エスピオン
その頃、藤林は楽しくてしかたがなかった
『今更だがよ、お前フランス語分かるんだな!』
『でも日本人で、パーフでも無さそうだしな』
二人の犯罪者がいるのにウキウキしながらも
『私、高校と大学でフランス語とイタリア語を専攻で取っていたのですわ』
『優秀なんだな』
藤林の椅子になっていた彼の横に座りながら
『中の上ぐらいですわ』
『所でフランスに来たのは観光か?』
後部座席に座っている男性の問いかけに
『そうですね、観光とあのホテルレストランの視察のために来たのですわ』
『視察ってことは、グループ会社か?』
車内に緊張が走るなか、彼女は平然としたまま
『残念ながらただのライバル会社の視察ですわ。それよりも何故あのホテルに?』
バックミラーで後部座席の男を見ていると何処か悔しそうにしていたが、運転している彼は平然と語り始めた
『元々あの地は俺たちが住んでいた場所でな、ある日突然この場所にホテルを開設するからと言って立ち退きを要求されたんだ』
『勿論、俺たちは断固として譲らなかったさ!』
『だが、闇金貸しどもに土地の請求書を叩きつけられ今の倍額を払えと言ってきた』
『俺らは武器をもって戦った!』
『だが、裁判ですら負け俺たちは住む家をなくしそのショックで母親が死んだ』
『俺たちは、最初で最後の強盗をおかし少しでもダメージを与えたかった!』
『それが叶った。元々あそこにいる人たちを殺すつもりは無かったよ』
その話を聞いて違和感を感じた
『その話いつ頃の話ですか?』
『いつってかれこれ10年前か?』
『ああ、ちょうど今から10年まえだ!』
『それならその企業はホテルレストランではなく「ホテルレジア」て言う企業ですわ。何たってあの企業が出来たのは今から3年ほど前ですもの』
『・・・・・確かにそんな感じのホテルだった気がする』
『俺達は間違えてやったのか?』
青ざめる彼等に
『ちゃんとお金を返して皆さんに謝りましょう?そうすれば許して貰えますわ』
『そうだろうか?』
『えぇ、必ず』
『だが俺達の怒りを向ける所が・・・』
『その企業は別の国で行っていますわ』
『俺達の苦労は何だったんだ!!』
『天罰は必ず起こりますわ』
『そうだろうか?』
『ええ、確実に』
すがるように見てくる彼等に一度ホテルレストランへ戻りましょう?と促し彼等にバレないようにこっそりと彼にメールを入れた
1時間ほどかけてホテルレストランへ戻ってくると出たときと変わらず誰一人いなかった。彼女は専用エレベーターで35階へ彼等と向かい
「暁さん。総料理長、あの方来てますか?」
「お帰りなさいませ」「ああ」
『こちらに来てくださいな』
彼等を中央に設置されているテーブルに誘導し座らせた
一人の警察官と白衣を来た総料理長、燕尾服姿の暁。そしてスーツを着こなしているあの青年レイズが姿を見せた
かくばる彼等に笑顔で
『大丈夫ですわ。彼等は私の知り合いの方々ですから』
ゆったりとした雰囲気でディナーが始まり何故か彼等は食べながら涙をこぼし
『『勘違いで強盗に押し入って申し訳ない!!』』
と謝罪をし、何故このような行動をおかしたか説明すると彼等の罪は減刑され日本円で約30万円の賠償金で事をすますことになった。と言うのも総料理長も暁さんも誘拐された当の本人ですら一切怒ってなどいなかった。誘拐された彼女は楽しかったと喜び回りをドン引きさせた
その出来事の次の日テレビにはスペインでお金を稼いでいたホテルレジアが裏の世界のものと繋がっていたり政府から資金を得ていたと告発状が警察に届き調べたところその証拠がでたとして逮捕。その後フランスで起こっていた事件も洗いざらい何かに取りつかれたように話し彼等の怒りも少しは癒えたと思いたい彼女だった
