91.花の味
今なら料理が出来るし、やってみよう。確か、食べ物が箱の中に入っていた気がする。
煙管を吹かしながら俺は箱の上蓋を外して、中を見る。
「ジャガイモかな?こっちはカボチャ?あとはパンか····それと花?」
茶色のジャガイモみたいなのと緑色のカボチャみたいなもの、色とりどりの花?と固そうなパン。んー、俺のストレージに入っててわかるのが、アーチ、レッリド、カップ草とサン草、魔草、魔薬草。
ジャガイモ潰してマッシュポテトにでもする?でもな、味がないと空しいよな。
花はなんだろ?ハイビスカス?この中に入っているのは全部、食材っぽいからこれも食べられるのかも。食べてみる?冒険者の心得ではダメなんだけど····。
「いっちょ、食べてみますか」
花を一輪、口にいれてみる。舌に触れた瞬間、花を飲み込む。
「しょっぱ!」
目が覚めるくらいしょっぱかった。口の中の唾液でさえしょっぱい気がする。
「うぉおおお!水ぅぅうう!」
俺はストレージの中の使わないだろうSPポーションを取り出して飲み干す。
「おぇええええ!」
吐きそうなくらいに激マズ。なにコレ。なんかこう、漢方薬とお茶を混ぜたような····。独特な香りとこの苦味。不味い!もう一杯!
「いや、いらないな」
冷静に自分に突っ込みをいれる。もしかして、ポーション系って全部コレぐらい不味いのか?····もう飲みたくないな。もしかして、これ、改良イベントあるかもな。それとももう既に改良してあるやつが売ってる?それともコレが癖に····いや、ならないな。
俺は、ボーッとポーションの事を考えていたが、ハッと我に帰る。違う違う。俺は料理の事を考えてたんだよ。花がしょっぱいって事はここでは花が塩の代わりって事なのかな。とりあえず、花を入れたお湯で芋を茹でて食べてみよう。
俺は鍋を持って外へ出る。
「ウィン、ちょっと降りてきて」
俺は鍋を置いてウィンを呼ぶ。ウィンは屋根からストンと軽く降りてきてくれる。
「鍋の中に水入れて?」
ウィンは口から水を鍋に入れる。あ、そうだった、口からだった。その様子を思い出したけれど、入れてくれたからやらない訳にはいかない。大丈夫、熱を加えれば大丈夫!
「ありがとう」
俺は水の入った鍋を暖炉の上に吊るす。暖炉には薪を放り込んで、外の木の棒の先をフレッドに火をつけてもらう。そして、その木の棒を暖炉にくべる。簡単に火がついて鍋を暖め始めた。
そこにジャガイモを3個入れる。ジャガイモには見た限り泥も芽も無かったから、そのままいれてみた。
「と、花も」
花は1輪だけ、浮かす。ふわふわと浮いているそれは、下に沈んでいるジャガイモを見なければ、可愛い。見なければ、だけど。




