81.厄介事
ポーターは一人、森の中を進んでいく。森を進んでいき、ポーターが思ったのが、魔物の数が増えていたことだ。報告でも増えているということは知っていたが、ここまでとは思わなかった。黒い魔物が出現する以前の環境に近かった。
ポーターは、一瞬、余所者の影響の可能性を考えたが、彼らにそこまでの力があるとは思えなかった。
「目撃された場所の方向は、盗賊達の縄張り辺りだったらしいが····」
最近、情報を売って来ない盗賊達を思い浮かべる。何故か彼らは、この森を拠点にしつつも黒い魔物に襲われ無かった。秘密があると言っていたが、決してその情報だけは売ろうとしなかった。
それが無くなったのか、それとも別の要因があるのか。ポーターは盗賊達の拠点を目指し進んでいく。
「おい、人間」
急に声をかけられ、ビクっと体が強ばる。ポーターの緊張が一気に高まった。
ポーターは声の主を見た。白髪の子供。何より特質すべきなのは、青い眼。
「いみご····」
ポーターはその眼をみて、ポツリと溢す。
青い眼を持つものは、膨大な魔力を持ち、全てのものに最悪をもたらすそう信じられてきた。誰もが知っている言い伝えであり、どの神話よりも古いとされている。そして今もなお、信じられており、青い色素を持つものは自我を持つ前に殺されることが多い。
最近の目撃情報として、共和国に一人いるとされていたが。
「こんなところでお目にかけるとは」
しかし、その子供は何処かで、いや、誰かに似ているような。ポーターが思い出そうとしても、頭に靄がかかっているかのように思い出せ無かった。
ポーターは、子供が持っている足に気が付く。この子供に誰かが引きずられている。
子供はその足を引っ張りあげ、こちらへとぶん投げた。
「おわっ」
慌てて、その人物を受け止める。子供が投げてきたのは少女だった。
受け取ったのを確認して、子供は目の前から消える。それだけで分かってしまった。ポーターがあまりの力の差に唖然とした。
だが、それも一瞬で、少女の荒い息にハッとする。
少女の顔を見ると、顔色が良くなかった。魔素不足を通り越して、これは
「魔素欠乏症」
魔人族が強大な魔法で魔法を行使するときに起こる現象だ。早く応急手当をしないと、手遅れになってしまう。
ポーターは、調査を中断して、少女を助ける決断をする。
来た道を猛スピードで戻っていく。ポーターは、やって来た厄介事に心の中で悪態をついた。