そして、彼女は自分の予想が確信に変わったことにニヤついた
「トントントン」
『藤林様。レストランから招待状が届いております』
その声を聞き鍵を開け扉を開けたらボーイが銀のトレーに乗っている赤色の招待状を受け取り
『少し待って貰えるかしら?』
と言ってチップを取りに部屋に戻り差し出した
「・・・・・」
『・・・・・!?』
いきなり手を捕まれ鍵を閉められナイフを当てられるが彼女は平然としたまま
『なる程ね。レストランにいたレイズって言う偽名の彼だけじゃなくてボーイである貴方も彼とのグルだったと』
『・・何の事を言っている?殺されかけていると言うのに何故驚かない?何故悲鳴を上げない?そもそもお前はなんだ??』
彼女は髪染めの染め残しを見つけ
「君も日本人なんだね背は169ってところかな?」
と言いながら体を捩り彼の足を払い投げようとするが何処からかもう一人の気配を感じその方向に背負った彼を投げつけた
『っ!!?』
「ッ!!ッイッタ!何しやがる!!」
『いきなり入ってきて人にナイフを突きつけてきた人がなにを言っているの?』
『お客様になんて事をしているのですか』
彼女はパッと見会ったことがない人だがレストランにいた青年レイズだと分かった
『二人揃って私を殺しにでも来たのかしら?』
『・・・・』『?なんのことですか?』
『あら、レイズ君はご存知無いのかしら?同じ仲間だと言うのに?では、彼の単独行動なのかしら?』
『!!!』
『・・・・・』
彼等は一瞬目を合わせた。それだけでも彼女に情報を与えていた
『へぇ~、諜報部 の方か探偵 偵察関係の方かしら?』
じっくり言葉言葉に合間を入れつつ言うとボーイをやっていた彼が諜報部と言う言葉に僅かに瞳が游いだ
彼女はニヤッと笑うと
『私は殺されるのかしら?それとも幽閉?監禁?』
『あまりにも動揺や怖がる素振りも見せないと言うことは、貴女は何処かに所属でも?』
レイズ(偽名だろうけど)の問いにきょとんとしながら
『残念ながその予想は外れですわ。私は本当に一般市民で貴方方が潜入していたホテルレストランは、私が働いているレストランの子会社の一つですわ。そして、私は藤林 紗耶香。本社の厨房で働く次期総料理長だと皆に噂されているだけのただの一般人ですわ。私の事は教えたのですから貴方方のことも教えて貰わないと不公平ですわ』
『貴女の予想通り、俺とこのドジは諜報員エスピオンだ。本名等は明かせないが俺はレイズ、そしてこのバカはディセントラ。まさか一般人に見抜かれるとは思わなかった』
『私も自分がこれほどまで非日常を一日で体験するとは思っていませんでしたわ』
『一つ問う。藤林 紗耶香、我らの諜報員に入らないか?別に入らなかったからと言って殺すことも監禁、幽閉することもない。ただ今日、俺達と会って話したこと全て忘れて貰う』
『良いわよ。エスピオンとやらの組織に入ってあげるわ。丁度時間をもて余していたところだしそれに刺激があった方が面白いじゃない』
彼等が彼女を見る目は頼もしいと言うよりバカが一人増えたように感じた
『任務中死ぬかも知れねぇんだぞ!辱しめを受けることだって!さらには色仕掛けで聞き出したりするんだぞ!だと言うのに良いのか!?』
ディセントラの忠告にも
『えぇ、かまわないわ。だって刺激がなければ生きている価値がないでしょう?』
レイズはため息をついてから
『明日、時計塔の前に23時に集合。一応入団試験を受けて貰う、服装は自由だが動ける服装にした方がいいだろうな』
『分かったわ。時計塔の前に23時ね』
ふと彼女と分かれてから彼等は何か見落としている感覚がしお互いにその事でまる一日考えたが答えは出なかったが、何やら危険なものを懐に入れた気分だった




