最後の女王
湖の国の王家にあった神の血が王家から臣下に行った理由。
湖の国の城は湖の上に建っている。
騎士たちはシルバーアイズで空を飛び交う。
勿論、馬だっているが、湖の周り以外は碌な平地のない国のため、大型の鳥が交通の便に適しているのだ。
この国は昔、水の神が人になり王になって始まった。
戦乱の時代に、王の血を引く娘を気に入った火の女神は彼女と契約を結んだ、
それより銀の髪を持つ娘には火の女神の加護が付くようになった。
それは時代を経て、神々が地上を去ってからも無くならなかった。
人を愛していた火の女神だけが地上に留まり、湖の国の王の娘たちに加護を与え続けた。
湖の国はずっと女王を戴いていた。
男性が王になることはなかった。
王家に男性が生まれることが無かったから。
女王の娘の一人が降嫁した家に男の子が生まれた。
その家は湖の国で1,2を争う家だった。
元々他国からの血が入っていた家の者たちは、男の子を王位に就けることを思いついた。
男の子は勘違いして育ち、そして、祖母である女王を殺め、王位を簒奪した。
女王には次代を継ぐ予定の娘がいた。
彼女は王位に固執するタイプでは無かった。
だが、国を愛していた。
治めるつもりはなかったが、国民の為に民主化を進めた。
王になった男は、国を治めることが出来なくなり、王家は「君臨すれども統治せず」とされ形骸化した。
湖の国は王国ではなくなり、王位を継がなかった娘は周りから勧められ最初の大統領となり、彼女が降嫁した家に女神の契約は続くことになった。
しかし、湖の国の最後の女王として、歴史書には記載されている。