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バイブル

今週のは随分と長々とそして意気揚々と語ってしまい、何を言っているのかいまいちわからないといったことがあるかもしれませんが、ご了承ください。

いつだったか物書きを始める原点である星新一作品との出会いを紹介したので、もう少し私の物書きにおける特徴を説明しようと思います。私のこれまでの作品を見ていただいた方は知っているかもしれませんが、私は主人公を殺します。理由は簡単、締めが作りやすいからです。いつもどうやって物語を終わらせようかと考えるのですが、やはり手っ取り早いのは主人公が死ぬことで強制的に終わらせるということ。ペシミストではないと自分で思ってるのですが、ハッピーエンドの作り方がわかりません。全てが終わり、世の中に平和が戻ったというだけではなぜか物足りなさを感じ、最後に主人公を殺してしまいます。これも星新一作品の影響でしょうか。

もう一つ、私が物語を書く上で重要視していることが、人間の欲ぶかさです。「小説家になろう」で投稿した二作目、『シンギュラリティ』はご覧になりましたでしょうか。危機に瀕した時、人間は本性をあらわにし、他人を蹴落とし、犠牲にしてもなお自分が生き残ろうとする様、それがサバイバルホラーの醍醐味だと思います。キリスト教信者ではありませんが、私は人間は生きているうちは悪だと思います。全ての人間には裏の顔が存在すると思っています。そしてそれは命の危機に瀕した時に剥がされ防衛本能として機能します。私はこの考えが本当に正しいのか証明するため、読者の人に意見を求めるために物書きを始めたといっても過言ではありません。どんなに優しい人でも裏の顔がある。そう思っていると一線を越えた人付き合いができなくなっていました。本心を知ってしまうのが怖いのだと思います。これに加えていざこういう危機に瀕した時、自分だったらどう行動するのかと日々探求しました。自分の命と他人の命を天秤にかけ、どちらがより価値のあるものかを見極めることが本当にできるのか。大勢が助かるなら喜んで自分は犠牲になれるか。愛する人のためならその命を投げ出せるだけの力量と覚悟が本当にあるのか。妄想は止まりません。人としての本質を問うという意味でも私はこういった人間の欲深さ、非力さ、醜さが垣間見えるサバイバルホラーが大好きです。

そんなサバイバルホラーに没頭したきっかけは星新一氏の作品に出会ってから一年後にめぐり合いました。日本語の教室には日本人の学生が寄贈した本が数多くありました。小説から漫画までジャンルは様々でしたが、その中の一つの背表紙に目が行きました。もともとホラーが好きだった私には血のような字で書かれた『呪い遊び』という言葉に目を惹かれました。インターネットで検索して見てください。「saori」という名義で活躍されている作家さんで、呪い遊びは漫画化もされています。この『呪い遊び』はケータイ小説なので日本語を会得したばかりの私にとってはちょうどいい長さでした。内容はネタバレになるのであまり詳しく話せませんが、殺された人が他の誰かを殺しに来るというゾンビチックなパニックホラーです。この『呪い遊び』、ジャンルは確かにホラーですがただ恐れ慄くだけでなく、登場人物の絆や友情、愛情などが取り入れられて、私はすごく感動しました。今でこそこういったパニックホラーで迫り来る死を乗り越えようとする人々の絆や愛情を描いた作品は数多くありますが、(例:2016年に上映された『新感染』韓国のホラー映画)私はこの時初めてそれに出会いました。ホラーがもともと人間の欲深さを強調するものに対し、そこに人々の団結力を用いることで本当に欲は悪いものなのかと読者に問いかける作品へと様変わりしているのです。この『呪い遊び』を読んだことで私も人間の欲望というものに興味が湧いてきたのです。『呪い遊び』はシリーズ化されていて私はそのシリーズ全て読ませていただきました。

この『呪い遊び』シリーズに感化されてか、私は他のサバイバルホラーを探しました。そして見つけたのが漫画、『ドクムシ』などで知られた八頭道尾氏の『廃墟ゲーム』でした。この作品はまさしく人間の欲深さの極地とも言えるほど、自分が生き残るために他人を殺す、人間の醜い争いが嫌という程垣間見える作品です。この作品には絆といった人間の良いところなどは一切なく、人間の本来の姿というべきでしょうか、理性を捨て、欲に身を任せた姿を事細かに描写しています。小説であるにも関わらず、脳裏でその様子が映像化されたのを覚えています。私も文字だけで読者の皆さんに映像をお届けできる日は来るのでしょうかと日々奮闘しています。

さて『呪い遊び』と『廃墟ゲーム』から「遊び」や「ゲーム」がつくとサバイバルホラーに出会えるのではと学習した私はついに本命の金沢伸明氏の『王様ゲーム』にたどり着きました。『シンギュラリティ』の「あとがき」でも話したかもしれませんが、私のバイブルといってもいい『王様ゲーム』の特徴は何と言っても多彩さ、豊富さです。まずは登場人物の多彩さ。『廃墟ゲーム』では基本的に自分のことしか眼中にない自己中のキャラクターしか出てきませんでしたが、『王様ゲーム』では自分の身に危険が迫っても最後まで人を殺したくないと宣言するもの、自分の命を投げ打ってでも他の人を助けるもの、一連のサバイバルゲームをゲームとして楽しんでいるもの、人を殺すという重責に耐えきれずに自害してしまうもの、他の人をうまく利用して自分を生かそうとするものまで、登場人物の多様性が描かれています。また『王様ゲーム』一冊につき、王様の命令が四、五個あります。全て他の人と争わせる形式のゲームですが、争わせ方は一つ一つ異なります。鬼ごっこ形式、大人対子供、ロシアンルーレット、宝探し、王様当てゲームなどがあり、その豊富さには敬服します。王様ゲームはシリーズ化されていて全12冊あり、その中に登場するゲームの内容は全て違います。

『シンギュラリティ』でも私独自のゲームを作ろうと思いましたが、ほとんど『王様ゲーム』から知恵を拝借させていただきました。その『シンギュラリティ』ですが、なかなか好評で、もしかしたらサバイバルホラー第二弾を書こうとも思っています。流石に『廃墟ゲーム』のような人間の欲望を前面に出した作品は「小説家になろう」では投稿できないので、控えますが、『呪い遊び』のようにサバイバルホラー要素を入れながら、人々の絆や恋愛模様を取り入れた作品を作ろうと思います。まあただ私の恋愛知識はほとんどないので、うまく作れないと思いますが、読者のみなさんの求めているものを想像しながら作っていこうと思います。

今私はサバイバルホラーから派生してサイコスリルミステリーを読むようになりました。その一つがドラマ化もされた内藤了氏の『猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』シリーズです。そして同じく内藤了氏の『東京駅おもてうら交番・堀北恵平』シリーズ。まだ、これらシリーズを基にした作品を書いていませんが、いつかは本格ミステリーにも一度挑戦したいと思っていますので気長にお待ちください。

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