93.振る舞う
昼食を食べた後に太郎さんに夕飯を頼み、俺はひたすら芋を茹でいた。
とりあえず、複雑な色の空の下でフレッド達に芋を振る舞う。エリマキと同じでものすごい早さで芋を食らっていく。空っぽになった皿を小屋の中に戻っては、芋をいれてまた外に出るという反復作業をする。
「えぇ?もしかして、お腹空いてたの?」
俺の疑問は他所に、凄い勢いで食べていく。エリマキも昼食から帰ったら、お腹はぺったんこでまた茹で芋を食べ始めてる。····エリマキの消化はどうなってるの?
気がつけば、ちゃっかり先生も芋待ちしていた。
「先生も食べますか?」
「食べる」
ちょっと食いぎみに言われて、そっと皿を渡した。フォークを渡そうとしたがその前に手掴みで食べていた。
熱くないんですか、先生?
あっという間にに完食した先生は、ずいっと空になった皿を前に出した。
「おかわりですか?」
先生は頷いた。うん気にいってくれたみたいで良かった。
「美味しかったですか?」
「おいしい····?」
先生は意味がわからないとでも言うように顔を傾げる。なんで疑問系なんですか?
まるで初めて単語を聞きいた子供のように言葉を繰り返す。たぶん、おかわりするってことは美味しかったってことなんだろうな。
俺は、苦笑して、皿に入られるだけ芋を入れる。先生に芋を渡すと、また鷲掴みして、食べきってしまう。
小屋にあった芋はあるだけ茹でて、残りはカボチャ擬きが箱の中にある。これも茹でてみようかと思ったが、鍋の中のお湯見てそんな気は失せた。
茹でた後のお湯は粘度が高くなりすぎて、動かないスライムと化している。水を取り替えなかったのが原因?それとも時間が経ったから?茹でている最中は気にならなかったのに。
「スライム擬き····」
美味しいかと思ってお湯を飲んでみた。味はすごく土っぽくて不味かった。あと、すごくしょっぱい。スライムの魔石を入れたら、スライムにならないかな?
思い付いたが吉日ということで、スライムの魔石をいくつか放り込んだ。魔石をまだまだたくさんあるからね、1つや2つ何てことは無いでしょう。
「おわぉ、黄色と赤いれて紫になるとかヤバタン」
どろってして、紫····。魔女の鍋かな?てか、魔石って溶けるんだ····。
これも味見。お玉で掬って紫の液体をおそるおそる飲んでみる。
「ん?なんだこれ?」
土も塩も無くなった、だと!?どういうことだ、これ?
味はただの水に戻ってる。何がどうなってるんだ。
ピコン
あ、新しいスキルが····。見なかったことにしようかな、うん。毒料理上手とか見てない。見てないったら見てない。
そもそも、上手って何?おかしくない?
足から上がってきたエリマキがにょろりと、首に巻き付いて、そこから、鍋にダイブ。
「え、ええええ!?」
俺は慌てて、火かき棒で火を消す。鍋を覗いたら、入ったエリマキはちょっとでかくなって、お湯が減る。の、飲んでる。
鍋の水が無くなり、満足したのか、ゲフッと息を吐いて鍋から這いずり出ていく。




