言語の授業
英語のクラスはフェーズ別、理科、社会、数学は英語力に応じて二クラスの中で、言語のクラスはその人数によって異なります。日本語クラスのように十人もいない場合は一クラスですが例えば中国人とかは学年の過半数を占めているので二クラスありました。この学校では基本三種類の言語を学びます。私たちのような母国語が英語以外の場合は、母国語、英語そして第二言語を学びます。対して母国語が英語の場合は英語と第二言語二つといった具合です。この学校では言語系のクラスが豊富で母国語、第二言語それぞれで日本語、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語、ドイツ語の六つずつあります。他のIB高ではここまで選択肢はないと思います。例えば私が家庭教師として教えている生徒さんのIB高には母国語枠に日本語はあるものの、それを教えられる先生が学校におらず、生徒自身で先生を見つけなければならないというself-taughtシステムというのを採用していました。
私は母国語を日本語、第二言語で中国語を選択しました。日本人や韓国人の多くは第二言語で中国語を選択していたと思います。では中国人どうでしょうか。彼らは第二言語でスペイン語を選択するものが多かったです。残りの欧米系でありますが、フランス人、スペイン人、ドイツ人や公用語でその言語を話す地域出身の者は母国語はその公用語で、第二言語として残りの二つの言語から選ぶことが多かったです。そして、残りの英語を第一言語とする人々ならびにインド人などの母国語がこの学校で習えないものたちは第二言語として中国語とスペイン語を学んでいました。
しかしこれらはあくまで大多数の生徒であって全員がそれに当てはまっているわけではありません。中国人の中には第二言語として日本語を選んでいるものもいました。スペイン語より日本語の方が中国語に似ているためでしょうか、もしくは興味本位かはわかりません。一度彼らの教材を見せてもらいましたが、なかなかに興味深かったです。日本人は学校で日本語の勉強といえばひらがなやカタカナに始まり、漢字を習い、あとは読解力を鍛えるために文章を読むと思います。しかし彼らはひらがなやカタカナを習った後に現在形、過去形、未来形、ですます調、そして言葉の並び方を習うのです。正直私も勉強になりました。たまに彼らの宿題を手伝ったりしてあげました。星新一の魅力に気づかせてくれたオーストラリアの大学へ行った日本語の先生とこのことがきっかけで私は将来英語で日本語を教える教師になりたいと当時の私は夢見ました。
ここで少し自慢話をしますが、(母国語、第二言語を含めた)中国語のクラスは人数の関係もあってか英語と同様にフェーズ別に分かれていました。フェーズ一から六あり、フェーズ一はESLと同等でフェーズ六は中国語が母国語の人たちというように、システムは英語と一緒でした。私はそこでフェーズ五に入れられました。授業を受ける前にクラス分けの簡単な実力テストをして私は中国語を第二言語とした人たちの中で最上位に君臨していました。上海時代の経歴が役に立ったんだと思います。とは言うものの六年生の時は第二言語という授業がなかったので一年間全く中国語を勉強してこなかったため、五年生の全盛期と呼ぶべき時と比べて中国語はだいぶおろそかになっていました。しかしそれでも(漢字が読める)日本人であるため読み書きができるし、先生の話している内容も理解できるという点でフェーズ五に入れられました。フェーズ五は全部で六人。うち三人は中国人とのハーフだったので彼らとは比べ物にならないが、残りの三人とはいい勝負だったと思います。いい勝負だったと言っても別に互いにせめぎあってたわけではありませんが、日本語での自分の惨めさもあってか勝手に対抗心を燃やしていたのだと思います。
私たちとハーフ組とでは教科書が違った。ハーフ組はフェーズ六の人たちと同じ教科書を使っていました。まあつまり中国人にしてみれば普通の国語の教科書といったところでしょう。私たちの教科書には基本中国語しか書かれていませんが、難しい単語にはピンイン(発音記号)や英語での説明が書かれてありました。授業の内容はなかなかに難しかったと思いますが、自分がフェーズ五にいることがそれほど心地よかったのかすごく楽しかったのを覚えています。