と行ったメジャーな科目で一緒になることはありませんでした。
九年生の時は一学年全員での授業多かったのですが、数学はクラス内で二つに分かれていました。スタンダードクラス(中級者)とアドバンスドクラス(上級者)。というのも大学、主に英語圏の大学で理数系に進む場合、必ず数学は高校でアドバンスクラスを取らなければいけないので、いわばこの九年生の数学の二分はその道に進む生徒らのための下準備と言えます。このアドバンスクラスという名前は欧米諸国の高校ならどこでもあるのですが、その授業内容は様々。この学校での授業内容は九年生と十年生の数学を一年の間に終わらせるというもの。これにより、十年生では一個上の十一年生の数学を、十一年生の時には十二年生の数学を、そして十二年生の時には大学一年生の数学を勉強するという形になります。
私はもちろん数学が嫌いだったし、理数系に進むつもりはなかったので、スタンダードにいたのですが、先生の推薦でアドバンドクラスに上げられました。アドバンスドクラスにいたのはやはり数学で本領を発揮する韓国人を始め、アジア系が占めていました。同じアジア系ですが私は大変でした。なんせ一年間で二年分の授業をこなすため、進む速度が以上に早かったのです。基本解き方を教えたら、あとは自習で練習問題をこなす。すると次の日にはまた違うレッスンに入っています。もちろんわからなければ先生に聞けますが、なぜか周りのほとんどがこんなのもう簡単と言わんばかりにすらすらと解いていくので、私だけ先生に聞くのは気が引けました。私は塾にも行ってなければ、特別数学が得意なわけでもありません。正直彼らにも授業にも追いつける気がしなかったです。周りは皆大体授業中に宿題の分まで終わらすのですが、私は家に帰ってからも問題を解いていました。多分数学にかけていた時間は半端なかったと思います。そうやって死に物狂いで必死に授業についていきました。正直なんども普通のクラスに戻りたいと思いましたが、先生が非常に優しく、何度も根気強く私を励ましてくれたのでなんとか頑張れました。