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ラグビー

もう一つ広州時代の出来事を述べておきましょう。それが部活です。それまで私の部活と呼べる活動は上海時代の生物部と機械部だけでした。機械部は電子基板にはんだこてで溶接していき何かしらの機械を作るという部。私はそれで簡易ラジカセなどを作った記憶がありますが、説明が全て中国語だったので、全てを理解していたわけではなく隣にいた人の見よう見まねといった具合でした。生物部はただ単に生物の動画、狩りや求婚、子育てなどの仕方をただ見るという部でした。狩りの映像は私に興奮を少し与えましたが、どちらも正直そんなに印象に残っていません。

そんな中で初めて運動をするタイプの部活をこの広州のインターで始めた。私はそもそも運動神経が悪いです。ざっくり説明しておくと、私は体力、瞬発力とバランス感覚がありません。体力に関しては少食が関係しているのかもしれないが、100mを走りきることができません。瞬発力に関しても徒競走でスタートダッシュに出遅れます。バランス感覚に関しては自転車も乗るのにすごく時間がかかったり、竹馬にも乗れたことがなかったりという感じでしょうか。前回説明した谷底に落ちそうになったのも片目を掻いていて、バランスを崩したと考えています。という具合に私には運動の才能がなかったのかもしれません。そんな中で始めたのが七人制タッチラグビーでした。なぜこんなスポーツを始めたのか、マイナーだからです。サッカーや野球、バレーボールにバスケットボール。部活といえばというスポーツもたくさんありましたが、そこに所属しているのはそれらに自信を持っている人たちです。そこに運動もろくにできない私が入ったところで惨めな思いをするだけです。だったらみんなが経験したことないスポーツをすれば自分もそれ相応の結果をだせるんじゃないかと思った次第です。事実部活メンバーのほとんどが興味本位で入部したものばかりでした。もう一つの理由としては父親が大学時代にラグビー部にいたことで多少の知識があったというのもあります。

五、六、七年生が一緒にいる部活。私よりも年下がいるというだけで気分は楽でした。最近ラグビーワールドカップが日本で開催して注目を浴びるようになりましたが、当時はまだ知られていなかったと思います。ルールは基本、普通のラグビーと同じ。ボールを持って走る、相手チームのゴールラインを超えればトライとなる。ボールは必ず後ろに投げる。ボールを落としたら相手チームのものとなる。ラグビーと違うのはスクラムやタックルをしない、コンバージョンキックもないといったところでしょうか。普通のラグビーではタックルされて自分が倒されたら、ボールを後ろに渡さなければならない。しかしタッチラグビーではその代わり相手にタッチされたら立ち止まり後ろにボールを転がすという感じです。

初めは試合などせずボールの投げあいの練習から始まりました。というのもラグビーボールは楕円形なので投げるだけでも難しいし、それをキャッチするのも難しかったです。ボールを落としてしまえば相手チームのボールになってしまうので、まずはボールのパスを徹底的に練習しました。その後ようやく試合をするようになりました。ディフェンダーは基本ボールを持っている相手に集中するので、ボールを持つ人がたくさん相手を引きつけてタッチされる前に他の人にパスするという連携技も学びました。みんなそれぞれ基本の型にはまってくると、それぞれの得意不得意が見えてくる。そこでその得を最大限活かすためにポジションを言い渡される。普通のラグビーは十五人制でポジションは大まかに分けて十個あります。しかし七人生には三つしかありません。それがセンター、リンク、そしてウィングです。

センターは横一列に並んだ時の真ん中三人の事。この三人で基本ボールを回し続けるため、総合的なんでもできる人たちがやる。そのセンター三人の外二人、一列に並んだ時の二番目と六番目の人たちはリンクというポジションでボール回し、すなわちパスに特化した人たちがこのポジションを務める。そして大外、一番目と七番目がウィングで、基本的に彼らに求められる力が足の速さと瞬発力だ。リンクやセンターからボールをもらうと、すぐに走り出し、相手チームのわずかに開いた穴、リンクやセンターが相手を引きつけることで開いた穴目指して突進する。私のポジションはなぜかそのウィングでした。私のポジションはウィングそれも左側のウィングでした。足も速くなければ瞬発力もない、それなのに選ばれました。左側なのは自分が左利きでボールを投げる際に左手でボールに回転をかけるため、右側にパスしやすいということなのはわかるがなぜウィングなのかは謎でした。顧問の先生に聞いったところによると、私は周りをよく見れているというので、どうやら相手陣営に開いたわずかな穴をすぐに見つけられるからだそうです。何よりサウスポーは貴重で基本右側にしかパスをしない左ウィングが適任だと言いました。

部活は一月から五月ごろまでの四ヶ月間。その間に他校生徒の練習試合などもして、ずいぶん本格的だと感じました。時には練習試合のため、午後の授業を休み、他の学校へ遠征するということもありました。これまで幾度となくバスケやサッカー部に所属していたクラスメイトが試合で欠席する光景を見て、少し羨ましいと思ったことがあったのですが、それが自分でも体験できたことにわずかながら感動しました。一回広州中のインター校の対抗試合が行われ、私たちは学校自体を休んで、丸丸一日リーグ戦の試合をしたことがありました。それも二日間に渡って。その時のために学校が用意したユニフォームを着て、私も試合に出ました。左ウィングのポジションは私が筆頭だったため、ずっとスタメン出場でした。途中交代をする時もあったものの、全試合出場した。確か一勝四敗一引き分けと惨敗でしたが、私は非常に楽しかった。対抗心がない私は敗北しても悔しさなどは感じませんでした。これがスポーツの楽しみ方なのだと私は勝手に思いました。敵同士互いにせめぎ合い、ぶつかり合うも最初と最後には必ず笑顔で挨拶をする。味方同士なら鼓舞し、慰め合う。そんなスポーツマンシップに則った何気ない行動が私の心を大いに沸かせました。ちなみにリーグ戦には女子の部もあって私の学校はそこそこの成績を収めたと聞いています。

わずか四ヶ月と短い期間だったが非常にいい経験をさせてもらいました。その後部活は何度か経験するもこれに勝るものに出会うことはありませんでした。タッチラグビーはそれ以降やっていませんが、たまにラグビーボールで壁当てをしたり(一人だったため)、ワールドカップなどラグビーの試合を積極的に見るようになりました。

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