就職
今日もやる気が出ない。
大学を中退し、親に急かされるように
バイトを決めフリーター生活をしている。
毎日21時に起き風呂に入り夜勤に行く。
そんな生活が五年続いた。
中学生の時に思い描いた夢にも、
高校生の時に誓いあった約束にも、
程遠い生活である。
夜勤はワンオペで、
生活リズム違いから同じ家に住んでいる親にも弟とも、
会話はない。
五年間ずっと一人だった。
これからも、何の変化もない生活が続くのかと思っていた。
深夜一時一本の電話があった。
母からだった。
泣きながら話す母親に少々驚きつつも、
話を聞いた。
要約すると父が死んだ。
仕事は抜けれないと、
朝9時まで働いたあと自宅へかえった。
色々な手続きがあり大変だった。
ゆっくり休めたのは、三日後だった。
親父は自営で整備士をしていた。
記憶の中の父の背中は、
とても大きかったが。
灰になった父はそんな面影すら残っていなかった。
父の仕事場を売り払い。
何箇所か持っていた土地を売った。
田舎なのでそこまでの金にはならなかった。
父が居なくなり広くなった家に母は、
都会のマンションに住むと言い。
家を売り払った。
弟は会社から近い所の部屋を借りると出ていった。
一人で生きていくには、
バイトではまずいなと思った俺は、
就職する事にした。
高校、大学は農業の分野だったので。
農業の仕事を探した。
どこも、若手不足なのか案外簡単に見つかった。
就職したのは家族農家で、息子が都会に出た為、
その社長の父親と娘の二人で仕事を捌いていたが、
耕作放棄地が増えていたので、俺を雇ったということだった。
社長と娘といったが娘は俺の10個ほど年上だ。
社長と娘の家に住み込みで働いた。
過疎地で、コンビニもスーパーも隣町まで行かないといけない所だったが父の形見の車を何台か残していたので特に困らなかった。
農業から5、6年ほど離れていた為、
感を思い出すまで時間がかかったが、
一年ほどすれば感は戻っていた。
元々農業は好きで仕事は楽しかったやり甲斐もあった。
就職から三年経ち、育苗を任されるようになったり。
収穫した野菜を目の悪くなった社長の代わりに一人で卸しに行ったりするようになった。
社長と娘は俺をよく気にかけてくれた。
食事は毎回三人一緒で、たまにお隣さんも呼んで食事を取った。
給料はバイト時代とあまり変わらなかったが、
お金では得られない物をもらった気がした。
娘は今年で33歳になり半年後に
隣町の農家の息子に嫁ぐことになっているが
従業員がいない為、一年ほど前から
社長は人探しをしていたが結局見つからなかった。
社長は俺を当てにしたが、
知り合いが少ないから期待しないでください。と言ってlineで高校と辞めた大学の同期、後輩、先輩に連絡を取ってみた。
二週間後、辞めた大学の同期が働きたいと連絡がきたため社長と簡略的な面接をし、
一ヶ月後に社長の家に住み込みで働きに来た。
その同期との関係は、ちょっと喋るくらいで
当時は知り合い程度だったが気さくなやつだったのですぐ仲良くなった。
同期は娘の仕事の引き継ぎで
事務系の仕事をしていた。
嫁いだ後も、娘が顔を出して引き継ぎ作業をしなければならいとなっていたが、同期は物覚えがよく必要無いかもなーと娘は呟いていた。
同期と隣町の居酒屋に一緒に飲みにいったりした。
同期は、いい職場だなぁ!と毎回笑っていた。
前の職場は相当なブラックだったらしい。
今日は、真夏日でクラクラと目眩がする程だったので、作業場の片付けなどをして昼間を過ごした。
次の日は、休みを貰ったので久しぶりに母の顔でも見に行こうと思い。母の暮らすマンションへむかった。
母は、元気にやっていた。
久し振りに食べた母の食事に感謝を覚えつつ。
夕方に帰った。
車を止めて家に入ろうと玄関に近づくと、
とんでもない怒鳴り声が聞こえて、
何事かと恐る恐る家に入った。
リビングで社長が同期をボコボコに殴っていた。
俺はびっくりして、社長を止めた。
すると同期は、家を飛び出して戻ってくる事はなかった。
社長に話を聞くと同期が娘と寝ていたのだ。
社長は、同期を紹介した俺をお前は悪くないと気遣ってくれた。
娘は勘当され家を出ていた。
もちろん嫁ぐ話はなくなった。
娘と同期が抜けた穴を埋めるのは、
とても大変だったが罪悪感もあったので頑張って働いた。
圧倒的に文章力と
語彙力が足りない泣ける
作者はコンビニでバイトしてます。