92.芋
グツグツと煮ていると、花が溶けていった。と同時に、なんかトロっとしてきた。
「何故?」
とろみは何処から?花からですか?花は片栗粉だった?
まぁ、それは置いといて。そろそろジャガイモ煮えたかなと。俺はお玉で1つ、ジャガイモを掬った。木の皿にコロンと乗っけた。
「ん、いい感じかも」
白い湯気が美味しそう。テーブルにコトンと置き、フォークを割ってみた。ほくっと二つに割れた。それを更に一口サイズにして口に入れた。煙管は、しまっておく。
「あ、甘い?」
ジャガイモの甘さというよりはサツマイモって感じだった。ねっとり系じゃなくてほくっと系。それでありながら、かなり甘い。丁度いい塩加減が甘さを引き立てているというか····。
想定外の味に固まってしまう。
「あー、と?どうするかな、これ」
エリマキが足元でにゃんと、鳴いた。
「食べたいの?」
「ニャー」
俺は、別の皿にジャガイモ?サツマイモ?を入れて、少し考える。猫に芋って大丈夫なのかと。しかし、エリマキはそこら辺の猫ではないことを思い出した。
蛇になれるもんな。普通じゃないよな。ん?蛇にも芋って大丈夫だったかな?でも、ゾンビ食ってるし、大丈夫か。
「熱いからちょっと待ってな」
俺は芋をほぐして、ふぅふぅと息を送って冷ます。その間もお腹が空いたと、みゃあみゃあ鳴いている。ついには我慢出来なくなったのか、ズボンに爪を立てて上って来た。
「おっ」
その重みでフラりと体が揺れて、テーブルに手をつき支える。ガクガクと手が震える。煙管の力が薄れてきたか。俺はすぐに煙管を口に入れて、息を吸う。
「もう危ないな」
ふぅと息を吐いて、エリマキを見守る。テーブルに飛び降りて、またにゃあにゃあと俺を急かす。
俺はため息をついて、またじゃがい····芋を冷ます。エリマキは
「ん、そろそろ良いかな。エリマキ、食べても良いよ」
触っても、ほんのり温かいくらいになった芋をエリマキの前に移動させる。
待ってましたと言わんばかりに、はぐはぐと食べる。····?あれ?この時は蛇にはならないのか。そういえば、魔石をあげるときも猫の姿だよなぁ。どういう理屈なんだろ?
「にゃあ!」
俺がボーッと見ていると、おかわりを催促される。空いた皿に芋を入れて冷まそうとすると、そのままエリマキは食べ始めた。えー?冷まさなくても大丈夫だったのか。
はぐはぐと食べては、空にするエリマキはおかわりを要求する。俺はやるせない思いを抱きながら、鍋の中の芋がなくなるまで、皿によそるのだった。
お腹が一杯になったエリマキは、ヘソを天井に向けながら、スピーっと寝てしまった。そのふわふわしたお腹を撫でてたら、また芋を茹でてあげようと思った。
先生たちも食べるかな?




