83.太郎さんが作った昼食
現実に戻ると、美味しそうな匂いが漂ってくる。焼きたてのパンの匂いだ。
自室からリビングへ行くため、扉を開ける。
「お帰りなさいませ」
「うん」
俺を見て、頭を下げる太郎さん。
丁度、昼食の用意が終わったのか。料理がテーブルに並んでいる。
引かれた椅子に俺は座り、ジーっと料理を見つめる。グーっとお腹がなった。
恥ずかしくてお腹を押さえて、笑われるかと思って太郎さんを見るが、全く表情がわからない。気にしてない?
「今日の昼食は、ホットドッグ、トマトとモッツァレラのサラダ、飲み物はオレンジジュースです」
淡々と告げられる、食べ物の名前。
うん、気にしてないなら、腹がなったことなんて無かった事にしよう。
「ありがとうございます。····あ、夕食もお任せします」
「わかりました。これで失礼します」
太郎さんは、部屋から出ていく。
それを見届けてから、俺は手を合わせる。
「頂きます」
まずは、ホットドッグを手に持ち、かぶりつく。
ホットドッグのソーセージは大きく、皮が弾ける。パリッ、ジュワ。うん、コレ好きです。
次は、フォークを持って、サラダを食べる。トマトは酸味と甘味が丁度良いし、チーズも美味しい。でも、なんのドレッシングだろ、これ。イタリアンドレッシング?
うぅん、違ってたら、恥ずかしいな。聞いたら、教えてくれるかな。
オレンジジュースは、ちゃんと果肉が入ってる。甘い、うまい。酸っぱい、うまい。カランと氷が当たる音が涼しげだ。
結論全部、美味しい。
「そういえば」
昨日、忘れてた事を思い出す。食べながらで行儀悪いが、別に誰が見てる訳でも無いし、と心の中で言い訳しながらタブレットの電源を入れる。
タブレットの画面にAIと書かれたアプリがあり、それをタップする。
『こんにちわ、カカオ様。今日はどのようなご用件ですか?』
キャァアアア、シャベッタァアアア!
という、茶番はおいといて。え、マジで普通に喋るんだ?こっちからも大丈夫なんだ?確か、エルドっていう名前だったよな。
「えっと、AIの機能を教えて欲しい」
『了解しました。エルドと声をかけてもらえば、タブレットの中の全ての機能を利用可能になります。以上です』
?
その説明だけ?え?後は使ってみろってこと?思うところはあるが、まぁいいかと、深く考えない。
それにそうだ、あれも聞きたかったんだった。丁度よく試しとして使ってみよう。




