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2話 おいしい食事と女の子

書くのって楽しい。

妄想楽しい。


~前回のあらすじ~

会社終わりのリーマンは、帰って寝たら夢の中!?

体を起こして身体確認、そしたらなんか縮んでた。

 自分の顔をつねってみる。この行動に意味はない。だが、俺はまるで生まれ変わったかのように、その身体に興味を抱いていた。痛い… 夢なのに痛覚を感じるのか、我ながらよくできた夢だなと実感する。


そして、先程からトントントンと手際の良さげな音のする方へと足を運ぶ。するとそこには……

 

 薄桃色の長い髪を、黒いリボンで後ろ髪の上半分だけを結んで、残りを下ろした状態、つまり、ハーフアップと呼ばれる髪型をしている小さな女の子がいた。。耳の横辺りから髪をすくい取って後ろでまとめているヘアスタイルは、顔のまわりがすっきりしていて、横顔が綺麗にみえる。そしてその顔は……


めちゃくちゃ童顔でとても可愛らしかった。


そして、その子は白と黒のワンピースを着て、手際よく料理をしていた。そして、その子をなによりも特徴づけるのは、その頭にある猫耳と、等間隔で揺れてるしっぽであった。


「にゃ~♪」


ということは、彼女も同じ獣人だろうか。

しかし、夢というものは一度目にした人や物がでてくるという話を聞いたことがあるが、こんな子はみたことがない。ただでさえ、理想とはかけ離れた生活をしているのだから、こんなロリっ子を見ることはまずないだろう。


そうこう考えながら、その桃色の彼女がこちらに気づいた。


「うにゃあ!?気がついたかにゃ?」


彼女はこちらを見るなり手を止めて、こちらに近寄ってきて笑顔で話しかけてくる。


「君は近くの森に倒れていたのにゃ。」


「俺が……?森に倒れていた?」


俺は夢の中でも仕事によって身体が限界を迎えていたのだろうか。


「そうにゃ、最初は焦ったのにゃ!いつもの道に誰だか分からない人が倒れてるにゃんて!」


「あ、そ、そうでしたか。それはすみませんでした。」


とりあえず、謝っておこう。そう思うくらいのあどけなさと、心配で泣き目になっている顔である。


ぐうぅぅぅ……


「あっ…」


突如、空気の読まない胃の虫が騒いだ。


「キミ、おにゃかがすいているのかにゃ?」


「そ、そうみたいですね…」


そういえば、昨日仕事で疲れすぎてて飯食いそびれたからな…。そりゃ腹減るわな。


「ちょうどよかったにゃ!そろそろお昼ごはんにしようとしてたところだにゃ!良かったら食べてくかにゃ?」


まじ?こんなに可愛くて、ネコミミ生えてて、笑顔が眩しくて、カワボで、おまけに料理までできるとか… ヤバすぎだろ。


「……?顔が浮かないにゃ…?もしかして嫌だったかにゃ?」


「そ、そ、そんなことありません…!頂きます!」


「敬語なんか使わなくていいのにゃ」


「えっ…」


ここで俺は初めて気づく。自分が敬語を使っているということに。


 思えば、俺はずっと敬語しか使ってこなかった。いや、使わなくてはいけなかった、という言葉の方が正しい。身の回りには上司や課長、人と接するときには接待や常客。すべて敬語であったから、自然と使ってしまっていた。


だから、俺はここで敬語を使わなくていい。といわれ、いままで縛られてきた仕事、というものを否定されたように思えた。


だが、それは生きがいを否定されたということだけでなく、呪縛を解放されたということでもある。だから、この言葉が俺には神からのお告げのように感じられた。


「なんで敬語を使うのかにゃ?」


「それは……」


そもそも、なぜ敬語なんて使わなくてはいけないのだろう。ここは仕事場ではない、夢の中なのだから。どこに遠慮がちになる必要があるだろうか。


「ううん。俺が間違えていたみたいだ。」


「わかればよろしい!ご飯を一緒にたべるにゃ!」


「うん!」



数刻後……


「じゃじゃーん!」


「おぉ…!」


 食卓に並べられたのは、それはおいしそうな料理たち。暖かい湯気が食欲をそそる。そういえば、ちゃんとしたごはんを食べるのはいつぶりだろうか。

俺たちは手を合わせ、同時に食事への感謝を述べる。


「いただきます!」

「いただきますにゃ!」


 目の前には白く輝くシチュー、テーブルの真ん中にはバスケットがあり、そのなかに細長いフランスパンがあった。そして飲み物は、なにかの果実を使ったのだろうか、黄色いジュースが置かれていた。


 まず、俺はスプーンを手にとり、目の前の白い宝石に手をつける。すくってみると、トロトロと良さげな感じになっていて、見ただけでよだれが止まらない。これが見て味わうということなのか……?


