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さらに一週間が経った。いや、おそらく一週間だ。もうよくわからなくなりつつある。
俺は未だに森の中だ。どこまで続いているのか分からない。
――なんでこんな山奥に家建てたんだよ、過去の俺。
食事は魔物肉ばかりだ。腹を壊さないか心配したのだが、壊さなかった。ステータスの状態異常耐性が高になってることが関係しているのかも知れない。
位置を確認する為、地図を開くもう家の建っていた場所は地図の枠外になりひたすら歩いた一本道が森を示す記号と共に書かれている。
地図をしまってまた歩き始めた。
街があることを祈る他無い。
さらに3日は経っただろうか?
俺はついに成し遂げた!
目の前にあるのは確かに森の切れ目であった。
大きな湖という可能性もあるが、ゲームどおりの世界であるならば、この辺りには湖は無いはずだ。
俺は走った。その切れ目に希望を持って。
森を抜けるとそこは平原だった。そんなに幅は無く、平原の反対側は小さめながらも切り立った山がある。
そして、明らかに人工的な道があった。
舗装はされていないが割と頻繁に使われるのかそこだけ草は無く、車らしき轍も残っている。
それは東と西、それぞれに伸びていた。
ゲームどおりならば西に向かえば街があるはずである。俺は道を西に向かった。
夜になるが魔物の気配が遠い。
どうやら魔物はあまり森の外に出ないらしい。
街道沿いにある小さな川の橋の下で俺は今夜の野宿をしていた。
ついでに川で服と身体を洗う。気温は穏やかで水は少し冷たいが、我慢できなくもない。
川から上がれば魔法で温まった。
そこでやっとと言うべきか、薄々気づいていながらスルーした事に気付いた。
それは水面に写った俺の姿を見た時だった。
鏡が今まで無かった為に確認出来なかったことである。
俺は若返っていた。
日本で40目前のおっさんだった俺だが、当然ゲーム世界ではアバターという仮の自分がある。
今の俺はそのアバターそのものだった。
黒目黒髪の初期アバターの青年。デフォルト名はノア。
俺は装備や武器などのガチャは引いたがあまりアバターのガチャは引かなかったのだ。
初期から慣れ親しんだこのアバターに妙な愛着を持っていることもある。
ちなみに初期アバターは何回目かの大型アップデート時に変更され、逆に非常にレアなアバターでもある。
ともかく、設定上16歳の青年、しかもそこそこイケメンの中身おっさんという状態になっていたのだ。残念過ぎる。誰得?
朝になり、今までで一番休めた俺は意気揚々と街道を行く。森の中と比べれば障害物の無い道はへでもない。それに街に着けば宿と普通の、普通の食事が待っている。ここ重要だ。
何せ二週間も訳の分からない肉ばかりを味付け無しで食べたのだ。しかも生臭い上にものによってはぶよぶよしていた。何でもいいから普通の食事が欲しかった。
夢みる普通のご飯に向けて俺は歩き出した。