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沈黙を破ったのはレオンハルトだった。
「説明を聞けば聞くほど、貴方が異世界から来たのだと実感するな」
レオンハルトは長い足を組み替えながら話した。
「…すみません。面倒なことになってしまって…。」私は素直に謝った。
「なぁー姫さん、これどうやって使うんだ?」
ケイは携帯電話を興味深々で見ている。
「あの、私姫じゃないのでユエと呼び捨てで大丈夫です。」
「いえ、そういう訳にはいきません。あなたは月の加護を受けた方の可能性があるのですから」
イザークが額にシワをつくって話に入ってきた。
「だから無いです。魔法とか使えないです」
「お言葉ですが、以前使えないからと言って今できないとは限らないのでは?」
「いやいや、無理ですよっ!」
「…今、何語を話していますか?」
「えっ…日本語……ですが…」
「我々はサングランツ語を話していますよ」
「………。」
そんな便利なお約束いらないよ〜っ!
変なフラグ立てないでっ!
「なぁーなぁー!これの使い方教えてくれよ〜。」
遠くを見つめていると、ケイが現実に引き戻す。
「あっ、すみません。これは携帯電話と言って離れた人と話せるんです」
とりあえず、今のは無かったことにしてケイの話に乗った。
「他には写真も撮れますよ〜。みんなで写真撮ります?」
「しゃしん?なにそれ〜面白そう〜!やって見てくれ!」
私はスマホの写真操作をして、カメラを三人に向けた。
「では、この黒い丸を見てください。はい、ポーズ。」
カシャッ
「これが写真です。」
くるりと今撮った写真を画面で見せる。
「っ?!」
三人が驚愕しながら画面を見ている。
「…っ…精密な自画像が一瞬で?!」
イザークは驚愕のあまり目を見開いている。
「あ〜…厳密には絵では無いのですが。私は専門家じゃないのでうまく説明ができないです。」
「…我々には計り知れない世界なのですね。」
イザークは眼鏡を直しながら額のシワを深めている。
「…うーん…いいことばかりでは無いですけどね。」
機械化が進み、便利な生活ができる反面ゆとりが失われてしまった。
また恐ろしい兵器も生み出され、幸せな世界ともいいきれない。
「な〜、ユエは今何歳なの?14歳ぐらい?」
ケイがありえない年齢を言ってきた。
そんなわけないじゃん!
「あははっ、お世辞なんて言わなくていいのに。私、22歳です。」
ガチャンッ。カップが大きな音をたてた。
「っ!?俺より4歳年上?!嘘…?!」
レオンハルトの目が見開かれる。
「嘘じゃないです!22歳です!」
つーか、レオンハルト様って18歳なの?!高校ぐらいでこの落ち着きってびっくり。
「そうなのか!まだ成人前だと思った!俺は23歳で、イザークは26歳だぜ!」
ケイが指差しながら年齢を教えてくれた。
ちょっと気になることがあったので、質問してみた。
「あの、この国の成人って何歳ですか?」
「15歳で成人する。」
………はい。何となく分かりました。私はこの国では適齢期を過ぎた人扱いなんですね。