そしてついに、俺はそれを口にほおばる。


……!!?なんだこれは…!?口にいれたとたん、濃縮された旨味が口いっぱいに…、そして身体中にあふれでてくるようだ。とても美味い…。


 次に、フランスパンを手にとってみる。


……柔らかい。思わずちょっと笑ってしまった。頭のなかでは固いものだと思っていたが、裏切られた。もちろん、良い意味でだ。


そのまま、口に入れてみる。ん、うまい。

普通にうまい。そして、おれは気づく。


このパンに、シチューをつけたらどんな味がするのだろうと…。


……想像が出来ない。自分の手で、柔らかいパンにこのトロトロのシチューをつける。いわゆるつけパンと呼ばれるものだ。俺は思わず生唾を飲む。


そして、実行に移す。パンがしんなりとさらに柔らかくなり、白く色づく。その輝きは誇張表現かもしれないが、さながらダイヤモンドのようだ。


もう待てない。つけパン持った手を口へと運ぶ。


…………


…………………!


………………………!!


うますぎる…!!もう、なにも言えない。だが、俺の顔は笑っている。美味しいものを食べるとつい笑ってしまうとはこのことを言うのだろうか。俺は笑いながら、それこそ声には出さず表情だけだが、その感触を楽しんだ。


そして、パンを食べたあとは口が乾くもんだ。シチューの隣に置かれている飲み物へと視点が移る。


 見た目は野菜ジュースだ。だが、そのコップから漂う香りは野菜ではなく、ほのかに甘い香りがする。バナナなどを使ったのだろうか。とても美味しそうだ。


 俺はそれを手にとり、一気に飲んだ。


パサパサの喉に、それはまるで砂漠に涌き出た水、オアシスのように、喉を潤していく。ドロドロしすぎず、逆に水っぽくもない。不思議な味わいと甘味に俺はつい、はぁ、とため息をこぼしてしまう。


「~~♪」


 ふと、向かい側にすわっている女の子が目に入る。いやぁ、この子には感謝しなきゃな。こんな美味しい料理をご馳走していただくなんて………って、


君は一体君は何者なんだ!?


「……?なんにゃ?」


「き、君は誰なんだい?」


「にゃー?うち?そいえば、まだ名乗ってなかったのにゃ。」


「うちは、この世界で数少ない猫耳族のニーナにゃ!」


小さく咳払いしたあと、胸に手をはってそう言った。


「猫耳…族?」


「そうにゃ。数十人しかいない、猫耳としっぽがついた獣人を合わせて猫耳族と言ってるにゃ。キミもそのうちの一人だにゃ。」


「なるほど、そうなのか。じゃあ、ほとんどを占めているのは何族なんだ?」


「ん~、ほとんどを占めているって訳じゃないけど、犬族がここ最近多い気がするにゃー。町とかにいっても大体は犬族ばかり見かけるにゃ。」


「そういえば…」


「……?」


「キミも同じ猫耳族だけど、名前は何て言うにゃ?どうして、森に倒れていたにゃ?」


「……俺の名前はタナカだ。……なぜかわからないけど、昨日の仕事の量が莫大で、家に帰ったら疲れて眠気がきて、ベットに横になったら……」


「森に倒れていた?」


「そう、みたい。」


そういうと、ニーナは小難しい顔をする。


「うーん、なんでかにゃ~?意識がないまま、森まで誰かが運んだ…?ううん、それはありえないにゃ。」


「……どうして?」


「ここは、山の頂上付近だからにゃ。近くに町もなければ村もにゃい。だから、人がここまで来ること、ましてやキミを運んで来ること事態がかなりの負担にゃ。」


「そうなのか…。」


「君はどこの出身にゃ?ノースマウンテンかにゃ?それとも別地方の?」


「……わからない」


 俺は嘘を言った。ここで本当の事を言っちゃいけない気がしたのだ。


「んまぁ、深く考えない方がいいにゃ♪お仕事、大変だったんでしょう?はやく食べないとせっかく作った料理も冷めちゃうにゃ♪」


「……そうだね。ありがとう。」


そう言って俺は、ニーナの頭にポンッと手を置き、サワサワと撫でる。


すると少し照れたのか、顔を少し伏せたあと、こっちを見て「うにゃ♪」と笑顔で鳴き、ゆらゆらとしっぽを揺らした。

こんなシチュー食べたい。

つけパンして食べたい。

てか、ニーナちゃん撫でたい。


次投稿日不明。

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