表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
混ざり会う世界~テイマーになったらテイムされた~  作者: からかさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/189

80.届け

鹿は落ち着いたが、俺は小屋に戻りたいと思わなかった。シンディさんと会うのが憂鬱だった。

シンディさんに選択を委ねるといっても、それを迫らなければいけない立場になるわけで····。


「いやだなぁ」


俺は気持ちを反らすために、うつ向いて湖の草をむしっていく。増えていく、魔草、魔薬草。


「やだなぁ」


その呟きは小さい。その言葉に反応にしたエリマキは慰めるように、にゃぁ、と体を擦り付ける。フレッドも同じように近寄ってきたので、頭を撫でた。少し荒れた心が、落ち着きを取り戻し、二人の可愛さにフッと笑みが溢れる。


「辛いか」


先生の声が聞こえて、顔をあげる。当たり前のように先生はそこにいた。

その言葉に答えようとして、口を開くがハクっと、息を出すだけで答えも見つからず声は出なかった。


先生はジーっと俺の顔を観察する。先生の青い瞳に、怯えた表情した俺の顔を写る。それが答えのようにも見えて。


「分かった」


先生は、抑揚のない声でそう言った。


「あ」


俺が先生を引き留める前に、先生は俺の前から消えた。

先生は何をするつもりなんだろうか。一瞬、小屋に住んでいた盗賊達の姿を思い出す。

先生はあんな風にシンディさんのことも殺してしまうのだろうか。俺が嫌がったせいで?きっと先生はシンディさんを簡単に殺せるだろう。それこそ、痛みも感じぬ間に。

違う。ダメだ。そんなことしないで。俺はそんなこと望んでない。

一度考えてしまうと、最悪のことしか考えられない。


『先生!先生!お願いです!シンディさんを殺さないでください!』


俺は胸の前で手を組み先生に願う。届け、届けと思いながら。

それでも、俺がシンディさんの元へ駆けつけることはなかった。



どれくらいそうしていただろう。

殺してしまったのだろうか。それとも、俺の願いは届いたのだろうか。

どっちにしろ俺はもう願うことも止めて、ボーッとする。心配そうにエリマキ達は俺を見た。


「大丈夫、大丈夫」


二人を安心させるための言葉だったが、その実、それは自分を誤魔化すためのものだった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