64.商魂たくましい
「ほら、やり方を見せてあげるからパイプをくわえな」
俺は老女の言う通りに、口にパイプをくわえる。
すると、老女は懐からガラスの小瓶を取り出した。そこから茶色い茶葉のようなものを出しパイプの火皿に押し込んだ。その上から小さな石を一つ入れた。
「ほら、吸ってごらん」
パイプを吸ってみると、火もつけていないのに煙が出てきた。
「ゲホッ」
煙を思いきり吸ったせいで、噎せた。咳が止まらず、口からパイプを離す。
それでも、いつもより体が軽い気がした。本当にこの煙には、草を食べた時と同じくらいの効果があることが分かった。これは欲しい!
「魔力を使えないのに魔石に火をつけることは難しくてね。代わりにこの葉を使うのさ」
老女は見せつけるように小瓶を揺らす。
「この葉は煙硝草と言ってね、塩の国からの輸入品でね。少しお高いのさ。この一瓶で1万ゴールド。どうだい?払えるかい?」
値段を聞いて、頭を何回も横に振った。
ムリムリ、ムリムリ、ムリです!どうあがいても、どうかき集めてもそんなお金出せない!····いや、いけなくはないか?魔草と魔薬草をむしってくれば、いけるかも?でも、ここに来るためにはポーターさんを頼らなくちゃいけないし、あー、どうしよう。
「まぁ、だろうね。期待してないさ」
値段を聞いて冷静さがかけていたが、俺の頭にはっと閃きが浮かんだ。
どうかき集めても····?いや、かき集めたらいけるかも?
「あの、買い取ってくれませんか?」
草、魔石、果物、あるだけ出してみた。老女の答えも聞かずに逸る気持ちのまま、行動する。
1万は無理でも半分だけでも出せれば、少し分けて貰えるかもしれない。
「魔草に魔薬草、アーチ、····これはレッリドかい?」
その中の一つ、エリマキが拾って来てくれた木の実が気にかかったようだ。
そういえば、冒険者ギルドで問い詰められたのもこれだったな。あ、もしかして失敗した?あー!俺のバカバカバカ!流石、ポンコツの頭だ!!
「これ、どこで手に入れたんだい?」
「えっと」
案の定、老女は目の色を変えて迫ったきた。
俺はその目がビビって、ポーターさんの後ろに隠れた。
「あー、すまんね。別に問いただそうとは思って無いさ」
落ち着くためか、老女はパイプから煙を吸い込みながら、深呼吸する。
「お前さん、これを私、いやこの店に定期的に売りに来れるかい?もし出来るなら、この小瓶の代金はいらないよ」
えっ?マジ?
「勿論、条件付きだがね。1つレッリドを売るのはこの店だけ。2つ持ってきた分の代金はこの葉で払う。3つこの情報は秘密にすること。この3つの条件さえ守れるなら、小瓶をタダで渡してもいいよ。どうだい?」
老女が言った条件を聞いていたが、3つ目がもう既に破っているから無理だ。なにせ、冒険者ギルドの受付嬢が知っている。そもそも、街に来ること自体が少ないと思うし、定期的というのは無理かもしれなかった。
それを老女に伝えると、続けてこう言った。
「なら、今後の全ての取引を私の店ですればいい。そうすれば、一々冒険者ギルドに向かわなくても済むし、お前さんのことも噂として消えるだろうよ。····なんだったら街に入らなくて済むよう私の手下を門番のところに送り込もうかね。うん、それがいいかもしれんね」
あれ?なんかすごい話になってきたぞ?
「まぁ、そういうことで、この小瓶は渡しとくよ。門番に雑貨屋に用があるとでもいっとくれば、対応出来るようにしとくよ。もし、何か欲しい商品があればソイツに言っといておくれ。どんな商品でも手配するさ。勿論、買い取りもするよ。金が無くちゃ買い物もできないしね」
ってこれ、街に入らなくて済むようになった?まぁ、とりあえずは葉っぱゲットぉおお!




