オークション
藤林は提出用レポートをさっさと書きながらイルミネーションの様に輝く街を見下ろしながら
「ねぇ、如月」
「何すか?」
「私も諜報員になったわ」
「そっすか・・・・・・うん?今、諜報員って言ったっすか!??」
「前を見なさい!前を!」
「あわわっ!」
機体をたてなおしながら
「そんなことして良いんすか?旦那様に大目玉喰らわされっすよ!!」
「だって、厭きたのよ」
「今まで順調にやってたじゃないっすか?」
「ええ、凡人に合わせながら頑張ってきたわ。だけどグランプリーで優勝し挙げ句の果てに企業を世界進出まで育て上げたわ。ここまで来ると私がいなくても事は進むでしょう?」
「だからってわざわざ一番危険な諜報員ってなにかんがえてんすか!!」
「またまた彼と出会って引かれたのよ」
如月は顔を真っ青にしながら
「引かれたって、ま、まさか!恋じゃ無いっすよね!?」
藤林は呆れたように
「私には婚約者が居るのよ。それにそもそもあんな凡人に興味はないわ」
「今の婚約者にも興味がないっすげどね!」
「仕方ないじゃない。ただの凡人で親の七光で結婚を迫ってきた男よ?あんなのに興味が湧くとでも??」
「そっすね。お嬢は自分より秀でているものしか興味ないっすからね」
藤林は内心では
『そういう意味では貴方には興味あるわ』
と如月を見ながらそう思った
「にしても、後ろから付いてきてるアレ放置していいんすっか?」
藤林はチラッと後ろを振り返り
「確か、この近くに闇カジノが存在してたわね?」
如月はなにか嫌な予感がしたのか
「それは俺まで雷を喰らうっすよ!?」
「流石、私のパートナーだけあるわ」
彼女の笑みから一歩も引く気がないと知り
「分かりました分かりました!!一品落としたら必ず切り上げるっすよ!あと、ヤードとか入ってきたら直ぐ様とんずらするっす!これが条件っすよ!」
「分かったわ」
本当に条件通りに行動してくれるのか心配な如月を放置し彼女はカーテンを引くと30秒弱で服装から体格まで全て男のように変装し
「ヘブンスト俺は先に降りる」
「いやいや!ヘブンストって誰っすか!!?それに先降りるって────」
藤林は扉を空けるとパラグライダーを使い下へ降下していった
「イヤイヤ!!せめてパラシュートにして欲しいっす!!」
如月は突っ込みをいれながらも自動操縦と遠隔操作可能に切り替え藤林本人が所有しているヘリポートを到着地点と設定し如月はパラシュートで降下していった
「全くおじょ・・・お坊っちゃんの思い付きに付き合う俺の身にもなって欲しいっすよ!」
「ふん!今更だろうが」
如月はあまりにも違和感がないお嬢の変装に一体いつから変装して彷徨いていたのか考えただけで頭痛がしてきた
「ところで会員証持ってるんすか?」
藤林はニヤッと笑うとそのままカジノの裏へ回るなり
『理は闇の中』
と言うと裏口から
『夢と宝の隠し部屋』
その後に止まること無く藤林が
『ロマンと欲望渦巻く常闇』
そうすると裏口から真っ黒のスースツを着こなした男性がにこやかな笑みを浮かべながら
『ようこそカジノへ紳士の方とその従者の方2名ご案内します』
『やぁ、久しぶりに来たと言うのになにも変わっていないんだな』
『お客様が最後にご来店なされてからもう、半年になりますがとうカジノは変わらないことをモットーに最高の品をお届けしております』
『目玉商品は何だ?』
『本日の目玉商品は日本の大資産家であり国外にも数多なルーツを持っておられる彼の家から極秘に販売されてきた品でございます』
如月はまさかとでも言うように微かに驚きと共に裏切り者のピックアップを始めた。そんな彼を視界に捉えながらも藤林は平然としていた
『宝玉は無いのか?』
『申し訳ございません。宝玉は本日の出品リストには載せておりません』
『ああ、そうそうこれ見せるの忘れてた』
と藤林はうちポケットから真っ黒なカードに透かしでリアルな心臓の柄が入っているなんともえげつないカードを見せた
男性は目を見張ると無表情から満面の笑みを浮かべ
『プレミアのお方でしたか!どうぞ奥に御座います商品棚からお好きなものをお選びのうえ担当者にお申し付けください』
如月は表情に出さなかったが、今すぐにでも問い詰めたい気持ちで一杯だった
男に案内されたのはただの壁の前だが、男が藤林から預かったカード溝にスライドさすと扉が開いた。男に促され中にはいると藤林が言っていた宝玉や檻の中に入れられている普通の人間とは異なる能力の持ち主達が能力の封じの手枷を付けられ座り込んでいた
『中々の物だな』
後ろから先ほどとは別の黒服で仮面を付けた男が
『ここにいるもの達は手前の方から透視能力・能力強化・初見能力・・・と言うのは見ただけで全ての物を暗記する能力です。続きまして魅了能力・魅了の劣化番の誘惑能力・治癒能力などの持ち主がここにおります』
『ほう?では、その奥にいる見た目は良いもの達は何だ?』
先ほどに比べテンションが落ちたように
『あれらですか?あれらは貢ぎ物や性奴隷として使われるもの達です。ただの見た目だけってやつです』
『そうか。ところで儀式用に子どもが欲しいんだが』
彼はニヤッと笑うなり
『この一番奥に居ります』
様々な宝石や武器、薬能力者等々の間を通り隠し通路の階段を下りた真っ暗な牢の中にまだ10にもなっていない子ども達が狭い空間内にボロボロの服のまま収納されていた
流石の藤林も眉を染めそうになるが後ろからのわずかな殺気に気づき咳払いとネクタイピンにふれ、左指に付けていた指輪を押す
『ふむ。そこの一番幼い二人を貰おう』
『お買い上げありがとうございます』
『ヘブンスト。ここから使えそうな物を選べ』
『畏まりました』
『俺は上で他の物を探す』
藤林は仮面を着けた男を連れ上に上がり、シールド能力者・防御特化方能力者・性奴隷や貢ぎ物から銀髪て青色の瞳をした男・初見能力者・透視能力等を購入し更にヘブンスト(如月)が連れてきた5~6歳ほどの男の子を購入した
藤林はブラックカードを渡し一般客に混じり裏オークション会場へ向かった。もちろんプレミアム席で個室になっておりスタッフが二人ほどいる。そのうち一人は飲食サービスを行いもう一人は、プレミアの客が他の客らに素性がばれないように掛け金を伝える役として隣に控えている
買った奴隷達は皆、後ろに立ったまま控えている
藤林は次々出されていく品を見ながら見知った気配が近づくのを感じニヤッと笑うと
『次の宝石1で落とせ』
と男に伝えると10万から始まったが1100万まで上がり後ろにいる男が1億を提示するとそのまますんなりと落札した
彼等にチップを渡すと藤林はその場から立ち上がり白服姿の男が持ってきた品を受け取ると彼等全員を連れて主催者ホールへ向かった