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準備が終わり、メイドさんに別の部屋に案内され、中に入ると三人がテーブルについて待っていた。
私が中に入ると三人は話をやめてこちらを見た。
すると、三人とも大きく目を見開き固まってしまった。
………泣きたい…。
だから嫌だっていったのにっ!!
「…お待たせして申し訳ありません。」
もう、三人の反応はスルーすることにした。
「いや、…大丈夫だ。」
レオンハルトは一瞬視線をずらしていたが、すぐに表情を引き締めて席に座るように促した。何となく耳が赤いような…暑いのかな?
チラッとテーブルの上を見るとサンドウィッチや果物といった軽食といい香りのハーブティーが用意されていた。
「昨日から何も食べていないだろ?軽く用意したが食べられるか?」
レオンハルトが軽食を進めてくれた。
「ありがとうございます。とっても美味しそうです。いただきます!」
喉が渇いていたのでハーブティーをすすった。爽やかなミントの清々しい香りを嗅いで、思考がクリアになりリラックスできた。
そのあとハムと卵がはさんであるサンドウィッチを食べた。美味い〜!
その様子を見守りながらイザークがこの国のことといい伝えてについて話してくれた。
サングランツ王国は名君と名高いゼクロムが治める大国で、太陽を聖なるものと考え信仰し栄えてきた。
王族はその太陽の加護が与えられた存在と考えられている。
少数だが魔法が使えるものがおり、自国と他国の安全を守ってきた。そして、何百年に一度、太陽と対になる存在として考えられている月の加護を受けたものが現れて国に繁栄をもたらしてきたのだと言う。
それを聞いて一言。
「私は違いますよ。」
「あなたのことは分からないことが多いので、調べる必要があります。こちらも、あなたの言葉だけを信じる訳には行きませんので、ご協力よろしくお願いします。」
イザークがギロリと睨んできた。
怖〜い…
「…はい。分かりました。できる範囲で協力します。」
「では手始めにいくつか質問させていただきます。あなたの国はどんなところですか?」
イザークは紙と羽ペンを取り出して質問を開始した。
「日本です。島国で春夏秋冬の四季がある国で自然が豊かです。あっ…でも、工業化や機械の進歩もあり徐々に自然は失われつつあります。」
私は日本人がどういう生活を送っているか、自分の知る限りの語彙を駆使して説明した。
私のカバンが一緒にこちらの世界に来ていたので、実物を見せながら話したことでイメージしやすいようにした。
携帯電話で連絡を取り合うこと、車や電車などの乗り物のことなどを絵で描いたり身振り手振りで説明した。
「…なるほど。」
三人は聞いて押し黙ってしまった。
…絶対納得してないし理解してなさそう。