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育ちの良し悪し

八年生からの三年間を過ごしたこのカナダ教育プログラムのインターは日本にあるだけあって過去に通っていた二つのインターとは少し違い、日本の学校という感じがしました。

その一つが前回言った電車通学です。繰り返しますが、これまで時間通りのバス、乗った人全員分の席が用意されているバスにただ乗り降りするだけだったのが、どの時間のどの電車、そしてどの駅で降りるかも自己責任、人とぎゅうぎゅう詰めになりながら電車に乗るようになりました。

そしてもう一つが制服です。これまでの学校はすべて洋服の指定はありませんでした。しかし日本の中学や高校では当たり前にある制服がこのインターにもありました。登校する数日前に確か三越伊勢丹の洋服店に制服をオーダーしに言ったのを覚えています。当時の私は伊勢丹という言葉はどこかで聞いたある程度でして私はそれまで伊勢丹が高級老舗百貨店だとは知りませんでした。なので制服を頼んだお店の定員さんが私のことを“おぼっちゃん”と呼んだ時には思わず身が引き締まりました。その呼ばれ方をされたのはもちろん初めてでした。今までごく普通の家庭の元育った自分はその言葉を聞いた瞬間、おそらく顔に出るほど驚いていたと思います。そして思わず自分の身なりを確認し、恥ずかしくなりました。高級呉服店にティーシャツ、短パンでリュックを背負った自分はあまりにも似つかわしくない、この場所の威厳と品格を損なっていると改めて感じたのです。

前々からインターはお金持ちしか通うことができないと親から聞かされていたのですが、自分の育った家庭は全くもって高級感を感じさせず、これまでのクラスメイト、それこそ上海時代のジェームスもスタバの中国支部の社長を父に持ちながらも、彼自身、そして彼の家からもそこまでも高級感が滲み出してはいませんでした。私の思うお金持ちといえば専属の運転手やメイド、執事を従え、いつも派手なスーツを着こなしているイメージですが、彼らはそうではありませんでした。このカナダ教育プログラムのインターに通う人たちもどうやら日本の経済界の重鎮達のご子息が多く在籍していたらしく育ちの良さは多少感じました。しかしとは言ったものの我々生徒の間には何の隔たりも存在せず、貧富の差による差別などもなかったので安心しました。言葉遣いもや“〜ですのよ”や“ごめんあそばせ”、“御機嫌よう”と言った堅苦しい、気が滅入る言葉を使うものはおらず、みなカジュアルな振る舞い見せていました。

みなさん、お久しぶりです。もう六月ですね。日本は梅雨時期でしょうか。カナダの雨季は冬なので、今はカラッとした夏です。

ところで”上海時代のJ君”覚えていますか。少し前に上海時代にクラスメイトの家に遊びに言ったことを書いたと思うのですが、それがこの”J君”です。おそらく彼の名前は出していなかったと思いますので、今回のイニシャル止まりとさせていただきました。これからもイニシャルの人たちが続々と出て来ると思います。いつだったか名前からでも身元を特定してしまうとどこかで聞いたことがあるため、彼らに迷惑をかけないようにイニシャルだけにさせてください。まあ読者のみなさんは私なんかの知り合い興味ないと思いますが…

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